|
第二十六章 不信者と悪人たち。主がアルマにこれらの者を裁く方法を教えたもう。 そのころの若者の中には、ベニヤミン王が民に教えを告げた時まだ幼児であってその言葉を会得のできない者が多かった。それで、このような者たちは今その先祖の言伝えを信ぜず、
|
|
また死者の復活に関する教えもキリストの降臨に関する教えも信じなかった。
|
|
かれらはその不信仰のために、神の道を理解することができなくてその心がかたくなってしまっていた。
|
|
従ってかれらはバプテスマを受けようともせず、また教会に入ろうともせず、その信仰については全然違った民となり、いつまでもその有様で肉欲にふけり罪悪を犯した。それはその神である主に祈り求めようとしなかったからである。
|
|
モーサヤ王が統治をしたころ、このような者の数は神の聖徒の半分にも達しなかったが、教会員の中に紛争が起ったがため、後になってその数はとうとう聖徒の数以上になった。
|
|
かれらは甘い言葉で多くの教会員をだまし、多くの罪悪を犯させた。それであるから、教会の会員の中で罪を犯した者を教会が説諭することが必要になったので、
|
|
教師たちはこれらの者をつれて行ってこれを祭司たちにわたし、祭司たちはまたこれらの者を大祭司であるアルマの前へつれて行った。
|
|
モーサヤ王はこの時すでに教会を司どる権威をアルマに与えていた。
|
|
アルマはつれて来られた人々をどう裁いてよいかわからなかったが、これらの者に反対する証を立てる人が多くあって十分にその罪悪を証明した。
|
|
これより前にはこのような事件が教会内に起ったためしがなかったので、アルマは心配をしてこの者たちを王の前へつれて行かせ、
|
|
さて王に、見よ私どもはこの多くの者たちを王の前へつれてきた。これらの者はその兄弟たちに訴えられた者であって、まことにいろいろな罪悪を行うところを認められている。ところがその罪を悔い改めないから、それぞれの罪に応じて王が裁判をして下さるよう、これらの者を王の前につれてきた、と言った。
|
|
ところがモーサヤ王はアルマに「われはこれを裁判しない、汝の手にわたして裁判をさせる」と言ったので、
|
|
アルマは再びその心を苦しめ、この事件をさばく時に神の御前に過ちを犯すことを恐れて、神の御前に行ってこの事件を処理する方法を神に伺った。
|
|
アルマはその全身全霊をかたむけて神に乞いねがったので、主の御声が聞こえてアルマに言いたもうた。
|
|
「アルマよ、汝はさいわいなり。またモルモンの泉の中にてバプテスマを受けたる者たちもさいわいなり。汝はわが僕アビナダイの言葉のみを固く信ずるによりさいわいなり。
|
|
バプテスマを受けたる人々も汝に言われたることのみを固く信ずるによりさいわいなり。
|
|
汝はこの民の中に教会を立てたるによりさいわいなり。その会員らは立てられてわが民と成るべし。
|
|
まことに喜びてわが名を受くるこの民はさいわいなり。かれらはわが名によりて呼ばれ、わがものとなるべし。
|
|
また汝は罪を犯したる者につきてわれに問いたずねたるによりさいわいなり。
|
|
汝はわが僕なり。われは汝に永遠の生命を授くることを誓う。汝はわれに仕えわが名により出で行きてわが羊を集めよ。
|
|
わが声に聞き従う者はわが羊となるべし。汝はかかる者を教会に迎え入れざるべからず。われもまたこれを迎えん。
|
|
見よ、この教会はわが教会なり。バプテスマを受くる者はみなすでに悔い改めたる証拠にバプテスマを受けざるべからず。汝らが教会に迎え入るる者はみなわが名を信ぜざるべからず。さらば、われは惜気もなくこれに赦しを与えん。
|
|
世の人の罪を負う者はわれなり。世の人を造りし者はわれにして終りまで信ずる者にはわが右に居ることを許す。
|
|
見よ、終りまで信ずる者はわが名によりて呼ばるる故に、もしわれを知るならばよみがえりて永久にわが右に居る。
|
|
第二のラッパの鳴る時われを知りしことのなき者よみがえりてわが前に立つべし。
|
|
その時、かれらはわれがその神にして主また贖い主なるに、われに贖われんとせざりしことを知るべし。
|
|
その時われはかれらに向い、われいまだかつて汝らを知らずと言わん。かくて、かれらは悪魔とその使たちのために備えたる無限の火に入るべし。
|
|
この故にわれ汝らに告ぐ。わが声に聞き従わざる者は汝らこれをわが教会に入るるべからず。われはこの者を終りの日に受けざればなり。
|
|
いざ、汝ら行きて何人にてもわれに対して罪を犯す者をその罪に応じて裁判せよ。されど、もしもかれが汝とわれとにその罪を白状し真心より悔い改むるならば汝はこれを赦せ、われもまたこれを赦すべし。
|
|
まことにわれはわが聖徒らの悔い改むる毎にかれらのわれに対する罪を赦す。
|
|
汝ら互いに罪を赦せ。まことに隣人自ら悔い改めたりと言うときにその罪を赦さざる者は、これがために自ら罪に当る故なり。
|
|
汝行け、およそその罪を悔い改めざる者はみなわが聖徒の中に数えらるべからず。汝らこれより後この戒めを守れ」と。
|
|
アルマはこの戒めを聞いた後、これを保存するためと神の命令によって教会員を裁判するために書き留ておいた。
|
|
それから、アルマは行って罪を犯すところを認められている者たちを主の戒めによって裁判をしたが、
|
|
その罪を悔い改めてこれを白状した者は、みな教会の聖徒らの中に数えたけれども、
|
|
その罪を白状せず悪事を悔い改めない者はみな教会の聖徒の中から除かれその名を削られた。
|
|
アルマが教務のすべてを支配したによって、教会は再びおだやかになり、非常によく栄えはじめて神の御前に慎んで歩み、多くの人を教会に入れ、多くの人にバプテスマを施した。
|
|
さて教会を司どったアルマとその同僚はすべてこれらの務めをし、全く勤勉に働き、万事について神の言葉を教え、いろいろな艱難を耐え忍び、神の教会に属していない人々から迫害を受けた。
|
|
かれらはねんごろにその兄弟たちを戒めたが、自分らもまたすべての人々も、各々現在犯している罪悪また過去に犯した罪悪に応じて神の言葉によって戒めを受け、またたえず祈ることと万事について感謝をしなくてはならぬことを神に命ぜられた。
|