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第八章 アルマ、ミレクの地で成功する。アモナイハ市の民、アルマを追い出す。天使に慰められてアルマ帰る。アミュレク、アルマに加わって神の道を宣べ伝える。大いなる能力を与えられる。 さて、アルマは今ここに書けない多くのことをギデオンの人々に教え、前にゼラヘムラの教会で神権の規定を確立したようにギデオンの教会でも神権の規定を確立してからそこを去り、働きを休もうとしてゼラヘムラにある自分の家へ帰った。
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これでニーファイの民を治める判事治世の九年目は暮れた。
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判事治世の十年目の始めごろ、アルマはゼラヘムラを出立してサイドン川の西にあって西方の荒野と境するミレクの地へ旅をした。
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やがてアルマは自分が聖任された神の神権の神権によりミレク全地の民に教えを伝え始めた。
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すると、荒野に近い土地の四方の境に住む人々がアルマのところへやってきて、ついにその地のいたるところで人々はバプテスマを受けた。
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さてアルマはミレクでその務めを果したので、そこを去って三日の間北の方へ旅をし、アモナイハと言う都市へ着いた。
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ニーファイの民はその土地にも都市にもまだ大小の村々にも、最初にここに住んだ人の名をつける風習であったが、アモナイハの地の名も同様であった。
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アルマはアモナイハ市に着くとすぐ神の道をそこの住民に宣べ伝え始めた。
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しかし、サタンはすでにアモナイハ市に住む人々の心を固く捕えていたから、民はアルマの言葉に耳を傾けようとはしなかった。
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それでもアルマは精神をはげまして一生けんめい神に祈り、この市に住む人々に「みたま」を注ぎたもうようにねがい、また自分がこの人々に悔い改めをさせてその証拠にバプテスマを施すことができるようにおねがいをした。
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ところが、それでも民はそのこころをかたくなにして「われわれは汝がアルマであることを知っている。また汝が自分のもっている言伝えによって、国内の所々に立てた教会の大祭司であることも知っている。われわれは汝の教会とは何ら関係がないから、そのような愚かな言伝えは信じない。
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われわれは汝の教会に属していないから、汝はわれわれを司どる権利はない。これもわれわれは知っている。その上汝はすでに裁判の職をニーファイハにゆずってしまったから、われわれの大判事でもない」と言った。
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アモナイハ市の人々はこのように言ってアルマの言うことを何も聞かず、アルマをののしり、アルマに唾を吐きかけ、ついにアルマを市外へ追い出したから、アルマはそこを立ち去ってアロンと言う市の方へ向って旅をした。
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そしてアロンを指して旅をしている間、アルマはアモナイハ市の民が犯した罪悪のために悲しみ嘆き、その心は痛み苦しんだが、このように悲しみ嘆いている時に主の使がアルマに現われて、
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「アルマよ、汝はさいわいである。頭を高くあげて喜べ。汝は喜ぶ十分の理由がある。なぜならば、汝は始めて神の戒めを受けてからこのかた、忠実にその命令を守っているからである。見よ、われは汝が始めて受けた神の戒めを汝に伝えた使である。
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われは汝にアモナイハ市へ帰ってまたその民に教えを説けと命ずるためにつかわされた。まことに善く道を民に説き聞せ『悔い改めざるときは主なる神汝らを亡ぼしたもう』と告げよ。
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見よ、かれらは今汝の民の自由を奪おうと考えている。これは本当に主がその民に下したもうた国法と裁判と命令とにそむくのである(主がこのように言いたもう)」と。
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アルマは主の使からこの命令を受けると、急いでアモナイハの地へ帰ったが、このたびは最初とちがった道、すなわちアモナイハ市の南にある道から市内へ入って行った。
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アルマは市内へ入ったときに飢えていたからある人に「私はつまらないものであるが、神の僕であるから何か食べ物をもらえないか」と言った。
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するとその男は「私はニーファイ人であって汝が神の聖い予言者であることを知っている。なぜならば示現の中で天使が『迎えて接待せよ』とお言いになった人はほかでもない汝であるからである。いっしょに私の家へ入れ。私は食べ物をわける。私は汝が、私と私の家族とにとって祝福になることを知っている」と言って、
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この男はアルマを自分の家へ迎え入れた。これはその名をアミュレクと言う者であったが.かれはパンと肉とを出してアルマの前に置いたから、
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アルマは十分にパンを食し、アミュレクとその家族とを祝福して神に感謝を捧げた。
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アルマは十分に食べてからアミュレクに「私はアルマと言って全国に於ける神の教会の大祭司である。
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ごらん、私は啓示と予言の「みたま」によって全国の民の間に神の道を宣べ伝える職に召されている。そして前にも一度ここへ来たが人々が私を歓迎しないで追い出したから、この土地へ背を向けてもう二度と来ないときめようとした。
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ところが、また戻ってきてこの民に予言をし、その罪悪を責める証しを立てよと命令をされた。
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さて、アミュレクよ、汝は私に食を与え、私に宿をしてくれたから祝福を受ける。私は長い間断食をして飢えていた」と。
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それからアルマは市民に教えを説き始めるまでアミュレクの家にしばらく滞在をした。
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そして市民の罪悪は次第に増長したが、
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とうとう神の言葉がアルマに下った「行け。しかしてわが僕なるアミュレクにも次の如く命ぜよ。すなわち『出でてこの民に予言して言え、「悔い改めよ、そは主が『もし悔い改めずばわれは怒りをこの民に及ぼし決してわが烈しき怒りを解かざらん』と宣いたればなり」と言いたもう』」と。
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それでアルマとアミュレクとは、神の御言葉を民に宣べ伝えるために民の間に出て行ったが、この二人は聖霊に満されていた。
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そしてこの二人はだれもこれを牢屋に閉ぢこめることもできず、また殺すこともできないほどの力を受けていた。それでもこの二人は縄目をうけて牢屋に入れられるまではその能力を用いなかった。なぜならば、主はこの二人によって主の力を現わそうとしたもうたからである。
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さてアルマとアミュレクとは主にたまわった「みたま」と力とを以て、出て行って民に教えを説き予言をし始めた。
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