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口をすべらせたこともなく、罪に悩んで苦しんだこともない人は幸いだ。
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良心の呵責を感じたこともなく、期待を裏切られたこともない人は幸いだ。
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けちな人に富は似合わない。ねたむ人には金銭は必要ない。
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守銭奴は他人のために貯めているようなもの。その金で赤の他人がぜいたくをするのだ。
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自分を痛めつけてまで誰を楽にさせようというのか。そういう者は自分の富を楽しむことは決してできない。
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一番悪いのは自分にけちな人。それこそがけちの報いである。
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たとえうっかりして善行をしたとしても、最後にはそいつのけちがあらわになる。
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出し惜しみする目の者は冷酷だ。困っている人から顔をそむけ、見ぬふりをする。
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貪欲な目の者は自分のものだけでは満足しない。身を粉にして蓄財し、魂をすり減らす。
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けちな者はパンを惜しむ。食卓はとても粗末だ。
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子よ、できるだけ人生を楽しめ。主に対する供え物をきちんとささげよ。
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死は手間取ることなくやってくる。陰府に行く日の予定はお前には示されていない。このことを忘れるな。
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生きているうちに友達には親切にせよ。お前の力の限り助けてやれ。
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一日の楽しみをふいにするな。適度で健康な欲望ならばがまんするな。
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お前はまさか、苦労して得た富を死後に他人に渡し、誰が受け取るかを決めるくじ引きにゆだねるつもりではあるまいな。
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自分を忘れてしまうほどに酒をくみかわせ。陰府に行ったらそんな楽しみは得られない。
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すべて生きる者は衣服のようにいつは古びる。お前は必ず死ぬというのは永遠の定め。
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こんもりした木に茂る葉が、散っては生えてくるように、人の世も古い世代が死んで新しい世代がおこるのだ。
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すべての仕事は朽ち果てる。職人も作品の後を追って消えていく。
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知恵について思いにふけり、知性によって思索する人は幸いだ。
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知恵の道を思い、奥義に思いをはせる人は幸いだ。
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狩人のように知恵を追いかけろ。入り口で待ち伏せよ。
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窓越しにのぞき込め。玄関で聞き耳をたてよ。
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知恵の住み家の近くに馬をとめよ。その壁に天幕の釘を打ち込め。
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天幕を隣に張った者は、知恵の上等の客になったも同然。
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わが子を知恵のかげに寝かせ、自分自身もその枝のもとで一夜を明かせ。
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知恵のかげのもとで暑さを避けよ。知恵の栄光のうちに宿れ。
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