[真理子日曜学校 - 宗教音楽のたのしみ(フレーム表示) ]
【一般コース】
時代区分早分かり
- 時代区分早分かり
戦前のころクラシックといえば、バッハ(1685-1750)が一番古く、それ以前の音楽は学者やよほどのマニアのためのもの、いっぽう20世紀の現代音楽も学者とマニアのためのものでしたから、たかだか150年間の音楽だけを聴いていたわけです。ところが戦後ヴィヴァルディ『四季』をきっかけにバロックブームがおこり、さらにはルネサンス、中世とさかのぼり、そしてグレゴリオ聖歌ブーム。いっぽう21世紀に突入してもはや20世紀を「現代」と言いがたくなりつつある今や、一般人の耳も20世紀の音楽になじむようになりました。今ではクラシックは、8世紀から20世紀までざっと1200年以上もの長い間の音楽をカバーするようになったわけです。
これだけ長期間の各時期の音楽を楽しむためには、大雑把でもいいから音楽史の知識があるといいです。
詳しい話はそれぞれの項でするとして、まずは時代区分を覚えましょう。
- 150年サイクル
少なくとも西暦1000年以降は、ヨーロッパの音楽の様式はほぼ150年を1サイクルとして変化してきました。そこで強引に、150年ずつ区切って解説をしていきましょう。なお、150年サイクルという発想は皆川達夫『バロック音楽』(講談社現代新書)から拝借しました。
- グレゴリオ聖歌(850-1000)
各地域の教会の聖歌の歌い方を統一するため、音楽を楽譜に記すという、他地域の音楽にはみられない画期的な事件が起こりました。
- セクエンツィア(1000-1150)
グレゴリオ聖歌を極端に伸ばして歌い、それに別の歌詞をつけてしまうセクエンツィアが起こりました。
- ゴシック期(1150-1300)
極端に伸ばして歌うグレゴリオ聖歌の上に三位一体を象徴する3拍子系のリズムの旋律をのせてうたうオルガヌムが栄えました。
- アルスノヴァ(1300-1450)
三拍子系以外に二拍子系などさまざまなリズムが生まれ、半音進行も生まれるなど表現が増大、また世俗的な多声音楽も栄えました。
なお、アルスノヴァまでの時代を大雑把に「中世」という呼び方をしてかまいません。
- ルネサンス(1450-1600)
一つの旋律を各声部が追いかける複雑なフーガの形で、しかも全体としては美しい調和があるという曲が主流になりました。
- バロック(1600-1750)
オペラの誕生とともに音楽に劇的な表現が生まれ、前代までの多声音楽は、通奏低音を基調としてその上に一つの旋律を歌うというシンプルな形になっていきました。現在私たちになじみのあるハ長調だのト短調だのという調性はこの時代に確立しました。
- 古典派・ロマン派(1750-1900)
その昔はクラシックといえばこの時期の音楽だけしか聴かれていませんでした。狭義の「クラシック」音楽です。前代とは逆に、旋律がメインになって和声を従える形の、現在ふつうにみられる作曲法になりました。
- 20世紀の音楽
作曲家があらゆる音の可能性を追求するようになり、既存の音楽は解体され、その中で新たな道を模索している途中です。