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2024年3月28日(木) 通読(本日=ヨブ35-36,ユディ4,モサ17 明日=エレ27-31,知18,クル-35回)

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節表示・修正口語訳(日本語R)+真理子のおまけ 解題
〔57年モルモン経〕ヒラマン書 第6章
第6章
レーマン人、宣教師をニーファイ人に送る。平和と自由が全地に満ちた。リーハイの地とミュレクの地。セゾーラムとその息子が殺される。ガデアントン強盗、政府を取る。

判事治世の六十二年目の中に、すでにこれらの事はみな行われてレーマン人の多くはもはや義人となった。かれらの信仰は堅固でその行いは確実であったから、その義はニーファイ人の義よりも勝っていた。
ところが見よ、多くのニーファイ人は早くもかたくなになって、悔改めをせず、甚しくよこしまになったから、神の道を拒み、また自分らに伝わった説教も予言もことこどくこれを拒んだ。
しかし、教会の会員たちはレーマン人が改宗をしたことと、レーマン人の中に神の教会が立ったこととのために一方ならず喜んだ。そしてこのレーマン人らと教会の会員たちとは相交わって共に喜びまことに幸福であった。
多くのレーマン人はゼラヘムラの地へやってきて、自分らが改心した次第をニーファイ人に話し、信仰をしなくてはならぬこと、悔改めをしなくてはならぬことをかれらに勧めたが、
多くのレーマン人は非常な権能と威勢とを以て説教して、多くのニーファイ人を低くへりくだらせ、神と小羊(キリスト)との謙遜な信者とした。
多くのレーマン人は北方の地へ行き、ニーファイとリーハイも国民に道を宣べるために北方の地へ行った。このようにして六十三年目は過ぎ去った。
見よ、全地はことごとく平和であったから、ニーファイ人はニーファイ人の所とレーマン人の所とを問わず、どこへでも自由に自分の行きたい所へ行けた。
レーマン人もまた同様で、レーマン人の所とニーファイ人の所とを問わず、どこへでも自由に自分の行きたい所へ行けた。このようにして両国民は自由に交通し合い、思う通りに売り買いして利益を得た。
それで、レーマン人もニーファイ人も共に非常に富んで、南の地にも北の地にも金、銀およびあらゆる貴金属を豊に持っていた。
そして南の地はこれをリーハイと名づけ、北の地はゼデキヤの子の名をとってこれをミュレクと名づけた。これは主がミュレクを北の地へ導き、リーハイを南の地へ導きたもうたからである。
この両地にはあらゆる金、銀および貴い鉱物があってこのいろいろな鉱物を精れんし、これを珍らしい形に細工をする人々もあったから、国民は富むようになった。
かれらは北の方でも南の方でも豊に穀物を作り、北の地でも南の地でも一方ならず栄え、人口がふえて地上で非常に強いものとなり、多くの牛の群、羊の群および肥えた家畜を飼った。
この国の女は労働をして紡績に従事し、はだかを覆うために細いリンネルの糸であらゆる織物を造り、またほかのあらゆる織物も造った。このようにして六十四年目はおだやかに過ぎた。
六十五年目にも大きな喜びと平和とがあり、将来起ることについての説教と予言が多く行われた。このようにして六十五年目も過ぎて行った。
判事治世の六十六年目、セゾーラムは裁判の席についていたとき何者かに暗殺された。また同じ年に民がセゾーラムの後任にしたセゾーラムの息子もまた暗殺された。これで六十六年目は終った。
六十七年目の始め、国民はまた非常に悪くなり始めた。
それは国民が長い間主から浮世の富を与えられて、煽動をされて怒ったり戦ったり人を殺したりすることはなかったから、その富に執着して互いに自分の地位を高めるために利益を貪るようになり、それがためにようやく暗殺、強盗、掠奪をし始めたからである。
このような暗殺と掠奪を行った者たちは、すなわちキシクメンとガデアントンとの始めた結社であったが、ニーファイ人の中にさえもガデアントン結社の連中が多く居て、悪い方のレーマン人の中にはもっと多く居た。そして、この結社はガデアントン強盗殺人団と呼ばれた。
大判事セゾーラムとその息子とが裁判の席についていたとき、これを暗殺したのはこの連中であったが、これを捕えることはできなかった。
レーマン人は自分の同国人の中に強盗があったことを知って非常に心を痛め、これを地上から亡ぼしてしまおうと、できる限りのあらゆる方法を尽した。
しかしニーファイ人の大部分は、サタンにその心を煽動されたのでこの強盗の結社に入り、どのように困難な場合に於ても、人殺し、掠奪、盗みをしたために罰を受けないよう、互いにかくまって守ろうと言う誓約を立てた。
この強盗団には、誓いを立てた仲間を見分けるために秘密の合図と秘密の言葉とがあり、その仲間がどのような罪悪を犯してもほかの同類すなわち誓いを立ててこの結社に属した者から危害を受けない定めであった。
それでその国の法律とその神の律法に背いて暗殺、掠奪、盗み、みだらな行い、あるいはあらゆる罪悪を容易に犯すことができた。
この結社に属している者は、誰であってもその結社が行う悪事と憎むべき行いとをほかに洩すときは必ず裁判をされる定めであったが、これは国法による裁判ではなくて、ただガデアントンとキシクメンとが起したこの悪い結社の条例による裁判であった。
見よ、この結社が秘密にする誓いの言葉と約定の方法こそ、これを公にしたなら国民の滅亡を招きはしないかと思って、世の中の人に示してはならないとアルマがその息子に言いつけたあの秘密の誓いの言葉と約定の方法である。
しかし、見よ。それは、ガデアントンはヒラマンに授けられたあの歴史の中からこの秘密の誓いの言葉と約定の方法を学んだのではない。私たちの始祖をそそのかして禁断の実を食べさせたあの悪魔がこの考えをガデアントンの心の中に起させたのである。
この同じ悪魔はカインと謀って、弟のアベルを殺してもその罪が公然とは知られないと言ってカインをいざなった。その時以来、悪魔はカインやその同類と計ごとを立てたのである。
この同じ悪魔はまた天に届くほど高い塔を建てようと言う考えを世の人の心に起させ、その塔の所からこの地へやって来た者たちをいざなって悪事と憎むべき行いとをこの地の全体に弘めさせ、ついにここに居た民をことごとく亡ぼしてこれを永遠の地獄へひきおとした。
この悪魔はまた、ガデアントンにもっと悪事と暗殺とをつづけて行うことを考えさせ、また人間が造られたときから今に至るまでこのような悪事を世の中に行わせた。
あらゆる罪の源はこの悪魔である。かれは世の人の心を支配する力に従って代々悪事と暗殺とを行わせ、その陰謀と誓いの言葉と約定の方法と恐ろしい悪を行う策とを代々伝えさせた。
見よ、そのころこの悪魔はすでによくニーファイ人の心を支配していたから、ニーファイ人は非常に悪くなり、その大部分は義の道を離れて神の命令を足の下に踏みつけ、よこしまであって自分らの欲をほしいままにし、自分らのために金や銀で偶像を刻んで建てた。
このようないろいろの罪はみなまだ多くの年が経たないうちに起ったが、その大部分はニーファイの民を治める判事治世の六十七年目に起ったことである。
六十八年目にもニーファイ人の罪がますますひどくなったから、義人らはこれを非常に憂い悲しんだ。
これによって見ると、ニーファイ人がますます信仰を失って、その罪と憎むべき行いとがいよいよひどくなるにひきかえ、レーマン人はその神を知る知識がますます加わり、神の律法と命令とを守って神の前に誠実正直に暮したことが明らかである。
それだけでなく、ニーファイ人が罪悪におちいってその心がかたくなであるにより、主の「みたま」がようやくかれらから離れ去り、
レーマン人が容易に甘んじて主の道を信ずるから、主がますますその「みたま」を授けたもうたことが明らかである。
レーマン人はガデアントン強盗団の連中を捜索して、その中のひときわ悪い者たちに神の道を宣べ伝えたから、レーマン人の中にはこの強盗団が全くそのあとを絶った。
これに反してニーファイ人は、この強盗団の中でひときわ悪い者たちを始めとし団全体を助力して維持したから、この結社はニーファイ人の全国にはびこり、義人の大部分さえも誘惑して結社のすることを賛成させ、結社が掠め取った物を配分し、一しょに暗殺を行わせて秘密結社に入らせた。
このようにしてこの強盗団は政府の支配権を全部奪いとり、貧しい者、柔和な者、神に従う謙遜な者たちを足の下に踏みつけ、かれらを撃ち、かれらを裂き、かれらの願いを拒んだ。
これによって見ても、ニーファイ人がすでに恐ろしい状態におちいり、永遠の滅亡に陥ろうとしていたことが明らかである。
これでニーファイの民を治める判事治世の六十八年目は終った。ヒラマンの子であるニーファイの予言。

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