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第三章 ヤコブの非難さらにつづく。レーマン人はニーファイ人よりも正しいこと。レーマン人結婚につきその忠誠を賞められる。ニーファイ人再び警告を受ける。 ごらん、私ヤコブはこれから心の清い人たちに話をしようと思う。心を堅く保って神を頼み、固く信じて神に祈れ。そうすれば神は艱難の時にあなたたちを慰め、あなたたちのためにとりなし、あなたたちを亡ぼそうとする者を裁きたもう。
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心の清いすべての人たちよ、頭をあげて神の楽しい言葉を受けよ。そしてあくまで神の愛を味わえ。あなたたちの心が堅固であるならば、とこしえにこのようにすることもできる。
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心が清くなくて、現在神がその目でけがれていると見たもう人たちよ。その人は禍である、実に禍である。あなたたちが悔い改めなかったなら、この地はあなたたちのためにのろわれる。またあなたたちのようにけがれていないレーマン人は、すでにひどいのろいでのろわれているけれども、あなたたちを攻め苦しめて亡ぼしてしまうであろう。
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またあなたたちが悔い改めなかったなら、レーマン人があなたたちの受け嗣ぎの地をとってしまう時と、主なる神があなたたちの中から正しい人をほかの所へつれ出してしまいたもう時とが早速くるであろう。
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ごらん、あなたたちは兄弟であるレーマン人が汚なくて、のろいをその皮膚に受けているからかれらを憎むけれども、レーマン人はあなたたちよりも正しい。なぜならば、レーマン人は私たちの先祖が受けた主の戒め、すなわち一人のほか妻をもつべからず、側女を一人ももつべからず、民の中にみだらな行いあるべからずとの戒めを忘れないからである。
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さてレーマン人は謹んでこの戒めを守っているから、主なる神はかれらを亡ぼさずかえってこれを憐みたもう。従って、かれらはいつか幸福な民になる。
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ごらん、レーマン人の夫である者は妻を愛し、妻である者は夫を愛し、夫と妻はその子供たちを愛している。レーマン人に信仰なくまたあなたたちに対して憎しみを持っているのはその先祖の罪から起っているのである。それであるから、大きな造り主の目から見たらあなたたちはどれほどレーマン人よりもすぐれているか。
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ああ、私の兄弟たちよ、あなたたちがその罪を悔い改めなかったならば、レーマン人といっしょに神の王座の前に召される時に、かれらの皮膚はあなたたちの皮膚よりも白いであろう。
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それであるから、私は神の言葉である一つの命令をあなたたちに告げよう。あなたたちは皮膚が黒いからと言ってレーマン人の悪口を二度と言ってはならない。また汚いからと言ってかれらの悪口を言ってはならない。あなたたちは自分の汚いことをむしろ反省して、レーマン人が汚いわけはその先祖に原因があることを忘れてはならない。
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それであるから、あなたたちはよろしく自分の子供たちのことを考えて、自分が子供たちに悪い手本をのこしたから、どれほど子供たちの心を苦しめたかを考えよ。また自身が汚いからして子供たちも亡ぼしたならば、終の日に子供らの罪が自分たちにふりかかるかも知れないことをおぼえておけ。
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ああ、私の兄弟たちよ、私の言う言葉に聞き従え。全身全霊をふるい起して自分からはげみ、死滅に陥る睡りから目ざめよ。そして、悪魔の使となって燃える硫黄の湖である第二の死に逢わないうように地獄の苦しみから抜けて出よ。
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さて、私ヤコブはこのほか多くのことをニーファイの民に話し、みだらな行いや好色などあらゆる罪を戒めて、このような罪のおそろしい結果を告げ知らせた。
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今やその人数が次第に多くなり始めたこの民の行いは、百分の一さえもこの版に書き記すことができないから、その行いの多くはあの大きな版に書き記し、またその戦い、不和、王の統治のことなどものせてある。
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この版はヤコブ版と名づけ、ニーファイの手で造られた。私はこれでこの言葉を終りにする。
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