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【韓国語文語コース】

おすすめ参考書

 

  1. 参考書
     韓国語の入門・初級参考書は最近は掃いて捨てるほどあり、どれを選んでいいか迷います。もっとも、迷うということは、決定打になるような名著は存在しないってことなんですけどね。まあ適当な本で勉強してください。NHKのラジオ講座(テレビ講座はミーハーでダメ)があたりさわりがなくて一番いいかもしれません。
    名著は存在しませんが悪書は存在します。たとえば東京外国語大学教授・野間秀樹先生の本、『新・至福の朝鮮語』(朝日出版社)だの『ニューエクスプレス韓国語』(白水社)だのは、例文のおフザケが過ぎていておすすめできません。『至福~』の序文によればどうもこの先生、意図的にナンパな文を選んでいるようなんですが、親しみやすいということとおフザケとの違いがこの先生にはわかっていないようです。入門参考書の例文は全部暗記すべきといえるほど重要なのですから、無味乾燥なほうがいいのです。フザケた文を覚えたいなら中級以後にいくらでも機会はあります。

     で、中級以後はご自分の興味に従って教材を選べばいいです。映画やドラマが好きならシナリオをネタにした教材もあります。最近ではスラングや男女の怪しい会話に即した教材さえあります。もちろん硬派なものもいっぱいあります。
     とりあえず当「聖書の言語入門」では文語という古めかしい言葉を扱っています。「口上」に書いたように、文語そのものを扱った参考書は絶無なのですが、古めかしい言葉を扱った往年の参考書には良書がありますので2つご紹介します。
    1. 『朝鮮語四週間』(石原六三、青山秀雄著。大学書林。1963)……その昔、1970年代までは唯一のまともな入門書でしたが、真理子に言わせればいまだに光を失っていない永遠の名著です。早くから朝鮮語科を開設していた天理大学の教科書を一般向けに書き換えたものです。-ㅂ니다形じゃなく-오/-소形なんていう今の韓国じゃ全くなじみのない形から入るので今の学生さんはびっくりするかもしれませんが(でも北朝鮮の映画みてると、お年寄りの言葉はみんな-오/-소ですよ。고맙소.(ありがとう)とかね。昔はそうだったのよ)、それだけに、ちょっと古めかしい言葉を覚えるには最適。文法説明のしかたはちょっと古めかしいですが、最近はやりの語基式なんかよりははるかに覚えやすいと思いますけどね。
       ところでこの本の前身である「天理大学の教科書」も、実は市販されていました。『朝鮮語の学習』(石原六三、青山秀雄著。養徳社。1962/1969)がそれです。見ると、大学書林の本の前半の文法部分と附録の一部を抜き出した感じです。大学書林の本がいまだ現役ですからこれを買えばいいと思いますが、お金のない方は真理子修道会にいらしてくだされば、絶版になった養徳社の本は見られるようにしておきます。
       ただしできれば大学書林の本を使ってほしいです。というのは第3週(後半)以降の訳読が、1920-30年代の朝鮮文学全盛期の小説や詩を中心としていて、昔の本を読む練習になるし、巻末に語彙索引があるので辞書も不要になりますもの。
    2. 『朝鮮語の入門』(菅野裕臣著。白水社)[1981年版]……入門からはじめて、20世紀初頭つまり大韓帝国末期の文まで扱っている点が他書にない特徴。それから、語と語の間を続けて読むか区切って読むか(それによって平音が有声音化するか濃音化するかが違ってきます)など、ハングルで表しきれない発音の注意を偏執狂的に詳しい記号をつけて解説しているというのも、賛否両論だと思いますが本書の一大特徴でした。
       「でした」というのは、残念ながらこの本は絶版であり、現在入手できる『朝鮮語の入門・改訂版』(2007年改訂)は、上に述べた本書の一大特徴を全部カットしちゃって、本書をただの平凡な入門書に堕落させてしまいましたのでおすすめできません。図書館などで旧版を探してみてください。
    どちらも、最初に手に取る本としては難しすぎますが、再入門用、中級以後の文法リファレンス用としては最適です。


  2. 辞典
     最近の韓国ブームで参考書は迷うほどいっぱいになりましたが、使える辞典は一つしかありません。韓日辞典は『朝鮮語辞典』(小学館/金星出版社編)一つのみ。日韓辞典は絶無。いかに今の日本の韓国ブームの底が浅いかをよく示していますね。
     日本語を勉強している韓国人はいっぱいいるので、韓国では日韓辞典、韓日辞典が数多く作られています。それを日本人が流用するというのが今までの(今もそう)韓国語辞書事情。たしかに韓国語と日本語は文法がそっくりなので韓国人向けの辞書を流用しやすいんですが、そろそろ日本人の日本人による日本人のための韓国語辞典がほしいところ。そういう辞典が非常に少ないというのはハッキリいって日本人学者の怠慢。
    実は小学館の朝鮮語辞典も韓国の韓日辞典を流用してるんですが、日本人向けに改めた部分が多いので使いやすくなっています。あと、歴史的にいえば「日本人の日本人による日本人のための韓国語辞典」は次の3つがあります。
    1. 『現代朝鮮語辞典』(天理大学/養徳社)……長年韓国語教育をやってきた天理大学の面目躍如という辞典。いい辞典ですけど語数と語法説明が少ないんで、小学館の朝鮮語辞典が出た今となっては光を失っちゃいました。
    2. 『朝鮮語大辞典』(大阪外国語大学)……大阪外大の塚本先生が想像を絶する苦労の果てに作った名著。昔の大阪外大には馬鹿な学生が多くてこういういい先生を迫害していたんです。詳しくは『朝鮮語を考える』(塚本勲。白帝社)参照。ただ、日韓の交流のない時代に作ったので仕方ないんですが、韓国で出た日本文学の翻訳文を例文として多く採用している点で例文としての信頼性に欠けます。それに例文が多いので、語数が意外に多くありません。体感的には小学館の朝鮮語辞典とどっこいです。だいいち今じゃこの本入手困難でしょう。
    3. 『コスモス朝和辞典』(菅野裕臣著。白水社)……解説の充実ぶりはいまだに他の及ぶところではありません。だけど語数があまりに少ないので辞典というより語彙集。韓国語は漢字語が多いので、ある程度の語数がないと辞典として役に立ちません。

     小学館の朝鮮語辞典は電子化もされています。カシオの電子辞書の追加コンテンツで手に入りますし、オムロンの「楽々韓国語」というソフトウェアにも入っていますので、ご購入になると便利です。
     日韓辞典は長らく「韓国人が日本語を読むための辞典」しか存在しませんでしたが、2008年になってやっと、日本人の日本人による日本人のための日韓辞典として、『日韓辞典』(小学館)が出ました。語数をしぼって文例を多くしたのは評価できるんですが、やっぱり語数が少ないことは不便で、他の辞書と併用しなければなりません。それから文例は「あれ、おかしいな」っていうのがけっこうあり、まだまだ改良の余地がありますね。まあそれでも役に立つ一冊です。
     上記の辞典で役不足を感じたらもうあとは韓韓辞典しかありません。韓国語の場合、文法的には日本語そっくりなので、韓英辞典などではかえって要領を得なくなります。一足飛びに韓韓辞典を使ったほうがはるかにラクです。幸い、IT大国である韓国では定評のある大規模な韓韓辞典がWEBで無料で利用できます。
    1. 표준국어대사전
    2. 우리말 큰사전
    3. Stars21(표준국어대사전, 연새국어사전)
    このほか、各検索サイトの辞典サービスもあります。
     あとはわからない単語を検索エンジンに入れて探してみるという手があります。特に新語やスラングなどはこの方法をおすすめします。