|
第二十二章 レーマン人のかけたくびきを投げすてようと計画する。ギデオンの献策。レーマン人、酒に酔わされる。とりことなったニーファイ人たち逃げてゼラヘムラへ帰る。ゼニフの記録終る。 そこでアンモンとリムハイ王とは、奴隷の境涯からまぬかれる方法を人民と協議しはじめた。そして全国の民がこの問題についてどう考えるかを知るために全部の民を集まらせた。
|
|
ところが、レーマン人の方がはるかに人数が多かったから、リムハイの民がレーマン人と剣を以て戦って奴隷の境涯を脱するなどはとてもおぼつかなく思えたので、その女子供ならびに天幕家畜などを携えて荒野へ立ち去る以外にはこの境涯をまぬがれる途はなかった。
|
|
このときギデオンは王の前に進み出て言った。王よ、今日まで私共が同胞であるレーマン人と争ったとき、王はたびたび私の言葉を用いたもうた。
|
|
王よ、もしあなたが私を役に立たない家来と見ず、またこれまで多少なりとも私の言葉を採用してその言葉が役に立っていたならば、このたびも私の言葉に耳を傾けていただきたい。私はかならず王のしもべとなって働き、この民を奴隷の境涯から救い出すと。
|
|
そこで王はギデオンに許してその意見を述べさせた。よってギデオンは、
|
|
この市の後にある城壁を通る裏道がある。あそこに居るレーマン人の番兵は夜酒に酔っているから、わが民にふれを廻して家畜の群を集め夜の中にこれを荒野へ追い立てて行かせよう。
|
|
さて私は王の命令に従い、最後の貢であるぶどう酒をレーマン人に納める。するとかれらは飲んで必ず酔うから、酔って眠っている間に私たちは陣営の左にある間道を通って外へ出る。
|
|
こうして私たちは、女子供と家畜の群をつれていっしょに荒野へ立ちのき、シャイロムの地を廻って旅路を進むのである、と王に述べた。
|
|
リムハイ王はギデオンの言葉を用いて、
|
|
人民にその家畜の群をことごとく集めさせ、さて貢であるぶどう酒をレーマン人に納めたが、このたびは贈物として平生よりもたくさんさし出した。レーマン人はリムハイ王の贈ったぶどう酒を遠慮せずに十分飲んだ。
|
|
そしてその晩リムハイ王の民はその家畜の群を追って荒野へ立ちのき、荒野の道を伝ってシャイロムの地を廻り、アンモンとその兄弟たちに導かれてゼラヘムラの地へ向って旅を進めた。
|
|
かれらは自分らの金銀およびもてるだけの貴重品あるいは食料を持って荒野へ出たのであるから、途中何事もなく旅路を進んだ。
|
|
そして荒野の中に多くの日を重ねてから、かれらはゼラヘムラの地に着き、その地の民といっしょになってモーサヤ王の臣民となった。
|
|
モーサヤ王は喜んでかれらを迎え、かれらの記録とリムハイの民が見つけた記録とを受けた。
|
|
レーマン人はリムハイの民が夜の間に立ちのいたことを知り、すぐに軍勢を出して荒野の中へ追跡させたが、
|
|
二日の間追いかけても、もはやその跡をつけることができず荒野の中をさまよって歩いた。
|