[真理子日曜学校 - 聖書入門(フレーム表示) ]
【旧約各書解説コース】

創世記

 

  1. タイトル

     (*)は「真理子のおまけ」を含む。
     


  2. 文字数など
    全 50章 1533節
    日本語……口語訳(*) 257380文字 新共同訳(*) 249732文字 新改訳 263679文字 文語訳 197158文字
    ヘブライ語……BHS 18156語 現ヘブ 20613語
    ギリシア語……ネストレ・アーラント+七十人訳 32583語
    ラテン語……ヴルガタ 25218語
    英語……KJV 38264語 WEB 35894語
    ドイツ語……ルター1545年 42305語
    韓国語……改訳ハングル 22000語
    中国語……和合本繁体字 152787文字
    (*)は「真理子のおまけ」を含む。語数はスペースの数だけで数えているので、ヘブライ語および韓国語では「語数」とはいえない。
     


  3. 朗読時間
    日本語……新共同訳 2時間58分25秒


  4. あらすじ
    創:1(天地創造物語-1) 神は6日間かけて天地万物を創造しました。
    創:2(天地創造物語-2) 第7日目に神は休みました。神は人(アダム)に善悪の知識の木の実を食べることを禁じ、助ける者として女(エヴァ)を作りました。
    創:3(蛇の誘惑とアダムの堕落) 蛇の誘惑によって禁断の木の実を食べた男と女は楽園を追放されました。
    創:4(カイン、アベルを殺す) アダムの息子カインは弟アベルを殺しました。アダムにはさらにセトが生まれました。
    創:5(アダムの系図) アダムの子セトの家系からノアが生まれました。
    創:6(洪水伝説) 神は堕落した人間を滅ぼす決意をしましたが、ノアだけは救おうと、箱舟を作るよう指示しました。
    創:7(洪水が起こる) ノアたちが箱舟に乗ると洪水が起こり、箱舟の外の生き物は滅びました。
    創:8(水がひく) 洪水がひいてノアが地上に出た後、神は二度とこのようなことをするまいと言いました。
    創:9(その後のノア) 神はノアを祝福しましたが、晩年のノアは堕落しました。
    創:10(ノアの子孫たち) ノアの子孫たちの系図が説明されます。
    創:11 (バベルの塔) 神は塔を建てたバベルの人々の言葉を混乱させました。
    創:12(アブラムの移住) 神はセムの末裔アブラムを祝福、カナンに移住します。さらに飢饉のためエジプトに移住しますが、ウソをついたために追い出されます。
    創:13(ロトとの別れ) 貧弱な地では一緒に住めないので、アブラムはロトと別れます。
    創:14(戦乱) 王たちの戦いにまきこまれたロトをアブラムは救出します。
    創:15(アブラムへの約束) 神はアブラムに子どもを授け、この土地を与えることを約束しました。
    創:16(ハガル、イシマエルを生む) 妻サライが子どもを生めないのでアブラムは女奴隷ハガルによってイシマエルを生みました。ハガルはサライと対立します。
    創:17(イサク誕生の約束と割礼) 神はアブラム夫婦をアブラハム、サラと改名させ、割礼を義務とします。
    創:18(ソドムを救う嘆願) 神はアブラハムに子の誕生を約束しますがサラはばかにして笑います。神はソドムを滅ぼそうとしますが、アブラハムは必死にとめます。
    創:19(ソドムの滅亡) ソドムはついに滅ぼされます。ロトの一家は脱出して山の中に住み、娘たちは子作りのために父と交わります。
    創:20(ゲラル滞在) アブラハムはゲラルに滞在、妻を妹と偽ったウソがばれたのをきっかけに、安全に滞在することができました。
    創:21(イサクの誕生) アブラハムとサラの間についに息子イサクが生まれました。ハガルとイシュマエルは追い出されました。
    創:22(イサクをささげる) 主はアブラハムを試して、イサクをささげよと命令します。
    創:23(サラの死) サラは死んで、ヘブロンに葬られました。
    創:24(イサクの結婚) イサクはリベカと結婚しました。
    創:25(アブラハムの死、イシマエルの子孫、エサウとヤコブの誕生) アブラハムは死にました。イサクの双子の息子は成長し、兄のエサウは空腹のあまり弟のヤコブに長子の権利を譲りました。
    創:26(イサクとアビメレク) イサクは飢饉のためにアビメレクが支配するゲラルに移住、しかし豊かになると土地の人たちから追い出され、ベエル・シェバに移りました。
    第27節(ヤコブ、祝福をだまし取る) 盲目になったイサクは長子エサウに祝福をしようとしますが、ヤコブが母リベカの計略によって祝福を奪いとり、エサウのもとから逃げました。
    創:28(ヤコブの出発) エサウのもとから逃げたヤコブの夢に主が現れました。
    創:29(ヤコブの結婚)ヤコブはラバンのもとで働き、二人の娘と結婚、長女のレアとの間に4人の子をもうけました。
    創:30(ヤコブの子たち) ヤコブにはさらに7人の子ができ、ラバンの家からの独立の準備をしました。
    創:31(ヤコブの脱走、ラバンとの契約) ヤコブはラバンのもとから脱走し、後にラバンと契約を結びます。
    創:32(神との格闘) ヤコブは故郷に戻る途中、神と格闘し、神と闘うという意味のイスラエルと名づけられました。
    さてヤコブは目をあげ、エサウが四百人を率いて来るのを見た。そこで彼は子供たちを分けてレアとラケルとふたりのつかえめとにわたし、
    レアがヤコブに産んだ娘デナはその地の女たちに会おうと出かけて行ったが、
    ときに神はヤコブに言われた、「あなたは立ってベテルに上り、そこに住んで、あなたがさきに兄エサウの顔を避けてのがれる時、あなたに現れた神に祭壇を造りなさい」。
    エサウ、すなわちエドムの系図は次のとおりである。
    ヤコブは父の寄留の地、すなわちカナンの地に住んだ。
    そのころユダは兄弟たちを離れて下り、アドラムびとで、名をヒラという者の所へ行った。
    さてヨセフは連れられてエジプトに下ったが、パロの役人で侍衛長であったエジプトびとポテパルは、彼をそこに連れ下ったイシマエルびとらの手から買い取った。
    これらの事の後、エジプト王の給仕役と料理役とがその主君エジプト王に罪を犯した。
    二年の後パロは夢を見た。夢に、彼はナイル川のほとりに立っていた。
    ヤコブはエジプトに穀物があると知って、むすこたちに言った、「あなたがたはなぜ顔を見合わせているのですか」。
    ききんはその地に激しかった。
    さてヨセフは家づかさに命じて言った、「この人々の袋に、運べるだけ多くの食糧を満たし、めいめいの銀を袋の口に入れておきなさい。
    そこでヨセフはそばに立っているすべての人の前で、自分を制しきれなくなったので、「人は皆ここから出てください」と呼ばわった。それゆえヨセフが兄弟たちに自分のことを明かした時、ひとりも彼のそばに立っている者はなかった。
    イスラエルはその持ち物をことごとく携えて旅立ち、ベエルシバに行って、父イサクの神に犠牲をささげた。
    ヨセフは行って、パロに言った、「わたしの父と兄弟たち、その羊、牛およびすべての持ち物がカナンの地からきて、今ゴセンの地におります」。
    これらの事の後に、「あなたの父は、いま病気です」とヨセフに告げる者があったので、彼はふたりの子、マナセとエフライムとを連れて行った。
    ヤコブはその子らを呼んで言った、「集まりなさい。後の日に、あなたがたの上に起ることを、告げましょう、
    ヨセフは父の顔に伏して泣き、口づけした。


  5. 真理子のコメント
    創:2:23 ってことは、この世の創造物の中で、女だけが、「土こねて」っていう安易な方法でない、複雑な作り方をされたわけですね。なんだかうれしいわ。なお、生物学的にはここは大ウソで、女のほうが先です(→男女の非対称@真理子の生活と意見の末尾)
    創:3:1 渡辺善太先生は、「蛇はヘビル語をしゃべっていた」と大真面目に講義していたそうです(秦剛平「『ユダヤ古代誌』旧約時代篇について」(『ユダヤ古代誌1-2』山本書店))。さすが「道瀬為代(どうせ・だめよ)」というペンネームも持つ先生です。
    創:4:5 なぜカインの献げ物を主は喜ばなかったか。「神様は肉食だ」「アベルの献げ物は初物だったがカインのはおざなりのものだった」など、いろんな考えがあるでしょう。でも実は、カインが長男だったというのが大きな理由かもしれません。長男はふだんから優遇されているのですから愛されているのは当たり前なんで、だから主はわざわざ喜びの顔を見せたりしなかったのです。放蕩息子の話で、お父さんが兄に冷たい仕打ちをしているかのように見えるのと同様です。ルカ:15:25-32
    創:5:24 真理子は今でも、ここ読むたび、背筋がぞくぞくとするんですけど。「えっ、いなくなったって、どこ行っちゃったの?」って。本当にこわいです。まさに「神隠し」ですよね。
    創:6:2 「好色な天使たちが人間の女を犯した」という説ももちろんありますが(ユダ:1:6はそうですよね)、「正しかったセトの子孫(=神の子)が堕落して悪い女、特にカインの子孫の女とエッチをするようになった」という説もあります。後者のほうが第5節でいう人間の堕落という話にすんなりつながるんじゃないでしょうか。
    創:8:21 じゃソドムとゴモラを滅ぼしたのは何? なんて思いますけど、要は、全地球的に全ての生き物を滅ぼすというようなことは二度としないってことなんでしょうね。それにしても理由が謎めいてます。「いい人間といい生き物だけ残ったからもうやらない」んじゃなく「やっぱり人間は悪いからもうやらない」っていうんですからね。たぶん、どんなことをやっても人間は悪いので、そのたびにいちいち全地球的に、しかも他の生物まで巻き添えにして滅ぼしたんじゃキリがないってことなんでしょう。
    創:9:22 聖書では「裸(陰部)を見た」は性交の隠語です。それにしてもハムの悪事のために息子のカナンが呪われるのはなんともヘンですね。「ホントはハムでなくカナンが犯人だったのが伝承の過程でこんがらがった」とか、いろんな説があります。なお、カナンとはパレスチナのこと。現代のパレスチナ人がユダヤ人以外であるのと同様、カナン人といえば同居する他民族のことになります。イスラエルの民にとってカナン人は征服すべき民であり、また絶えずイスラエルの民に異教を持ち込んで悪影響を及ぼす民でもあります。こんなふうにイスラエルの民がカナン人と敵対する根拠を説明している神話がこれです。
    創:11:9 当「ばべるばいぶる」の命名の由来となる話ですけど、それにしても人間の何が悪かったのでしょうか。神に反抗しようとしたこと? いえ、「全地にちらばることを恐れた」ことのようです。人間は全地にちらばらなければいけないみたいです。言葉がバラバラになったから全地に散ったというより、全地に散ったから言葉がバラバラになったという、ごく当たり前の話を説明した神話なのではないでしょうか。
    創:19:5 もちろん同性愛ということ。
    創:19:8 私が娘の立場だったら、お父さんに何て言おうかしらね。
    創:19:29 アブラハムを覚えたっていうのは、前章の約束のことですけど、あれ、正しい人がいたら滅ぼさないんじゃなかったでしたっけ。10人までは約束したけど、ロトの家族は4人だったので約束の条件外ってことなのね。
    創:19:30 ゾアルは当初は滅ぼすはずだった町、つまり悪い人たちがいっぱい住む町ですから、こわかったのでしょう。
    創:19:33 このエピソードはおぞましいと思いますか? 正体なく眠っている男性とセックスして射精まで至るという話の非現実性はおいとくとしても(実際にはお父さんは起きてたのでしょうね)、極限状況に追い込まれた人間はこういうこともしてしまうっていう物悲しいエピソードとして読みたいところです。
    創:19:37 メアブ(父親より)という語呂合わせ。
    創:19:38 ベン・アミ(わたしの親族の子)という語呂合わせ。申命記の引照箇所を見ると、やっぱり近親相姦の結果の子孫として、差別意識があるようですね。
    創:21:6 イサクというのは「彼は笑う」という意味でしたね。
    創:21:31 ベエル=井戸、シバ=誓う 創:21:23、七匹 創:21:27
    創:23:15 1シケル=4万円として1600万円。
    創:26:7 創:12:11-13 創:20:1-2に続き、このネタもう3回目。しかもアブラハム、イサクと親子2代にわたって同じネタで同じ相手アビメレクをだましたわけですから、この親子もアビメレクも進歩がないですね。
    創:26:33 ベエルシバとは「誓いの井戸」の意味。
    創:27:36 ヤコブには「かかと」という意味のほかに「おしのける(だます)」という意味があります。
    創:29:32 顧みる(ラア)から。
    創:29:33 聞く(シャマ)から。
    創:29:34 親しむ(ラベ)から。
    創:29:35 ほめたたえる(ヤダ)から。
    創:30:6 答える(裁く)(ディン)から
    創:30:8 争う(ニフタル)から
    創:30:11 幸運(ガド)から
    創:30:13 幸せ(アシェル)から
    創:30:18 価(報酬)(サカル)から
    創:30:20 一緒に住む(尊敬する)(ザバル)から
    創:32:3 「神の陣営」(マハネー・エロヒーム)にひっかけてあります。