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モルモン経

ばべるばいぶるで用いているモルモン経データに関する説明をします。

  1. モルモン経とは・1
     末日聖徒イエス・キリスト教会で聖書以外に重要視している聖典です。全部で15の書物(序文を除く)からなりますが、その中の13番目「モルモン書 The Book of Mormon」がこの聖典全体の呼称ともなっており、さらにはこの教団の俗称「モルモン教(きょう)」の語源にもなっています。とても紛らわしいので、当サイトでは、聖典全体の場合「モルモン経(けい)」、その13番目の書物をさすときは「モルモン書」と記します。現在の日本語訳では聖典全体をも『モルモン書』と称していますが、聖典全体のことを「モルモン書」と呼ぶ場合は「モルモン書(95年訳)」などのように、紛らわしくないよう注記します。
     さらに、この教団をモルモン教と呼ぶのは俗称・蔑称といえるので適切でないのかもしれませんが、末日~というのは長すぎますし、アメリカでの略号LDS(Church of Jesus Christ of Latter-day Saintsによる)というのも一般的ではありませんので、このページではこの教団のことをモルモン教と呼ばせていただきます。


  2. 当サイト・当教会のモルモン教・モルモン経へのスタンス
     モルモン教はエホバの証人、統一教会と並んでキリスト教の三大異端とされているので、厳しい批判をするキリスト者が多く、Wikipediaのモルモン教やモルモン経の記述も、随所にキリスト教の立場による批判的言辞が多数混入しており、第三者の目から見ると中立性が疑われるものとなっています。
     当教会もキリスト教会としてはモルモン教などには一切関わってはならず、サイトでモルモン経を掲載したりなどしたら、それだけで「あそこは異端だ。モルモン教だ」という色眼鏡で見られるかもしれません。まあそれでなくても当教会は異端認定を受けそうですけど、あえてことさらに言わせていただければ、当教会はモルモン教とはまるきり関わり合いがありません。
     にもかかわらずモルモン経を掲載するのは純粋に知的関心からです。その知的関心とは、「聖書継承のありかたの事例」ということです。
     当サイトではモルモン経以外に、イミタチオ、クルアーンを扱っています。イミタチオはキリスト教(カトリック。もっとも当時はプロテスタントは存在しませんが東方教会に対する西方教会という意味です)における聖書継承の事例、クルアーンはイスラム教というキリスト教を全く離れた巨大世界宗教における聖書継承の事例、そしてモルモン経は、キリスト教系新宗教であるモルモン教における聖書継承の事例です。
     聖書は、まるきりそのままでは、宗教になりません。聖書を料理にたとえれば食材にすぎず、切ったり火を通したり香辛料を加えたりしてはじめて料理すなわち宗教になると考えます。「聖書のみ」などと言ってるプロテスタント系教派だって、どこかで聖書に基づかない習慣を取り入れているものです。このように、聖書を宗教にするためには聖書の記述をそのまま生かすだけでなく、別のものを加えたり、時には特定の記述を無視したり解釈を変えたりしなければなりません。旧約聖書に書いてある豚を食べるななどの律法を今日のクリスチャンが守らないのは「無視・解釈の変更」の例です。このような追加・無視・変更を経ながら聖書を受けつぐ姿勢のことを、当サイト・当教会では「聖書の継承」と呼びます。
     そして、その「聖書の継承」のあり方を、キリスト教、他宗教、新宗教という異なる3つの立場からの事例を扱うことによって研究していきたい、それが当サイト・当教会で聖書以外の3つの聖典をとりあげている理由です。
     モルモン教は1830年に成立した当初はさまざまなカルト的要素を持った危ない教団でしたが、1世紀半以上、そろそろ2世紀になりなんとする歴史を経て、すっかり社会に定着した感があります。日本でいえば天理教とほぼ同じ長さの歴史があるわけです。異端ではあってもカルトではない、キリスト教そのものだとは思いませんが、キリスト教系新宗教として、注目しております。


  3. モルモン経とは・2
     さて、モルモン経はモルモン教の教義(モル序:5参照)によれば、1827年にジョセフ・スミス・ジュニア(二代目と表記されることもある)が発掘した古代語の聖典であり、彼は著者ではなく英語への翻訳者というスタンスですが、実質的には彼が訳した英語版こそが原典となっており、ここから世界各国語に翻訳されています。
     モルモン経は15の書物からなり、それは次のとおりです。
    番号略号英語タイトル日本語タイトル
    0ibmIntroductions to the Book of Mormon序文類
    11neThe First Book of Nephiニーファイ第一書
    22neThe Second Book of Nephiニーファイ第二書
    3jacThe Book of Jacobヤコブ書
    4enoThe Book of Enosエノス書
    5jarThe Book of Jaromジェロム書
    6omnThe Book of Omniオムナイ書
    7wmoWords of Mormonモルモンの言葉
    8mosThe Book of Mosiahモーサヤ書
    9almThe Book of Almaアルマ書
    10helThe Book of Helamanヒラマン書
    113neThe Third Book of Nephi第三ニーファイ
    124neThe Fourth Book of Nephi第四ニーファイ
    13morThe Book of Mormonモルモン書
    14ethThe Book of Etherエテル書
    15mniThe Book of Moroniモロナイ書
    日本語タイトルは翻訳によって若干の違いがありますが、現行の『モルモン書』(1995)に従いました。
     上述のように13番目の「モルモン書」は、聖典全体の「モルモン経」ととても紛らわしく、英語タイトルはまったく同一ですし、現在の日本語訳(95年版)でも同一です。1909年文語訳、1957年口語訳では聖典全体タイトルを「モルモン経(けい)」と翻訳してきたので当サイトでは聖典全体としてはモルモン経と記します。
     また、3番目のヤコブ書は新約聖書のヤコブ書と大変紛らわしく、モルモン経では新約聖書のほうを「新ヤコブ書」と称していますが、当サイトではモルモン経のほうを「ヤコブ書(モルモン)」のように記します。


  4. モルモン経「序文類」の扱いについて
     モルモン経には6種類の序文がついています。序文を除いた部分は聖書同様「書・章・節」というデータ構造になっているのでそのままそれを採用しましたが、序文の部分はそのようになっておりません。当サイトでは、6つの序文を総合したものを「序文類(Introductions to the Book of Mormon。略号はibm)」とし、6つの序文を第1章~第6章とし、それぞれの文の形式段落(英語原典による)を節としました。


  5. モルモン経(英語T)
     略称=Mr:(英T)、略号=more
     作業状況=1
     モルモン経の実質的原典です。教団サイトとしてはBook of Mormonで見られますが、Internet Sacred Text Archiveのほうが変換しやすかったので実際には後者からいただきました。もっとも序文類が完全ではありませんでしたので、序文類だけは前者からいただきました。


  6. 文語訳モルモン経1909(日本語G)
     略称=Mr:文語(日G)、略号=morjb
     作業状況=1
     明治年間にアルマ・O・テーラー伝道師によって翻訳された文語訳『モルモン経(けい)』です。翻訳の経緯は「モルモン径(ママ)」翻訳の大事業によれば、当初はローマ字表記の口語体で、日本人信徒の手によって文語化されたもののようです。1909(明治42)年に翻訳・発行、書物には翻訳者が書かれておりませんので集団による著作であり、1959年末には著作権保護期間が満了したものとして一般公開します。国立国会図書館蔵の1950年再版本に基づきました。
     なお、電子テキスト化の試みが「文語訳モルモン経-電子テキスト化」でなされていますが、最初のほうだけやって放置されてます。これの作業用の画像が「モルモン経(文語訳)」にありますが、これも冒頭99ページまでしかありません。ちゃんと最終ページまでアップしてくだされば、当サイトでわざわざお金をかけて国立国会図書館でコピーする必要はなかったのに。
     なお、この訳では序文が1章と4章、つまり冒頭の序文および「八人の見証者の証言」しか存在しません。


  7. 口語訳モルモン経1957(日本語T)
     略称=Mr:口語57(日T)、略号=morjc
     作業状況=1
     1957年に翻訳発行された口語訳『モルモン経(けい)』です。書物には翻訳者が書かれておりませんので集団による著作であり、2007年末には著作権保護期間が満了したものとして一般公開します。



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