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【16世紀ドイツ語コース】

不規則動詞の語形変化


  1. 不規則変化動詞
     「規則動詞の語形変化」で説明した語形変化の法則に従わない動詞を不規則変化動詞と言います。常用・頻出する動詞ほど不規則という傾向があります。
     不規則といってものべつ幕なく不規則に変化する動詞はsein(ある)くらいなもので、ほとんどの不規則動詞は不規則になるポイントがあります。それを下で見てみましょう。


  2. 不規則変化のあらまし
     代表的な不規則動詞geben(与える)を例にとって、不規則になるポイントをさぐってみましょう。
    1. 直説法現在……人称語尾は同じ。単数2・3人称で語幹の形が変わります。
       単数複数
      1人称gebegeben
      2人称gibstgebt
      3人称gibtgeben
    2. 直説法過去……過去基本形の作り方が不規則です。gebenの場合はgabとなります。人称語尾は同じですが、-nは-enとなります。
       単数複数
      1人称gabgaben
      2人称gabstgabt
      3人称gabgaben
    3. 接続法第1式……規則動詞とまったく同じで、語幹に過去語尾をつけます。
       単数複数
      1人称gebegeben
      2人称gebestgebet
      3人称gebegeben
    4. 接続法第2式……過去基本形の幹母音を(変音できるなら)変音させた上で接続法第1式の語尾をつけます。接続法第1式の語尾とはe+過去語尾ですから、「過去基本形を変音+e+過去語尾」と覚えてもかまいません
       単数複数
      1人称gäbegäben
      2人称gäbestgäbet
      3人称gäbegäben
    5. 現在分詞……規則動詞とまったく同じで、不定詞にdをつけます。(例) gebend
    6. 過去分詞……不規則です。gebenの場合はgegebenとなります。
    7. 命令法……おおむね規則的です。ただし幹母音eが過去基本形でiやieに変わるタイプの動詞では、命令法単数2人称ではやはり幹母音をiやieに変えます。そして-eをつけません。gebenがまさにその例です。(例)geben→gib! gebt! ただしwerden(なる)は例外の例外として規則的、つまりwerde! werdet! です。


  3. 3基本形
     こうしてみると、不規則動詞を覚えるポイントは次の3点ということになります。
    1. 直説法現在単数2・3人称の形
    2. 過去基本形
    3. 過去分詞
    ドイツ語の文法では、不定詞-過去基本形-過去分詞を3基本形と呼びます。この3つの形からすべての変化形が導き出せるからです。もっとも直説法現在単数2・3人称は、覚えておかないと必ずしも不定詞から機械的に導き出せるわけではありませんから、これを追加して「動詞は不定詞の形、直説法現在単数2・3人称の形、過去基本形、過去分詞の形」の4つをセットにして覚えていくようにしましょう。


  4. seinの変化
     sein(ある)は非常に複雑な変化をします。
    1. 直説法現在……まるっきり不規則ですのでしっかり覚えましょう。
       単数複数
      1人称binsind
      2人称bistseid
      3人称istsind
    2. 直説法過去……過去基本形はwar、あとは不規則動詞の規則に従います。
       単数複数
      1人称warwaren
      2人称warstwart
      3人称warwaren
    3. 接続法第1式……基本形はsei、ただし単数1~3人称の語尾に要注意。
       単数複数
      1人称seiseien
      2人称sei(e)stseiet
      3人称seiseien
    4. 接続法第2式……不規則動詞の規則に従います。
       単数複数
      1人称wärewären
      2人称wärestwäret
      3人称wärewären
    5. 現在分詞……seiend
    6. 過去分詞……gewesen。
    7. 命令法……sei! seid!


  5. おもな不規則変化動詞
     ほとんどの不規則変化動詞は、直説法現在形単数3人称の形、過去基本形、過去分詞の形をあげればすべての変化が導き出せます。そこでこの3つの形のみを表にまとめました。中にはhaben(持つ)やwerden(なる)のように、それ以外の部分で異なる形を持つものもありますが、それは但し書きの中に書きました。


  6. 強変化・混合変化
     「規則動詞の語形変化」で、規則変化動詞のことを弱変化動詞という、と書きました。不規則変化動詞のほうは強変化動詞と混合変化動詞の2つに区分されます。
     強変化とは、幹母音を変音させて過去基本形を、ge~enという形で過去分詞形を作るものです。