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知恵は世界の果てから果てまで力を及ぼし、万物を恵み深く支配する。
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わたしは知恵を愛し、若い時から真剣にこれを求めた。その美しさに心を奪われたため、花嫁にしようと思って探し求めたのだ。
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知恵は神と共に住み、その高貴な生まれを誇り、万物の主は知恵を愛した。
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知恵は神の認識にかかわり、神の仕事を選んで実行する。
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もし人生の中で富を持ちたいと思うなら、すべてのものを制御できる知恵こそが、一番の富と言える。
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もし悟りがものを作り出すならば、万物の中で知恵こそが最高の作り手だと言える。
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もし正義を愛する人がいるなら、知恵を得ようと苦労せよ。知恵は徳を生む。すなわち節度、思慮、正義、勇気を教えるのだ。これら以上に役に立つものはこの世にはない。
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もし多くの経験をしたい人がいるなら知恵を得よ。知恵は古いものを知り、将来を推測し、言葉の意味を理解し、謎を解き、しるしと不思議を予見し、季節と時の移り変わりを予測する。
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そこでわたしは知恵と結婚し、同居することを決意した。知恵はわたしによいことをすすめ、心配とうれいをなぐさめてくれるだろうから。
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知恵のおかげでわたしは多くの民からほめられ、若くても長老たちから尊敬されることだろう。
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裁判では鋭いやつだと認められ、権力者にも一目置かれる存在となるだろう。
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わたしが黙れば人々は待ち、わたしが語れば人々は注目し、わたしが多く語れば手を口に当てて聞き入るだろう。
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わたしは知恵によって不滅となり、後の世の人々に永遠に知られることとなるだろう。
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わたしは諸国の民を支配する。諸国の民はわたしに従うだろう。
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わたしの評判には恐るべき暴君も恐れる。民はわたしを恵み深い王と思い、戦いのときには勇敢な王と思うだろう。
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家に帰れば知恵のおかげでくつろげる。知恵とのつきあいは苦しみがなく、知恵と同居すれば苦労を知らず、愉快に喜ぶことばかりだ。
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わたしは以上のように思い、また次のようにも考えた。すなわち、知恵とつきあえば不死となり、
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知恵を愛せば真の喜びがあり、知恵を働かせば尽きない富を得られ、知恵を使って苦労すれば悟りを得られ、知恵と語り合えば名誉を得られる、と。だからわたしは知恵を得ようとめぐり歩いた。
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わたしは生まれがよかったので、よい魂にめぐり合えた。
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いや、よい魂だったから生まれがよかったというべきか。
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わたしは知恵が誰から得られるのかを悟った。神からでなければ知恵を得られないと知ったのだ。だからわたしは主に求め、願い、心をこめて次のように祈った。
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