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第十五章 真鍮版からの聖文、つづき。イザヤ書第五章と比較せよ。 その時にわれはわが深く愛する者に、その葡萄畑を歌ったかれの歌を唱って聞せよう。わが深く愛する者は土のよく肥えた小山に一つの葡萄畑がある。
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かれらはまわりに垣根を結び、その中の石をとりのけて最もよい葡萄を植え、畑の中にはやぐらを建て葡萄のしぼり場をつくって葡萄の生るのを待ち望んでいたのに実ったのは野葡萄であった。
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さてエルサレムに住む人よ、ユダの人々よ。ねがわくは、われが悪いか畑が悪いか審判せよ。
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われがすでに葡萄畑にしたことのほかに、まだ何のなすべきことがあったか。かようにして、われは葡萄の生るのを待っていたのに実ったのは野葡萄であった。
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さあ、われがその葡萄畑にすることを言って聞かそう。われはその葡萄畑の生垣をとり去って食い荒されるにまかせ、その石垣をこわして畑がふみ荒されるにまかせよう。
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われは畑を荒させて、枝をきらせも土をたがやさせもせず、いばらとおどろとを生えさせてやり、また雲にいいつけてその上に雨を降らせないようにしよう。
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そもそも、万軍の主の葡萄畑は、すなわちイスラエルの家であってユダの人々はその喜びたもう植木である。主は正しい裁判を望みたもうたのに暴虐があり、正義を望みたもうたのにかえって泣く声が聞こえた。
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空地のないまでに家を建てつらね、かようにして自分たちひとり広い世界の中に居ろうとする者は禍である。
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万軍の主がわが耳に告げたもうた。実に多くの家々が荒れ果て多くの美しい大都市が無人の境となる。
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十エーカーの葡萄畑はわずかに一バテを結び、一ホメルの種はわずかに一エパしか結ばない。
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朝早くから起きて強い酒を追いもとめ、夜になるまで飲みつづけて酒に身を焼く者は禍である。
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その席には立琴があり胡弓があり鼓があり笛があり葡萄酒がある。しかしかれらは主の御業を重く見ずその御手の働きを考えない。
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この故に、わが民は知識がないために束縛の身となり、その位の貴い者は飢え、そのもろもろの民は渇きによって乾上る。
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それ故に、地獄は拡がってその口をかぎりなく大きく開く。わが民の中の栄華、群集、にぎわいおよび喜び楽しむ人々はついに地獄へ落ちる。
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位のいやしい者はいよいよ低くされ、威勢のある者はおとされおごる者の目は辱しめを受ける。
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しかし万軍の主は裁判をしたもうからあがめられ、聖い神は正しいから神聖であると仰がれたもう。
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この時小羊は欲しいだけ草を食べ、旅人は来て肥えた者のすてたところを食う。
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うぬぼれの心の縄で悪事をひき、車の縄でひくように罪をひき、
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われらにかれの業が見えるようにかれをいそがせよ。われらにイスラエルの聖者の勧めが知れるようにそれを近よらせよ、と言う者は禍である。
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悪を善と呼び、善を悪と呼び、光のかわりに闇、闇の代りに光を以てし、甘さを苦さにかえ、苦さを甘さにかえる者は禍である。
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自分を見て賢いと思い、聡明であると思う者は禍である。
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葡萄酒を飲むに強い者であり、濃い酒を合せて飲むに堪える者は禍である。
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かれらは、わいろによって悪い者を正しいとし、義人からその義をうばう。
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これによって、火が刈り株を焼き焔がもみがらを燃すように、かれらの根は腐りはてその花は塵のように散ってしまう。かれらは万軍の主の律法をすてて、イスラエルの聖者の道を侮ったからである。
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この故に、主はその民によって怒りを燃やし、手をのばしてかれらを打ちたたもうたから、山々はふるい動きその民のしかばねは街の中でひき裂かれた。それでも主の怒りはまだ解けないで、なおその手をのばしたもう。
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主は国々の民を招く旗を遠い所に立てたまい、世界の端から鋭い声を出して人々を呼びたもう。見よ、人々は急いで走って来る。その中に一人の疲れる者もなくまたつまずく者もない。
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その中に一人のまどろむ者も眠る者もなく、またその腰の帯はとけず、その靴の紐も切れない。
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またその矢は鋭くその弓はみな張られ、その馬のひづめはひうちいしのようであり、その車はつむじかぜのようであり、その呼ぶ声はさながら獅子の声である。
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かれらはちょうど若い獅子のようにほえ、ほえながら獲物をとらえて安全に運び去るからこれを救う者がない。
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その日にかれらが世の人にほえたけることは海の鳴りどよめくようであり、もし世の中をのぞめば闇と悲しみがあって天の光が暗いのが見えるであろう。
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