[真理子日曜学校 - 聖書の言語入門(フレーム表示) ]
【日本語文語コース】

主の祈り


  1. 主の祈り明治版
     まずは小手調べで主の祈り(マタイ6:9-13)から読んでみましょうか。
     
    9:天《てん》に在《まし》ます我儕《われら》の父《ちゝ》よ願《ねがは》くハ爾名《みな》を尊崇《あがめ》させ給《たま》へ
     10:爾國《みくに》を臨《きた》らせ給《たま》へ爾旨《みこころ》の天《てん》に成《なる》ごとく地《ち》にも成《なさ》せ給《たま》へ
     11:我儕《われら》の日用《にちよう》の糧《かて》を今日《けふ》も與《あたへ》たまへ
     12:我儕《われら》に負債《おひめ》ある者《もの》を我儕《われら》がゆるす如《ごと》く我儕《われら》の負債《おひめ》をも免《ゆる》し給《たま》へ
     13:我儕《われら》を試探《こゝろみ》に遇《あは》せず惡《あく》より拯《すくひ》出《いだ》し給《たま》へ國《くに》と權《ちから》と榮《さかえ》ハ窮《かぎ》りなく爾《なんぢ》の有《もの》なればなりアメン
    「ばべるばいぶるで出てくるのと違うぞ」って怒らないでください。これは明治訳です。ばべるに入ってる文語聖書は新約部分は大正改訳になってます。明治訳は著作権切れてるんで国立国会図書館の近代デジタルライブラリーに入っててネットで無料無登録で見られます。リンクが変更になっていなければこちらで見てください。うまくいかなければ「旧新約書」(書じゃないわよ)で検索して、「英国聖書公社 1907 3版」のコマNo.647にありますよ。
    蛇足ながら、「英国聖書公社」っていう名前にびっくりしないでください。これが日本聖書協会の前身なんです。もともと19世紀の英国で、聖書を全世界の言語で格安の値段で頒布しようという運動が起き、英国聖書協会だの米国聖書協会だのスコットランド聖書協会だのといった法人が世界各国に支社を展開した、そのうちの一つが日本の「英国聖書公社」なのです。後に多くの国では現地国の法人として独立しましたが、日本の法人も1937年までは「英国~」だの「米国~」だのと名乗っていたのです。
    讃美歌の本のおしまいのほうに交読文っていうコーナーがあって、今でも多くの教会では礼拝のときにそこをみんなで唱和してるでしょ? そこにのってる主の祈りがこの文です。昔%myname%が教会に通ってたとき、最後の「国とちからと…」っていう言葉が聖書にないんで、「どうして聖書にない言葉を入れるのかしら。イエスの教えに反してるわ」なんて思ってましたが、明治訳に載ってたんですね。もとはといえば明治訳の底本であるKJVにも載ってるんですけど。大正訳では削られちゃってます。
     ここであえて明治訳を持ってきたのは、最後の文があるからっていうのもあるんですが、文語の古めかしさになれてもらうために、あえて思い切り古めかしいものを持ってきたんです。