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第二十六章 ニーファイの予言、つづき。キリストは将来ニーファイ人に来りたもう。ニーファイ人最後の滅亡。異邦人の時代。 キリストが死人の中から復活したもうと、キリストは私の子孫と私の愛する兄弟であるあなたたちに現われたもう。そしてその時キリストがあなたたちに告げたもう言葉はあなたたちが守らなくてはならない律法になる。
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ごらん、私は多くの世が過ぎて行くうちに私の民の間に大きな戦いが起り不和が生ずることを先見した。
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そしてメシヤが来りたもうときには、メシヤの降誕のしるしと死と復活のしるしとが私の民に現われる。しかしこれは悪人のために大そう恐ろしい時である。かれらはその時に亡びるからである。かれらが亡びるわけは予言者たちと聖徒たちを追い出し、石で撃ったり殺したりするからである。それであるから、聖徒たちの血の叫びが地の中から昇って神のこの悪人らを訴える。
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それであるから、すべて高慢であって悪事を行う者はわらのようになって将来くるはずの日がかれらを焼きつくしてしまう。これは万軍の主の言葉である。
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予言者たちと聖徒たちを殺す者たちは、地の深い所に吸いこまれ、山に埋められ、旋風に吹き去られ、もろもろの建物がかれらの上に倒れてこなごなに砕き、
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雷や電や地震やその他あらゆる破壊を受ける。それは主がかれらに向って激しく怒りたもうからかれらはわらのようになり、将来くるはずの日がかれらを焼きつくしてしまうからである。これは万軍の主の言葉である。
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私の民の中に殺されて亡くなる者があるから、私の心が感ずる痛みと悲しみはいかにもひどい。私ニーファイはすでにこの人たちが殺されて亡くなるのを先見したから、私は主の御前でほとんど息も絶え絶えである。しかし、私は私の神に向って「汝の行いたもうところは正しい」と言わなければならない。
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しかしごらん、予言者たちを殺さないでその言うことに聞き従い、どんな迫害を受けてもただ現われるところのしるしを信じて固くキリストを待ち望んでいる正しい人たちは亡びない人たちである。
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義の御子(イエス・キリスト)がかれらに現われてかれらを癒したまい、また三代の人たちも四代目の多くの人たちも正しい行いをして世を去るようになるまで、正しい人たちはキリストによって平安を保つ。
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しかしこの時が過ぎると私の民は速かに亡びる。これはまことに私の心が苦痛に思うところであるが、私はこれをたしかに先見したのであるから、私はそれが将来必ず起ることを知り、また私の民が無益に自分の身を売ることを知っている。私の民はその高慢とその愚かな行いの報いを受けて亡ぼされる。それは悪魔に負けて善い行いよりも悪い行いを選ぶからであって、ついに地獄へ落ちなくてはならない。それは、
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主の「みたま」がいつまでも人を励ますものでないからである。そして「みたま」が人を励まさないようになると速かに亡びがくるのであってこれが私の心が悲しく思うわけである。
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私はイエスが本当のキリストであるとユダヤ人に信じさせることについて話をしたが、異邦人にもまたイエスはキリストであって永遠の神であることを信じさせ、
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またイエスは、あらゆる国民、あらゆる血族、あらゆる国語の民およびあらゆる人々など、およそイエスを信ずるすべての者には聖霊の力で現われ、人々の信仰に応じて大きな奇跡としるしと驚嘆すべき事とを人間になしたもうことを信じさせなければならない。
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さて私は主なる神が私のここに書くことを世の人々に現わしたもう末の日についてあなたたちに予言をする。
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私の子孫と私の兄弟たちの子孫は無信仰に陥って異邦人に悩まされる。まことに主なる神はこれを攻め囲み山を以て取り巻き、かれらに対してとりでを築きたまい、ついにかられは土の中に引き倒されて亡くなる。しかしながらその後、正しい人の言葉が書き留められ忠実な者たちの祈りがききとどけられるから、無信仰に陥った者たちの全部までが忘れられることはない。
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なぜならば、亡びる者が地の中から外に居る亡びない者に話しかけて、その言葉が低い声で土の中から外に聞こえ、またその声が親しい霊を持つ者の声のように聞こえるからである。また、主なる神はかの人に能力を与えて、ちょうど土の中から出る声のように前に言った子孫のことをささやかせたもうので、かれらの話が土の中から出てささやくからである。
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主なる神は言いたもう「かれらはかれらの間に行うことを書き誌してこれを一つの書物にのせ、その書物を封じて守るべし。無信仰に陥れる者たちは神のことを破壊せんとするによりこの書物を封じて守るべし。無信仰に陥れる者たちは神のことを破壊せんとするによりこの書物を得べからず。
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すでに亡びたる者たちは僅かなる間に亡びしが、その多勢の荒ぶる人々も吹き散らさるるもみがらの如くに消え失すべし。まことに、にわかにまたたく間に行われん」と。
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そして、無信仰に陥った者たちは異邦人のために打ち悩まされる。
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異邦人は自ら誇って尊大であるが、そのつまずく石が大きいためにすでにつまずいて倒れている。従って、かれらはもろもろの教会を立てるけれども、神の能力と奇跡とをすてて自分の知恵と学問とで教えを宣べ、そして利益を得たり貧しい者をしいたげようとする。
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異邦人の中にはねたみと争いと怨みとを起す教会が多く立てられ、
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また昔あったような秘密の結社もあって、この結社は悪魔の起したものと類を同じくする。悪魔はすべてこのような結社の基であって、また殺人やそのほかいろいろな悪事の基となり、強い麻ひもを人の首にかけてこれをひっぱって行き、とうとう強い縄で永久に人をしばる。
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私の愛する兄弟たちよ、ごらん、主なる神は決して暗いことを為したまわない。
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主なる神は世のためになることでなければ何事もなしたまわない。あらゆる人を自分のところへ引きよせるために、自分の命をぎせいになさるほど深く世の人を愛したもう。それであるから、主が立てたもうた救いにあずかってはならないとだれにも仰せにはならない。
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ごらん、主なる神が「われより離れよ」と仰せになるか。いやいや、そうでなくて「世界の隅々に至る一切の人々よ。われにきて金銭なしに無料で乳と蜂蜜とを買え」と仰せになる。
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ごらん、神がこれまでに「会堂や礼拝所から出て行け」と仰せになったことがあるか。そうではないのである。
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また、神がこれまでに神の与えたもう救いにあずかってはならないと仰せになったことがあるか。ごらん、そうではないのであって、かえってその救いを無料で万人に与えたまい、その上に悔い改めをあらゆる人にすすめよとその民に言いたもう。
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ごらん、主がこれまでに主のめぐみにあずかってはならないと人に仰せになったことがあるか。いやいや、そうではないのであって、人はみな平等に特権があるから、めぐみにあずかってはならないと言われる者は一人もない。
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しかし、主は祭司の偽善売教とは利益と世の誉とを受けるために説教をして、自分を世の光とするけれどもシオンの福祉を求めようとはしないことであるから、世の中に祭司の偽善売教があってはならないと仰せになる。
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ごらん、主はこれをしてはならないと仰せになっている。従って主なる神は、人は皆慈悲すなわち愛の心を持たなくてはならないと言う命令を与えたもうた。もしも人に愛の心がなかったならば人は何の価値もない。それであるから、もしも人が愛の心を持っているならば、シオンで働く者を死なせてはおかないであろう。
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しかしながら、シオンで働く者はシオンのために働くべきである。もしも金銭のために働くならば亡びるであろう。
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また主なる神は、人はみな人を殺すこと、うそを言うこと、盗むこと、かれらの神の御名をいたずらに口にすること、ねたむこと、怨むこと、相争うこと、淫行をすること、およそ以上の中どの一つでもしてはならないと命じたもうた。これをする者は亡びるからである。
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以上もろもろの罪悪はどれ一つ主からくるものではない。主は人間の中でためになることを為したまい、人間に明らかでなければ何事もなしたまわず、万人が主の御許へ来て主のめぐみにあずかるように招きたもうている。それであるから、主の御許へくる者は黒人と白人、奴隷と自由人、男と女の区別なくだれを拒みたもうこともない。また主は異教徒さえもかえりみたもうから、神の御前にはユダヤ人も異邦人もみな平等である。
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