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第二十九章 ニーファイの予言、つづき。異邦人と聖書。そのほかの記録。神の言葉は一つに集められる。 主なる神がまた仰せになる「われが異邦人の中にて珍らしき業を始むる時には異邦人の数すでに多からん。われがその珍らしき業をなすわけは、世の人々に立てたる誓約を思い起してイスラエルの家に縁あるわが民を再び元に復し、
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また汝ニーファイと汝の父とに立てたる、われは汝らの子孫を忘れず、汝らの子孫の言葉はわが口より出でて汝らの遠き子孫に伝わると言う約束を思い起してこれを守るためなり。しかしてわが言葉は世界の隅々までも響きわたり、イスラエルの家に属するわが民の旗となるべし。
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かようにわが言葉世の中に響きわたるによりて、多くの異邦人『聖書か聖書か。われらはすでに聖書を持てり。このほかには聖書あるべからず』と言うべし。
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ああ愚かなる者よ、かれらは聖書を持つべきもそは昔わが誓約を受けたるユダヤ人より出づべきなり。されど、かれらはユダヤ人より受けたる聖書に対してユダヤ人に何の礼をなすか。実に異邦人はいかなる心なるか。かれらはユダヤ人のなしたる多くのつらき旅と苦労とを思い起し、またユダヤ人が異邦人に救いを与えんとわが前に勉めはげみたることを思い起さざるか。
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おお異邦人よ、汝らは昔わが誓約を受けたる民、ユダヤ人を思い起すか。いや、汝らはかえりてユダヤ人をのろいユダヤ人を憎みたるも、いまだこれまでにユダヤ人を元に復さんとはせざりき。見よ、主なるわれはわが民を忘れざりしにより、汝らがユダヤ人に対してなしたる行いの責めは汝らに返すべし。
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『聖書か、われらはすでに聖書を持てり。故にこのほかに聖書を要せず』と言う者よ、汝は愚かなり。ユダヤ人に由らざりせば、汝はいかにして聖書を手に入れたるや。
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国民は一つより多くあるを知らずや。汝らの神にして主なるわれが万人を造りしを知らずや。またわれが海の島々に住む者のことを忘れざるを知らずや。またわれが上は天に於て支配し、下は地に於て支配し、わが言葉を世界万国の人々に示すことを知らざるか。
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それ故に、わが言葉が更に多く与えらるればと言いて不平を言うは何ごとなりや。二つの国の人が証拠を示すは、われが神なることと、われが一つの国の人を今一つの国の人と同じに思うこととを汝らに証明するなり。汝らはこれを知らざるか。われはこの国民に語ると同じ言葉をかの国民にも語る。故にこの二つの国民一つに合さる時には、二つの国民の証拠もまた一つに合さるべし。
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われがこのようにするわけは、われは昨日も今日もいつまでも同じにして、わがこころのままにわが言葉を宣べ伝うることを多くの人々に証明せんとするためなり。それ故に汝らはわが一度言葉を宣べ伝えたるにより、二度は宣べ伝うることを得ずと思うべからず。そはわが業の今なお完成せざるのみならず、人間の終りの時になるも、またそれより進みて限りなき未来になりても完成せざるべからざればなり。
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それ故に、汝らはすでに聖書を持てる故わが言葉の全部がそれに含まれたりと思うべきにあらず。またわれがその聖書以外に多くのことを書かしめしことなしと思うべきにあらず。
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われは東西南北および海の島々にある一切の人々に、われがそれらの人々に語る言葉を書き記せと言う。そは、われはその書き記さるる諸々の書に従い、その中に記さるることによりてあらゆる人をその為したる行いに応じて裁判せんとすればなり。
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見よ、われユダヤ人に語らばユダヤ人はそれを書き記し、ニーファイ人に語らばニーファイ人はそれを書き記し、われがすでにほかの所へつれ出したるイスラエルの家に属するほかの支族に語らばかれらはそれを書き記し、また世界各国の民にみな語らばかれらはみなそれを書き記すべし。
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かくのごとくにして、ユダヤ人はついにニーファイ人の書きし言葉を得、ニーファイ人はユダヤ人の書きし言葉を得、ニーファイ人とユダヤ人とはイスラエルの家の中の失われたる支族の書きし言葉を得、イスラエルの家の中の失われたる支族は、ニーファイ人の言葉もユダヤ人の言葉も得べし。
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しかしてイスラエルの家に縁あるわが民は自らの所有する地に集まり、わが言葉もまた集まりて一つ所にあるべし。それ故にわれはわが言葉とイスラエルの家に縁あるわが民とに背く者たちに、われが神なることとわれがアブラハムにいつまでもその子孫のことを忘れずと誓約を立てたることを知らしめんとす」と。
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