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第63章 シブロン、ヒラマンのあとをつぐ。モロナイの死。ハゴツ、船を造る。ニーファイ人、北方の地へ海を渡って行く。ヒラマンの子のヒラマン、記録を誌す。モロナイハ、レーマン人を破る。アルマの記録終る。 ニーファイの民を治める判事治世の三十六年目の始め、シブロンはアルマがさきにヒラマンへ授けたあの神聖な品々を預ることとなった。
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シブロンは正しい人で神の前に正しい真直ぐな行いをし、慎んでたえず善を行いその神である主の命令を守った。その兄弟もまたその通りであった。
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さてモロナイもまた亡くなったが、このようにして判事治世の三十六年目は暮れて行った。
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判事治世の三十七年目、五千四百人の男子とその妻子とから成る大きな一団がゼラヘムラを去って北の地へ移った。
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このころにハゴツと言う非常に好奇心の強い人が居たが、デソレションの地に近いバウンテフルの国境の所へ行って自分のために非常に大きな船を造り、北方の地へ行くあの狭い地峡の近所でこの船を西の海へ進水させた。
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そこで多くのニーファイ人がこの船に乗り、多くの食糧を携え多くの女子供をつれて北の方へ船出した。これで三十七年目は暮れた。
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三十八年目にハゴツはさらに何隻かの船を造った。最初に造った船が帰ってくると、また多くの人々がこれに乗り多くの食糧を携えて北の方へ船出した。
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ところがその船と乗組の人たちは行方不明となり、その後何の音沙汰もなかったから、われらは人々が海に溺れたであろうと思っている。今一隻の船も出帆したが、これもまた行方知れずとなった。
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この年に北の方の地へ移って行った人は多かった。これで三十八年目は終る。
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判事治世の三十九年目にシブロンが亡くなった。コリアントンは、すでに北方の地へ移った人々に食糧を持って行くため船に乗って出て行ったから、
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シブロンは亡くなる前にヒラマンの息子にあの神聖な物を授けなくてはならなかった。ヒラマンの息子はその父の名をついでやはりヒラマンと言った。
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そこで、ヒラマンが預ったあのいろいろな版に刻んである言葉は、アルマが公にしてはならないと命じた部分を除いてみなこれを書き写して全国の民に発表した。
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しかし、このいろいろな版は神聖に保存されて代々伝えなくてはならぬものであるから、この年シブロンの亡くなる前にヒラマンに伝えられた。
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この三十九年目には、また多少の謀叛人が居ってレーマン人の方へ移ったから、レーマン人がまた煽動されてニーファイ人を怒った。
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それでこの年にレーマン人はモロナイハの軍と戦うために大軍を以て出てきたが、戦に敗れて大きな損害を受け自分の国へ追い返された。
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ニーファイの民を治める判事治世の三十九年目はこの有様で暮れて行った。
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これを以てアルマとその二人の子ヒラマンおよびシブロンの記録を終る。
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