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第三十三章 ニーファイ、別れに臨んで証しをする。書く時には話す時ほどの力がない。ニーファイ自分の民のことを非常に心にかける。 さて、私ニーファイは私の民の中に教えられたことをみなここに書き記すことはむつかしく、また書く時には話す時ほどの力がない。それは、人が聖霊の力で語るときには、聖霊がその話を人の心の中に浸みこませるからである。
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しかしながらごらん、世の中には聖霊に対してその心をかたくなにする人が多いから、聖霊はこれらの人々を感動させることができない。従ってこれらの人々は書き記してある多くのことを捨てて、これを価値のないものと見なす。
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しかし、私ニーファイは私がすでに書いているものを大そう価値があると思い、私の民にとってはとくにそうであると考えている。なぜならば私は昼はたえず私の民のために祈り、また夜は私の民のことを心配して涙で枕をぬらしていて、信仰をこめて私の神に祈り求めるならば、神は必ず私の祈りを聞き届けたもうことを知り、
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また主なる神は私の祈りを聞き届けて私の民に利益を与えたもうことを知っているからである。私が弱い身で書いた言葉は、私の民のために大いに力強いものになるであろう。この言葉は善を行えとかれらに説き勧め、その先祖のことを明らかにし、イエスのことを教え、またイエスを信じて終りまで堪え忍べと説き勧めている。イエスを信じて終りまで堪え忍ぶならば永遠の生命を得るのである。
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私の書いた言葉は真理をはっきりと語って罪悪をきびしく咎めるから、悪魔のような精神の者でないかぎりは、だれも私の書いた言葉を怒らないであろう。
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私は明白なことを喜んで誇りとし、真理を喜んで誇りとし、またわがイエスが私の身も霊も地獄から贖いたもうたから、イエスのために喜んで誇りとする。
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私は自分の民を愛し、キリストの法廷で多くの罪のない人間に逢うことをキリストによって固く信じている。
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私はまたユダヤ人を愛している。ユダヤ人とは私の出てきた種族を言う。
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私はまた異邦人も愛している。しかしごらん、かれらの中のだれでもキリストに立ち帰り、狭い門から入って生命へ行く真直ぐな道を歩み、この試しの生涯の終りまでその道に従って進まなかったならば、私はその人のために何事も望めない。
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さて私の愛する兄弟たちよ、またユダヤ人よ、世界の隅々に至るすべての人々よ、この言葉を聞いてキリストを信ぜよ。たとえこの言葉を信じなくともキリストは必ず信ぜよ。この言葉はキリストの言葉であってキリストがこれを私に伝えたもうたのであるから、もしもキリストを信ずれば必ずこの言葉も信ずるようになる。この言葉は善を行えとあらゆる人に教え勧めている。
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あなたたちがもしもこの言葉がキリストの言葉でないと思っても、終りの日になってキリストは能力と大きな栄光とを以てそれがキリストの言葉であることをあなたたちに認めさせたもう。そのときにあなたたちと私とはキリストの法廷で対面する。そうすれば、あなたたちは私が弱い者であるのにこれらの事を書けとキリストから言われたことを知るであろう。
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私は大いなる終りの日に、私たちのすべてでなくともその多くの者が、天の御父の王国に救われるのを御許しになるよう、キリストの御名によって天の御父に祈る。
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さて私の愛する兄弟たちよ、イスラエルの家に縁のあるすべての者よ、世界の隅々に至るあらゆる人々よ、私は土の中から呼ぶ人の声のようにあなたたちに語る。あの大いなる終りの日がくるまでさらば。
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神の恵みにあずかることを好まず、ユダヤ人の言葉と私の言葉と神の小羊の口から出るはずの言葉とを重んじない者たちよ。以上の言葉は終りの日になって汝らに罪のあることを決めるものであるから、私は永遠にさらばと言う。
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私がこの世に於て結び固める言葉は天の法廷に於て汝らに反対をするであろう。これは主が私に命じたもうたことであるから、私はその言葉に従わなくてはならない。アーメン。
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