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第二章
リーハイ、その妻子と共に紅海に近く境する荒野に出発する。リーハイの年上の息子たち、レーマンとレミュエルがリーハイに向って不平を鳴らす。ニーファイとサームは父の言葉を信ずる。主がニーファイに与えたもうた約束。
ごらん、主はまことに夢の中で私の父に向い「リーハイよ、汝は汝の行いのためにさいわいなり。汝は忠実なる者にしてわが命じたることをこの民に宣べ伝えし故、見よかれらは汝の命をとらんと謀るなり」と仰せになった。
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そして主はまことに夢の中で私の父に妻子をつれて荒野へ出て行けと命じたもうた。
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私の父は主の言葉によく聞き従ったから、主が命じたもうた通りにした。
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そして父は荒野へ出て行った。父は自分の家と相続した土地と、所有の金銀および貴重品をあとにのこして、ただ妻子と食糧と天幕のほかに何ももたずに荒野へ旅立った。
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父はまず紅海の海辺に近い国境のそばへきて、それからさらに一そう紅海に近い国境にある荒野の中を進んで行った。父はまことに荒野の中をその妻子をつれて旅をしたのであるが、その妻子とは私の母サライアと三人の兄達レーマン、レミュエル、サームとであった。
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私の父は三日の間荒野の中を進んでからある谷間に止り、そこを流れる川のほとりに天幕を張った。
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そこで父は石で一つの祭壇を築き、主に捧物を捧げてわれらの神である主に感謝をした。
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父はこの川にレーマンと言う名をつけたが、この川は紅海に注ぐ流れであって、その谷は川口に近い国境にあった。
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父はこの川の水が紅海の頭に注ぐのを見てレーマンに向い「この川がたえず流れて海に入るように、汝もたえ間なくあらゆる正しさの海に流れこんでくれるように」と言い、
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またレミュエルに向って「汝はこの谷のように堅く固く、びくともせずに主の命令を守ってくれるように」と言った。
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さて父がこう言ったのはレーマンとレミュエルが強情であったからで、ごらん、この二人は父に向って父は幻に耽る人であるから、今度も自分たちをエルサレムの地からつれ出し、自分たちの相続の土地も所有の金銀も貴重品もみなあとにのこしてきた。これでは自分たちが荒野の中で死んでしまうのである、などと多くのことに不平を鳴らしたからである。また父はこのたびのことも心に浮んだつまらぬ空想のためにしたのだなどと二人は言った。
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このように、一番年かさであるレーマンとレミュエルがその父に向って不平を鳴らしたのであるが、それは自分たちをつくりたもうた神のお計いを知らないから、まったく不平を鳴らしたのであった。
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また、この二人は予言者たちが言ったように、あのエルサレムと言う大きな都が破壊されることがあるのもまったく信じなかったから、ちょうど私の父の命をとろうとしたエルサレムのユダヤ人のようであった。
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しかし私の父はレミュエルの谷で「みたま」に満たされたから、真実、力をもってこの二人に語ったので、二人はついに父の前に身をふるわせ、まことに閉口して一言もよく言い返さず、父の命ずるままに聞き従った。
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その時、私の父は天幕の中に住んでいた。
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このころ、私ニーファイはまだ大そう若かったが、もう身のたけは高くまた神の奥義をしきりに知りたいと願っていたから心から主に向って祈った。ところがごらん、主は真実まことに私を訪れたまい私の心を和げたもうたから、私は父がこれまでに語った言葉をみな信じた。それで私は兄たちのように父に対して逆らわなかったのである。
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私はサームに向い、主の聖き「みたま」によって主が私に示したもうたことを話して聞かせたところ、サームは私の言った言葉を信じた。
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ところがごらん、レーマンとレミュエルは私の言うことを聞こうともしなかったので、私は二人の心のかたくななのを歎いて二人のために熱心に主に祈った。
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すると主は私に語って「ニーファイよ、汝は信仰ある故にさいわいなり。そは、汝へりくだりたる心もて熱心にわれをたずね求めたればなり。
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汝わが命令を守らば、われは汝を栄えさせ、約束の地に導くべし。まことにこは、汝のために備えたる土地にして、まったくいかなる土地もはるかに及ばざるほど優れたる土地なり。
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もし汝の兄弟たち汝に叛かば、それらの者は主の前より追いはらわるべし。
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またもし汝わが命令を守らば、汝は兄弟たちの支配者にされまた兄弟たちの教師になるべし。
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見よ、汝の兄弟たちわれに向いて叛く時には、われはおそろしきのろいをもてこれをのろうべし。また汝の子孫たちわれに叛かざるかぎり汝の兄弟たちに汝の子孫たちを司どる力を与えざるべし。
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されどもしも、汝の子孫たちわれに叛かば、兄弟たちは汝の子孫たちに主を思い出さしむるため、鞭のごときものとなりてこれを責むるべし」と仰せになった。
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