[真理子日曜学校 - 聖書の言語入門(フレーム表示) ]
【16世紀ドイツ語コース】

冠詞類


  1. 冠詞類とは
     ここでは冠詞類の変化をまとめます。
     ところで冠詞とはなんでしょうか。冠詞なら冠詞と書けばいいじゃありませんか。
     実は、冠詞だけなら定冠詞と不定冠詞しかないのですが、ドイツ語では指示代名詞や所有代名詞など、冠詞と同様の変化をするものがやたらにあるので、それらもまとめて説明してしまおう、そこで冠詞というわけです。
     また、単に語形変化が似ているというだけでなく、冠詞類に属する語は原則として併用ができません。たとえばdieser(この~)をつけた名詞には、derのような同じ変化をする定冠詞はもちろんのこと、einという違う変化型の冠詞類もつけられなくなります。


  2. 定冠詞の変化
     
     
    1格derdiedasdie
    2格desderdesder
    3格demderdemden
    4格dendiedasdie


  3. 定冠詞類の変化
     (例)dieser(この)
     
    1格dieserdiesediesesdiese
    2格diesesdieserdiesesdieser
    3格diesemdieserdiesemdiesen
    4格diesendiesediesesdiese

     つまり定冠詞の語尾-er-es-em…の変化に順ずるわけですが、-ie-e-as-esという点が違います。
     この形に属するのはdieser(この)のほか、jener(あの、その)。solch(こんな、そんな)もそうですがやっかいな話があるので後述します。aller(すべての)、jeder(どの~も)、mancher(いくつかの。辞書ではmanchをひく)、welcher(どの)もこの変化ですが、男性・中性2格で後続名詞が-(e)sのときは、alles Mannesではなくallen Mannesのように-enになってしまいます。「同じ語尾変化をさける」というドイツ語の風変わりな特徴がこんなところにも出てきます(→「形容詞」)。なお、辞書ではallermancherwelcherは、allmanchwelchという形で出ています。


  4. 不定冠詞の変化
     
     
    1格eineineein
    2格eineseinereines
    3格einemeinereinem
    4格eineineein

     複数のときには不定冠詞をつけないので複数形はありません。


  5. 不定冠詞類の変化
     (例)mein(私の)
     
    1格meinmeinemeinmeine
    2格meinesmeinermeinesmeiner
    3格meinemmeinermeinemmeinen
    4格meinenmeinemeinmeine

     不定冠詞類とはいっても定冠詞類とまるきり違う変化というわけではなく、ほとんど定冠詞類の変化と同じです。違いは男性の-erがナシ、-ie-e-asは-ナシという点です。
     この形に属するのはすべての所有代名詞とkein(一つも~ない)です。unsereuerは、変化語尾がついたときにunseresunsresとか、euereseuresのように語幹部分のeが脱落したり、euereseuersのように語尾部分のeが脱落したりします。ドイツ語特有の「eの節約」ですね。


  6. 1格=4格の法則
     上記の変化表を見ると、男性を除いて必ず1格と4格が同形であることに気づきます。このことは知っておいてください。この法則を知っておくと、難解といわれる形容詞の格変化も少しは覚えやすくなることでしょう。