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第二十八章 モーサヤ.自分の息子たちにレーマン人に教えを説くことを許す。二十四枚の金版翻訳される。アルマの子のアルマ、その記録を保管する。 モーサヤの息子たちは以上のことを為し終ってから少しばかりの人をつれて自分らの父である王のところへ帰り、その同胞であるレーマン人に自分らがすでに聞いたことを教え、また神の道を伝えるために、自分らが選んでつれてきた人々といっしょにニーファイの地へ行くことを許してもらいたいと父にねがった。
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それは、このようにしたならばレーマン人にその神である主のことを悟らせ、その先祖の罪悪を認めさせ、ニーファイ人に対する憎悪の念をなくさせ、その神である主を信じて喜ばせ、ニーファイ人と互いに親しませて、かれらの神である主が両方に与えたもうた全地にもはや争いが起らないようにすることができるかと思ったからである。
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モーサヤ王の息子たちはまた万民に救いの道を教えたいと思った。それは一人と雖も亡びることを考えるに忍びず、また一人と雖も永遠の責苦を受けることを思ってさえもかれらはふるえおののいたからである。
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このように主の「みたま」はモーサヤ王の息子たちを感動させた。かれらはもと罪人の中でも最も卑劣な者であったが、主はその限りない憐みを垂れてかれらを救うのがふさわしいことと考えたもうた。それでも、かれらは自分らの罪悪のためにその心を非常に苦しめ、永遠に捨てられはせぬかと思って大いに心配をし苦しんだ。
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それであるから、かれらはニーファイの地へ行くことを許されるために何日もその父に歎願をした。
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そこでモーサヤ王は主に祈って、伝道をするために息子たちをレーマン人の間に行かせるべきかどうかを伺った。
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すると主はモーサヤに命じて仰せになった「汝の息子らに行かしめよ。多くの人がその言葉を信じて永遠の生命を受くる故なり。われは汝の息子らをレーマン人の手より救い出さん」と。
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モーサヤ王は息子たちが望みの通りに行って働いてよいと許しを与えた。
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そこで息子たちはレーマン人の間に伝道をするために荒野へ旅立った。私はこの息子たちがしたことを後に書き誌そう。
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さてモーサヤ王にはその息子の中に王の位をつぎたいと思う者が一人もなかったから、王の位をゆずって伝える者がなかった。
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モーサヤ王はリムハイの民が発見し、リムハイからモーサヤに伝えられた金版の記録を翻訳して書き取らせてから、真鍮版に刻んだ記録とニーファイ版と神の命令に従って自分が保存した一切のものをまとめた。
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モーサヤ王がリムハイから伝えられた金版にのっている記録を翻訳したのは、王の民が切望したからであって、民は前に亡びてしまった国民のことを非常に知りたいと思った。
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モーサヤ王は弓形のものについている、二つのわくにはめたあの二つの宝石を使ってこの記録を翻訳した。
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この器は世の始めから用意されたものであって、違う言語を訳するために代々伝えられ、
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主の御手によって保存されていた。主はこの器をもってこの地に住む一切の者に、主が選びたもうた民の罪悪と憎むべき行いとを示そうと思いたもうからである。
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この器をもつ者は昔言われたように聖見者と言う。
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さてモーサヤ王がこの記録の翻訳をしてみると、その中には亡びた民のことが書いてあり、それからさかのぼって主が世の人の言葉を乱し世の人を全世界に散らしたもうたころに人々が建てた大きな塔のことと、またずっとさかのぼってアダムが造られた時のことまで書いてあった。
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この記事を読んでモーサヤ王の民はひどく嘆き、悲しみで胸がふさがったが、またこの記事によって喜ばしい多くのことも知った。
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この記録にのっていることを知るのは万人にとってぜひ必要であるから、後に私は書き記そう。
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さて私がすでに話したようにモーサヤ王は以上のことをしてから、真鍮版と自分が保存した一切のものをアルマの子であるアルマに伝え、また一切の記録と解訳器もアルマに与えて、これを保存しなくてはならぬことと、国民の記録を書きつがなくてはならぬことと、またこのもろもろの記録は、ちょうどリーハイがエルサレムを去った時から伝わったようにこの後も代々これを伝えよと命じた。
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