[真理子日曜学校 - 聖書の言語入門(フレーム表示) ]
【韓国語文語コース】
文字と発音・基本編
- 文字の読み方・基本編
韓国語といえばまずはあの独特な丸棒文字、ハングル。これを覚えなきゃ何も始まりません。ところが困ったことに、文字を覚えるだけでひと苦労なのに、複雑な音変化の規則がいろいろあり、つづり通りに読めないケースがやたらにあります。そこで数回にわけて文字の読み方を勉強します。まずは基本編です。
- ハングルの構造
よく誤解のたねになるのですが、ハングルというのは文字の名前であって言語の名前ではありません。日本語でいえば「ひらがな」に相当するものです。ですから日本語のことを「ひらがな語」と言ったらおかしいように、朝鮮語/韓国語のことをハングル語といったらおかしいです。
韓国語の音節は「(子音+)母音(+子音)(+子音)」という構造になっています。母音は必須として、母音の前に子音が最大で1つ、母音の後に子音が最大で2つまで来る可能性があります。
なお、文法用語では最初の子音のことを初声、母音のことを中声、終わりの子音のことを終声といい、終声のことはとくにパッチム(받침。支え)と呼ぶことが多いので覚えておいてください。
そしてハングルは、子音と母音の構成要素をまるで漢字のヘン+ツクリのように組み合わせ、音節ごとに組み上げて1文字にします。たとえば- f가(ka)=fㄱ(k)+fㅏ(a)
- f갑(kap)=fㄱ(k)+fㅏ(a)+fㅂ(p)
- f값(kaps)=fㄱ(k)+fㅏ(a)+fㅂ(p)+fㅅ(s)
といった具合です。
- 文字の組み立て方
なんだかパーツを縦に重ねたり横に並べたりと複雑ですね。
母音のあとの最大2つの子音は、上の例にあるように、文字の下部に書けばOKです。2つあるときは左から右へと並べます。
最初の子音+母音のところをどう組み立てるかは、母音字の形によって決まります。
母音字は形態として、縦長のもの、横長のもの、縦長+横長のもの、の3種類にわかれます。そして- 母音字が縦長のときは、最初の子音+母音は左右に並べます。
(例)f가(ka)=fㄱ(k)+fㅏ(a)、f갑(kap)=fㄱ(k)+fㅏ(a)+fㅂ(p) - 母音字が横長のときは、最初の子音+母音は上下に重ねます。
(例)f노(no)=fㄴ(n)+fㅗ(o)、f놀(nol)=fㄴ(n)+fㅗ(o)+fㄹ(l) - 母音字が縦長+横長のときは、最初の子音の下と右に母音を書いて包み込むようにします。
(例)f쉬(swi)=fㅅ(s)+fㅟ(wi)、f쉽(swip)=fㅅ(s)+fㅟ(wi)+fㅂ(p)
この例を見ると、最初の子音と母音を除いたあとの子音は、もし存在しなければ上記f가(ka)のように何も書かないだけですが、母音の前の子音は、たとえ存在しなくても、文字の組み立て上、子音ゼロというしるしとしてfㅇを書きます。
(例)f아(a) f압(ap)
- 子音の構造
日本語の子音は、カ-ガ、サ-ザのように清音-濁音の2項対立があります。韓国語の子音は次の表のように平音-激音-濃音の3項対立になっています。平音 | 激音 | 濃音 |
---|
fㄱ(k) | fㅋ(kh) | fㄲ(kk) |
fㄷ(t) | fㅌ(th) | fㄸ(tt) |
fㅂ(p) | fㅍ(ph) | fㅃ(pp) |
fㅅ(s) | | fㅆ(ss) |
fㅈ(j) | fㅊ(ch) | fㅉ(jj) |
平音というのは息を出さずに発音する子音です。日本人の耳には語頭では清音、語中では濁音のように聞こえますので、さしあたりはそのように発音してください。ただし息を出さず普通に発音します。
激音というのは息を激しく出しながら発音します。日本人の耳には語頭でも語中でも清音に聞こえますが、ともかく息を意識的に出しながら発音してください。
濃音というのは「みっか」「せった」「かっぱ」「とっさ」「いっち」などの太字部分のみを発音する感じです。日本人の耳には語頭でも語中でも清音に聞こえます。語頭では「っ」のタメをはっきりおくといいです。語中の場合は無理にこのタメを作る必要はなく普通に清音に発音すればOKですが、息を出してしまうと激音になってしまうので、息を出さずに清音で発音すると思ってください。
- 子音字母
以下、子音字を辞書順に掲げ、()内に字母名称、…のあとに初声の場合の読み方を記します。終声の場合の発音は後の「終声の発音」を見てください。字母名称は最初のうちは無理に覚えなくてもかまいません(字母名称は北朝鮮では少々違った呼び方をしますがここでは韓国式のみ示します)。まずは読み方をしっかり覚えてください。
なお、子音字の発音は前後の音によってかなり変化します。詳しくは「子音字の発音変化」および「子音字発音リファレンス」を参照のこと。- fㄱ(f기역.キオっ)…平音のkおよびg。
- fㄲ(f쌍기역.サンキオっ)…濃音のkk
- fㄴ(f니은.ニウん)…n
- fㄷ(f디귿.ティグッ)…平音のtおよびd。
- fㄸ(f쌍디귿.サんティグッ)…濃音のtt
- fㄹ(f리을.リウル)…r。語中ではl。
- fㅁ(f미음.ミウム)…m
- fㅂ(f비읍.ピウっ)…平音のp。語中ではb。
- fㅃ(f쌍비읍.サンピウっ)…濃音のpp
- fㅅ(f시옷.シオッ)…平音のs。
- fㅆ(f쌍시옷.サンシオッ)…濃音のss
- fㅇ(f이응.イウン)…初声がないしるし
- fㅈ(f지읒.チウッ)…平音のj。語中ではch。
- fㅉ(f쌍지읒.サンチウッ)…濃音のjj
- fㅊ(f치읓.チウッ)…激音のch。
- fㅋ(f키읔.キウっ)…激音のkh。
- fㅌ(f티읕.ティウッ)…激音のth。
- fㅍ(f피읖.ピウっ)…激音のph。
- fㅎ(f히읗.ヒウッ)…h。語中ではほとんど聞き取れない場合があります。
- 母音字母
以下、母音字を辞書順に掲げます。母音字の場合は特別な字母名称はなく、発音がそのまま字母名称となっています。- fㅏ…a(ア)
- fㅐ…ae(え)。口を大きく開けます。
- fㅑ…ya(ヤ)
- fㅒ…yae(イぇ)。「ぇ」のところは口を大きく開けます。
- fㅓ…eo(お)。口を大きく開けます。
- fㅔ…e(エ)。口を小さめにします。
- fㅕ…yeo(よ)。口を大きく開けます。
- fㅖ…ye(イエ)。口を小さめにします。ただしイがはっきり聞こえるのは初声がないときつまりf예のときだけであり、初声があるときはfㅔと同音になります。(例)f계시다[ケシダ](いらっしゃる)
- fㅗ…o(オ)。口を小さめにします。
- fㅘ…wa(ワ)
- fㅙ…wae(ウぇ)。「ぇ」のところは口を大きく開けます。
- fㅚ…oi(ウェ)。もともとはドイツ語のöのような音だったらしいですが、今ではfㅞ(we)と同音です。
- fㅛ…yo(ヨ)。口を小さめにします。
- fㅜ…u(う)。口を丸くすぼめます。
- fㅝ…weo(ウォ)。「ォ」のところは口を小さめにします。
- fㅞ…we(ウェ)。エのところは口を小さめにします。
- fㅟ…wi(ウィ)。
- fㅠ…yu(ユ)。
- fㅡ…eu(ウ)。口を丸めず横に平たい形にしてウを発音します。日本語では東京のウはこれ、大阪のウは上記fㅜになります。
- fㅢ…eui(ウィ)。口を丸めず横に平たい形にしてウィといいます。ただしこれは初声がないときつまりf의のときのみであり、初声があると次のfㅣ(i)と同音になります。
(例)f희다(ヒダ. 白い)。
また、「~の」の意味の助詞f의はfㅔ(e)と発音します。
(例)f아버지의 위자(アボジエ ウィジャ. 父の椅子) - fㅣ…i(イ)。
- 終声の発音
終声位置に子音は最大2つまで登場できますが、それは綴り上の話であって、現実の音声としては1つの子音のみ、しかも k,t,p,n,ng,m,l に限られます。
このうちk,t,pの発音は、ハッキリとk,t,pを発音してはいけません。k,t,pの口の形だけをして実際には発音しないという感じです。たとえば갑は、カップのような発音をしてはいけません。口をすぼめていつでもpを発音できるような態勢にしますが発音をしません。あえてカナで書けばカッという感じです。
nとngはンですが、ンは舌をしっかり上の歯のウラにくっつけます。最初のうちは「舌を軽く噛む」くらいのつもりで発音したほうがいいでしょう。ngは舌を歯にくっつけずに鼻にぬけるンです。ングのようになってはいけません。日本語の「ん」は韓国人にはngに聞こえていますので、むしろnのほうを意識的に発音したほうがいいです。
mは「口をすぼめるン」だと思ってください。ムとはっきり発音してはいけません。
lは特に問題ありませんが、くれぐれもルつまりu母音をつけてしまわないようにしてください。
さて、それぞれの子音字が終声位置に来たときの発音は次のとおりです。- fㄱ…k
- fㄲ…k
- fㄴ…n
- fㄷ…t
- fㄸ…t
- fㄹ…l
- fㅁ…m
- fㅂ…p
- fㅃ…p
- fㅅ…t
- fㅆ…t
- fㅇ…ng
- fㅈ…t
- fㅉ…t
- fㅊ…t
- fㅋ…k
- fㅌ…t
- fㅍ…p
- fㅎ…t
つまり激音・濃音は平音になり、s系はtになる、というよりk系とp系以外はすべてtになるということです。なお、fㅇは終声としてはngになります。歴史的には「子音ゼロ」はマル、ngは「マルの上に小さな縦棒」だったのですが、字体が同じになってしまったものです。
また、子音字が2つ来たときには次のようになります。- fㅄ ㄿ…p
- fㄳ ㄺ…k
- fㄵ ㄶ…n
- fㄻ ㄽ ㄾ ㅀ…l
- fㄼ…原則はfㅂ優先。
(例)f밟다.踏む。
ただしf넓다(広い)は[のルタ]、f여덟(7)は[よどル]、つまりfㄹ優先
つまり、fㅂ ㅍ>fㄱ>fㄴ>fㄹという優先順位があるのです。終声は現実には7種類の音しかないのになんでさまざまな子音字を書くかは、次の「子音字の発音変化」の「連音化の法則」を見てください。