[真理子日曜学校 - 聖書の言語入門(フレーム表示) ]
【日本語文語コース】

板かるたで学ぶ変体仮名1


  1. 板かるたって何?
     真理子の生まれ育った北海道には、「板かるた」という名物がありました。要するに小倉百人一首のかるたなのですが、取り札が紙ではなく3センチ×5センチの板で、下の句が毛筆で漢字仮名混じりで書かれておりました。
     今でも一応売られているようで、「板かるた」で検索をかけるといろいろヒットします。たとえば、
    1. 板かるたの世界
    2. 板かるた@ボードウォーク・コミュニティー

     もともとは屯田兵たちの娯楽として発展したもので、彼らは主に、下の句だけ読んで取るという遊び方をしていたようです。もちろん一般的に上の句と下の句を読んでもいいので、真理子はそういう普通の百人一首かるたの遊び方をしていました。仮名には変体仮名がふんだんに使われ、真理子は小学生のうちからこういうもので遊んでいたので、真理子にとっては変体仮名はかなり馴染み深いものでした。
     そこで、変体仮名に慣れるのに、この板かるたを使ってみようと思い立ったわけです。
     全100枚の取り札は、上記「ボードウォーク・コミュニティー」のサイトにありますのでそちらで見てもいいのですが、小さくて読みづらいので、真理子の家にあるかるたをスキャンして、簡単な検索機能をつけたビューワを用意しました。板かるたビューワをご利用ください。


  2. さっそく読んで見ましょう
     さっそく実例を見てみましょう。
     この札には変体仮名が2つ使われています。右側に大きく書かれているのはわかりますか? 「あはれ」ですね。明治の聖書にも出てきたカタカナのハのような仮名が使われています。
     その左の2行、まず2行目(右の「あはれ」を1行目としてです)は「今年の」です。漢字を漢字だと見破るのもけっこう大変ですよね。最後の行は「秋もいぬ*り」。*の部分はご存知のとおり「め」ですけど、何の略でしょうね。「変体仮名の読み方」の表を見るとどうも「免」のようですね。こういうふうに、何の略なのかまでつきとめて読むようにしないと、応用がきかなくなります。人によって崩し方の度合いは違います。元の漢字がわかるような書き方をする人もいれば、言われなきゃ(言われても)その字だとわからないほど略す人もいて、元の漢字を意識しないと同一の字とはとても思えないってことが多いですから。


  3. このページで覚えたかな
     =は(八)、=め(免)


  4. 上の句は?
     板かるたは取り札ですから下の句しか書かれておりません。上で書いたように屯田兵たちは上の句を読まずに下の句だけ読んで取っていたようですが、読み札には一応上の句も載っています。もっとも今売られている板かるたには、何の変哲もない普通の百人一首用読み札がそのまま添付されているので、見ても面白くありません。
     しかしWikipediaで百人一首の歌人を検索すると、江戸時代の読み札が画像として掲載されています。これは上の句のみで毛筆、もちろん変体仮名もふんだんに用いられています。取り札の解読が終わったら読み札の解読もしてみましょう。上記板かるたビューワの作者欄のリンクをクリックすると、Wikipediaのページを開く機能がありますのでご利用ください。
     これらWikipediaに掲載されている全読み札を一覧できるページがWikimedia Commonsにありますのでご覧ください。