[真理子日曜学校 - 聖書の言語入門(フレーム表示) ]
【16世紀ドイツ語コース】

代名詞


  1. 1人称代名詞
     性の区別がありません。英語と違って、文頭以外では小文字で書きます。
     単数複数
    1格ichwir
    2格meinerunser
    3格miruns
    4格michuns


  2. 2人称代名詞
     性の区別がありません。次に掲げるものは親称、つまりごく親しい人にのみ用いるものであり、一般的に用いると無礼になります。敬称としての2人称代名詞は後述します。
     単数複数
    1格duihr
    2格deinereuer
    3格direuch
    4格dicheuch


  3. 3人称代名詞
     単数では性の区別があります。
     男性中性女性複数
    1格eressie
    2格seinerihrer
    3格ihmihrihnen
    4格ihnessie
    「人」称代名詞という言葉に惑わされてはいけません。モノにも使えます。モノであっても男性名詞は男性形、女性名詞は女性形で受けますので、必ずしも男性だから「彼」、女性だから「彼女」と訳せるとは限りません。
     上記のように男・中・女・複という順番にならべると、男性と中性、女性と複数が似ていることがわかります。中性の1格=4格は例によって「1格=4格の法則」、女性と複数は複数3格だけ異なるのは「複数3格の-n」といったらコジツケでしょうか?


  4. 敬称の2人称代名詞
     3人称代名詞複数形と同一です。語頭を大文字で書きます。インド・ヨーロッパ語族のほとんどの言語では、2人称は親しい人にしか使えず、2人称複数で代用(フランス語)したり、3人称複数で代用(ドイツ語、ポルトガル語、ヒンディー語などインドの言語)したりします。ドイツ語は3人称複数で代用する流儀です。なお、動詞などもこれに対応してすべて3人称複数形になりますので、「あなた、と訳すから2人称」と思わないように注意してください。


  5. 指示代名詞
     指示代名詞は1種類のみで、近いものも遠いものも、つまり「これ・それ・あれ」すべてderです。変化は次のとおりです。
     
    1格derdiedasdie
    2格dessenderendessenderen/derer
    3格demderdemdenen
    4格dendiedasdie
    2格と複数3格以外は定冠詞derとまったく同じですが、定冠詞ならば次に名詞が来ているわけですから区別は可能です。実は定冠詞とは、この指示代名詞derの修飾語的用法にほかならないわけです。
     ドイツ語を習いたてのときにWas ist das?(あれは何ですか?)、Das ist eine Kirche.(あれは教会です)、のような問答をやったでしょう。このdasは指示代名詞の中性1格だったわけです。でもなんで中性なのでしょう? 質問する人はそれが男性名詞か女性名詞か中性名詞かわからないわけですから中性形を使ったわけですが、答える人は女性名詞だとわかっているわけですからDie ist ~としてもよさそうなものです。でもこういう用法のときだけは必ず中性にします。他の言語では必ずしもそうではなく、女性とわかったんなら女性形を使うという流儀の言語もありますので、ドイツ語特有の事項として注意してください。
     なお、2格は「この」ではありません。「この」ならばdieserを使います。「この人の」「このモノの」という意味になりますので混乱しないでください。他の格も一応「この人」「このモノ」のように「人」「モノ」をつけて訳してみて、それを省略しても意味がかわらないことを確認してから「これ」と訳すようにしたほうが無難です。


  6. 疑問代名詞
     「誰」はwerであり、性と数の区別はなく格変化だけをします。2格がwessen、3格がwem、4格がwenです。「何」はwasであり、性と数の区別はありません。1格と4格のみが用いられ、どちらもwasです(つまり無変化)。