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モルモン言 モルモンの抄録とニーファイの小版。モルモン経の先の部分とそれに続く後の部分との関係。 さて、私モルモンはこれまで自分が作ってきた記録を今息子のモロナイに譲り渡そうとしている。私はすでに私の民のニーファイ人がほとんど皆亡びてしまうのを見た。
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キリストが生れたもうてから数百年たった今.私はこの記録を自分の息子に譲り渡す。私が思うに私の息子モロナイは、私の民が全部亡びてしまうのを見るであろう。しかしながら、願わくは私の息子のモロナイがニーファイ人とキリストとについて多少の事を書き記すために、かれを生き永らえさせて下さるよう神に祈り奉る。モロナイの書くことはいつかニーファイ人の子孫のためになるかも知れない。
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さて、私は自分の記録したことについて少々話をする。私はニーファイの版を短く書きまとめて、アマレカイの言ったベニヤミン王の代に至るまでのことを書いてしまってから、かねて私に伝えられていたいろいろな記録のなかを探って見たところ、ヤコブの時代からこのベニヤミン王の代に至るまでに現われた予言者たちが著したこの短い記事がのっており、またニーファイの言葉が多くのっているこの版を見つけた。
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この版に書いてあることの中にはキリストが生れたもうことについての予言があるので私は喜ばしい。私の先祖はこの予言の多くがすでに成就したことを知っていたが、私もまた今日までの私たちについての予言がみな成就していることと、将来についての予言もみな成就することを知っている。
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それであるから、私はこの版を選んで私の作る記録の終りにつけ、私の記録の残りの部分はニーファイの版から抜いて書こう。私の民の事蹟はその百分の一さえも書くことがむつかしい。
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しかし、私が見つけた予言と啓示とをのせた版は私の記録の残りの部分につけ加えよう。これは私にとって貴いものであって、また私の兄弟たちにも貴いものになることをみな知っているからである。
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私は賢明な目的があってこのようにする。それは私の中にある主の「みたま」が働いて私にそうせよとささやきたもうからである。私は何でもみな知っているわけではないが、主は将来起ることをことごとく知りたもうから私にそのみこころを行わせたもうのである。
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私の兄弟たちがまた再び神を知り、キリストの贖いを知ってまた再び喜ばれる人となるように私は兄弟たちのため神に祈る。
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さて、私モルモンは私がニーファイの版から抜き書きをして作る私の記録をつづけて書き終ろう。この記録は神が私に授けたもうた知識と理解力とによって作るのである。
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アマレカイがこの版をベニヤミン王に譲り渡してから、ベニヤミン王はこれを受けとって自分の代まで代々諸々の王が書き伝えてきた記録がのっているほかの版につけ加えた。
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これはベニヤミン王以来代々伝えられてついに私の手に入った。私モルモンはこの版がこれから後も保存されるように神に祈る。この版には大切なことが書いてあるから、このことによって私の民とその兄弟たちは書き記してある神の言葉のように大いなる終りの日に裁判を受けるのであるから、私はこの版が必ず保存されることを知っている。
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さてベニヤミン王のことを話すと、王の時にその民の中に多少の不和があった。
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またレーマン人の軍勢はベニヤミン王の民と戦うためにニーファイの地から攻めてきたが、ごらん、ベニヤミン王は自分の軍勢を召集してレーマン人を迎え撃ち、自分の腕の力をふるいレーバンの剣をもって戦った。
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このようにしてベニヤミン王の軍は主の御力によって敵と戦い、ついに数千人のレーマン人を殺し、一切の領地からレーマン人を追い払うまでこれと戦いつづけた。
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またもろもろの偽キリストが現われたが、説き破られてその罪の罰を受け、
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もろもろの偽予言者、偽教師、偽説教者が民の中に現われたが、それぞれの罪に応ずる罰を受けた。また多くの不和が起り、多くの人が背いてレーマン人の仲間になったが、このようにいろいろなことがあってから、ベニヤミン王は民の中にある聖い予言者たちの助けを得た。
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すなわち、ベニヤミン王は聖い人であったから義を以てその民を治め、またその当時国中には聖い人が大勢いて権能と威勢とを以て神の言葉を宣べ伝え、民がかたくなであったから非常にきびしくした。
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従って、ベニヤミン王は以上のように助けを得て、予言者もろ共その身体の力と全身全霊の能力をつくして努力をしたによって、その国の平和はもう一度しっかりと定まった。
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