片山正雄『双解独和小辞典』木村謹治『和独辞典』ヘルプ

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概要

 往年のドイツ語辞典、片山正雄『双解独和小辞典』木村謹治『和独辞典』をそのままスキャンし、簡易検索機能をつけて利用できるようにしたものです。

操作法

独和辞典と和独辞典の切り替え
二つの辞典の切り替えは自動的におこなわれます。
直接ページを指定してジャンプする場合は、独和和独 で指定します。
の場合、英字を入力すると独和、ひらがなを入力すると和独になります。和独の見出し語は原著本文ではローマ字表記されていますが、ここではひらがなでお願いします。戦前の辞典ではありますが、ひらがなは現代仮名遣いです。なにしろ原著のローマ字も歴史的仮名遣いではなく発音どおり(つまり現代仮名遣い風)のものですから。
現在がどちらの辞典であるかは、表示された頁を見ればわかると思いますが、タイトルでピンク色で大きく表示しています。
検索語欄をクリアします。
入力窓の先頭1語を検索します。入力窓の文字が半角英字であれば独語とみなして独和辞典を、ひらがな・カタカナであれば日本語とみなして和独辞典を検索します。
先頭1語(先頭から半角スペースまで)を削除します。この後にをクリックすることによって、長い文の語を次々に調べることができます。なお、日本語は通常スペースで区切らないので和独辞典の場合は意味がありません。
もしかして?……
先頭1語が変化形と思われる場合、その原形とおぼしき候補を表示します。このボタンをクリックすると、その候補を検索します。なお、この検索によって検索語欄に影響が及ぶことはありません。
 なお、この「もしかして検索」は、変化形の原形を正しく表示する機能ではありません。あくまで、変化が激しい語について、たぶんこのあたりに必要とする情報があるのではないかという提案をして、そのページをめくりやすくする機能です。ですから、語尾のみが変化する語については、語尾がどうあれたぶんそのページないし前後1ページあたりを見れば情報が出ているはずなので、候補を出しません。また、geで始まるキーワードを入れると、それが不規則変化表のデータとマッチしない場合は、一律にgeを除いた形を提案するという手抜きをしたりします。
特殊文字を入力します。なお、わざわざこれらの文字を入力しなくても、a、o、u、ssと入力してかまいません。
p.
指定されたページにジャンプします。独和辞典、和独辞典どちらの辞典のページであるかは、独和和独 で指定します。
頁をめくります。なお、本文画面左端近くをクリックしても前頁に、本文画面右端近くをクリックしても次頁に移動できます。
新しいタブでこのページを拡大します。スマホ、タブレット、Windows8などでは画面をピンチアウト(2本指で拡げる)すれば拡大するのでこの機能を使う意味はありませんが、この機能のない環境では役に立つかもしれません。
現在のページを再表示します。Wi-Fi接続して見ている場合など、通信障害によって、画面の一部しか表示されずに固まってしまう場合があります。そんなときにブラウザのリロードボタンを押すとうまくいく場合がありますが、1ページめに戻ってしまいます。このボタンを押してみてください。

フラクトゥーア(亀の子文字)

 片山双解独和小辞典の見出しや例文にはフラクトゥーアが用いられています。詳しくは、亀の子に慣れようを御覧いただくとして、書体一覧だけ掲げておきます。なお片山双解独和小辞典では、ローマン体部分についても、sの語頭語中形としてſが用いられているので注意してください。
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZÄÖÜ 
 
abcdefghijklmnopqrstuvwxyzäöüß

原著の価値について

 戦前の日本人のドイツ語学習熱からするとまことに意外なのですが、英和、和英辞典でいう斎藤秀三郎の辞典のような「伝説の名著」は、ドイツ語の辞典には存在しません。その後の時代には、木村謹治(1889-1948)と相良守峯(1895-1989)の『独和辞典』(1940)が通称「キムラ・サガラ」と呼ばれ、戦後には大ベストセラー、標準的な独和辞典になったんですけど、相良先生が長生きなさったので当分この辞典の著作権は消滅しません。
 戦前によく用いられた辞典は、
  1. 登張(とばり)信一郎(号:竹風(ちくふう))の『大独和辞典』(1912)、『新式独和大辞典』(1919)、『大独日辞典』(1933)
  2. 片山正雄(号:孤村)の『双解独和大辞典』(1927)『双解独和小辞典』(1929)『新独和小辞典』(1956)
というところです。真理子は登張の『新式独和』、片山の『双解・小』を持ってます。どっちを使おうか迷ったうえで片山にしました。
 登張は日本初独和辞典編纂の栄誉を担っていますが、辞書の個性にとぼしいところがあります。片山は『独逸文法辞典』を編纂したくらいで文法語法に詳しいという特徴があります。ちなみに双解とは、単に日本語の訳語をあてはめるだけでなく、原語による解説もつけているということ、つまり独独辞典的な性格も付加しているという意味で、村松守義『英和双解隠語彙集』(金港堂, 1887)→近代デジタルライブラリーにみる明治の語学辞書 @ 国立国会図書館で取り入れられた、当時はやった趣向のようです。
 片山は『双解・大』→『双解・小』と作って死去。その後の『新独和小辞典』などは実質的には別人の著です。このように「小」のほうが片山の意図をよりよく反映した辞典なので、「小」に決定しました。ドイツ語は臨時にどんどん複合語を作ることができるので、逆に基本語の説明が充実しているほうがよく、必ずしも「大は小を兼ね」ません。
 私の敬愛する関口存男先生の『独逸語大講座』第7講でも、「片山氏の雙解獨和小辭典(南江堂發行)」と、この辞典を例にあげていますから、関口先生の指定辞典ということで、とりあげる価値もあるでしょう。
 独和辞典にして伝説の名著がない状況ですから、まして和独辞典にはよいものがありません。ここでとりあげた木村謹治の和独辞典の母体となった『和独大辞典』(1937)までは、そもそも和独辞典なるものが実質的に存在しなかったらしいです。
 ここでは、単に著作権が切れているというだけの理由で、木村謹治の和独辞典を選びました。木村謹治は上述のように、相良守峯とともに編纂した独和辞典が「キムラ・サガラ」と呼ばれて戦後の定番辞典になりましたが、その一方の木村先生単独著作ってことでこの和独辞典を選びました。考えてみると、キムラ・サガラもこの本も1940年初版なんですね。キムラ・サガラのほうは相良先生が長生きしたおかげで当分著作権が切れませんが、和独のほうは木村先生が早死にしたおかげでもう著作権が切れちゃったというわけです。キムラ・サガラ同様、ナチス以後でもう書体がローマン体になっててフラクトゥーア(亀の子)じゃないのが難点ですが、独和も和独もどっちもフラクトゥーアだと現代のわれわれには使いにくいし、まあいいかなっと。

画像

 原著を独和は300dpi、和独は400dpiでスキャンしました。

著作権(片山正雄『双解独和小辞典』)

 片山正雄『双解独和小辞典』については、次の各人に著作権があります。
  1. 著者・片山正雄(片山孤村)(1879 - 1933)……没後50年を経過しており著作権保護期間満了
  2. 南江堂……この版は1932年に作られたものであり、以来50年を経過しており著作権保護期間満了。
というわけで、著作権に関する問題は一切発生しません。日本以外の国では著作権保護期間が70年という国も多いですが、そういう国を含めても著作権に関する問題はありません。

著作権(木村謹治『和独辞典』)

木村謹治『和独辞典』については、次の各人に著作権があります。
  1. 著者・木村謹治(1889-1948)……没後50年を経過しており著作権保護期間満了
  2. 博文館……この版は1940年に作られたものであり、以来50年を経過しており著作権保護期間満了。
というわけで、著作権に関する問題は一切発生しません。

原著序文類

 PDF化しましたので次からダウンロードしてください。
  1. 独和序文
  2. 独和文法
  3. 和独序文・付録