[真理子日曜学校 - 聖書の言語入門(フレーム表示) ]
【16世紀ドイツ語コース】

規則動詞の語形変化


  1. 語形変化+他の語と複合
     ドイツ語では動詞の変化だけですべての動詞のニュアンスを表すことができません。現在や過去ならば動詞の変化だけで表現できますが、未来形は動詞の変化形としては存在せず、werden+不定詞という形で表現しますし、受動態もwerden+過去分詞という形で表現します。ギリシア語では未来も受動も動詞の変化だけで、つまり動詞1語だけで表現できてしまうのですが、そのかわり動詞変化表が膨大になってしまうわけです。ドイツ語は(ギリシア語に比べれば)動詞の変化が少ないかわり、他の語との組み合わせ表現が多いというわけです。
     このページでは、動詞の語形変化にしぼって説明し、それぞれの形の使い方はすべて後のページにまわします。


  2. 複合動詞
     ドイツ語では基本動詞に接頭辞をつけて作った複合動詞がいっぱいあります。たとえばkaufen(買う)に対して、abkaufen(買い取る)、verkaufen(売る)といった具合です。このうち、abkaufenのabは、Ich kaufe ab.のように、分離して文末に飛んでいったりする用法があります。このような動詞を分離動詞といいます。一方verkaufenのverは決して分離することなく常に動詞と一体で用いられます。このような動詞を非分離動詞といいます。分離動詞や非分離動詞は語形変化上異なったふるまいをすることがあります。


  3. 規則変化動詞
     大多数の動詞は規則的に変化しますが、一部に不規則な変化をするものがあり、しかも重要・頻出の動詞ほど不規則という傾向があります。不規則変化動詞の例は「★リンクエラー★」にまわし、このページでは規則変化動詞の変化の仕方をまとめます。なお、動詞の規則変化のことを弱変化と呼ぶことがあります。


  4. 不定詞
     辞書に載っている基本形で、-enまたは-nで終わります。この-enまたは-nを取り去った部分を語幹と呼びます。以下、規則変化(弱変化)動詞の例として kaufen(買う)の変化を取り上げます。語幹はもちろんkauf-です。


  5. 直説法現在
     語幹に、次の赤字の語尾をつけます。
     単数複数
    1人称kaufekaufen
    2人称kaufstkauft
    3人称kauftkaufen

     口語や歌詞などでは1人称単数の語尾-eが省略される場合があります。その場合はkauf' のようにアポストロフを打ちます。


  6. 直説法過去
     まず、語幹に-teをつけます(kaufen→kaufte)。この形を過去基本形といいます。そしてその過去基本形に次の赤字の語尾をつけます。
     単数複数
    1人称kauftekauften
    2人称kauftestkauftet
    3人称kauftekauften


  7. 接続法第1式
     語幹に次の赤字の語尾をつけます。
     単数複数
    1人称kaufekaufen
    2人称kaufestkaufet
    3人称kaufekaufen
    この人称語尾をよく見ると、eを除けばまるっきり直説法過去の人称語尾と同一です。ですから接続法第1式の作り方は、「動詞語幹に-eをつけたものを基本形とし、それに直説法過去の人称語尾を接続させて作る」と記述することもできます。


  8. 接続法第2式
     規則動詞の場合は直説法過去と同形です。
     単数複数
    1人称kauftekauften
    2人称kauftestkauftet
    3人称kauftekauften


  9. 2種類ある人称語尾
     上記のように接続法第2式の変化は直説法過去と同じであり、接続法第1式の人称語尾も実質的に直説法過去の人称語尾と同一です。すると、人称語尾は「直説法現在型」と、「直説法過去型」の2種類にまとめられることになります。これは不規則動詞でも原則として同様なので、頭に入れておいてください。


  10. 現在分詞
     不定詞にdをつけます。(例) kaufend


  11. 過去分詞
     語幹をge~tではさみます。(例) gekauft
     分離動詞の場合、geは接頭辞と主動詞の間に入ります。(例)abkaufen→abgekauft
     非分離動詞の場合、geは入りません。(例)verkaufen→verkauft
     -ieren


  12. 命令法
     2人称単数は語幹-e、ただしこのeは脱落することが多いです。2人称複数は語幹-t、つまり直説法現在2人称複数と同じです。(例) kauf(e)!、kauft!


  13. 規則動詞のバリエーション
     規則動詞であっても次の場合は上記の語尾と異なります。
    1. 語幹が-t、-d、-子音+n、-子音+mで終わる動詞に子音語尾がつくときは、口調上のeが入ります。(例)reden(話す)→直現3単redet、rechnen(計算する)→直現3単rechnet、
    2. 語幹が-s、-ss(ß)、-z、-xなどで終わる動詞では、直現単2は-stではなく-tになります。(例)grüßen(挨拶する)→直現2単grüßt
       さらに語幹が-ssで終わる規則動詞では、直説法現在の単2、単3、複2(つまり-tという語尾をつけるもの。単2も上記法則により-t)では、正書法上、ssがßに変わります。(例)küssen(キスする)→küßt
    3. 語幹が-el、-erで終わる動詞では、語尾-e、-enをつけるときには、eの節約によって以下のような現象が起こります。
      • -enという語尾は-nになります。そもそも不定詞がそうなっているはずです。(例)handeln(行動する)、ändern(変える)
      • -eという語尾をつけるときは、語尾のeが生き、-el、-erのほうのeが消えます。ただし-erの場合は、eが消えない場合があります。(例)handle、änd(e)re