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モーサヤ書 第一章 ベニヤミン王、その息子たちに訓戒を与える。モーサヤ選ばれて父の後をついで王の位につく。モーサヤ記録を受けとることなど。 さてゼラヘムラの全地には、ベニヤミン王の司どる全国民の中にもう不和が起らなかったので、ベニヤミン王は残る生涯をいつも安らかに送った。
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ベニヤミン王には三人の息子があって各々モーサヤ、ヒローラム、ヒラマンと呼んだが、王はこの三人を知恵のある者にしてその先祖が主から授かって伝えたいろいろの予言をかれらに知らせようとし、先祖の言葉をみな三人に習わせた。
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また真鍮版に刻んだ記録についても三人に教えて言った「私の息子たちよ、この記録と命令とをのせているこの版がもしもなかったならば、私たちは今でさえも神の奥義を知らずに無知のままであったにちがいない。私はお前たちがこれをよく憶えておくように望む。
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なぜならば、もしこの真鍮版の助けを借りなかったならば、私たちの先祖のリーハイもこれらのことを皆記憶して、子孫に教えてこれを伝えることができなかったであろう。リーハイはエジプト人の言葉を学んだからこの真鍮版に刻んであることが読め、それを子孫に教えたから子孫はまたそれをその子たちに伝えることができた。このようにして神の命令は今日になるまで守られてきた。
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私の息子たちよ、お前たちによく言っておく。このいろいろな記録が神の御手によってとっておかれたのは、私たちが神の奥義を読んでこれを悟り、常に神の命令を私たちの眼の前に置くためであって、もしもこの記録がなかったならば、私たちの先祖でさえも無信仰に陥り、私たちもまた兄弟のレーマン人のような者になったであろう。レーマン人は真鍮版にのっているこのようなことを少しも知らず、たとえこれを教えられてもその先祖の正しくない伝説のために信じないのである。
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私の息子たちよ、私の望むのはお前たちがこの言葉もまたこの記録も本当であることを忘れないでいてくれることである。ごらん、私たちの先祖がエルサレムを立ち去ってから今日に至るまでの先祖の言ったこととその記録とがのっているニーファイの版は真実である。私たちはそれを今眼の前に持っているからその確かであることを知っている。
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さて、私の息子たちよ、願わくはお前たちがこの記録によって利益を受けるよう努めてこれを研究し、またお前たちが主が私たちの先祖に立てたもうた約束通りこの土地で栄えるために神の命令を守れ」と。
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ベニヤミン王はこのほか本書にのっていない多くのことをその息子たちに教えた。
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息子たちに教訓を与えてから、ベニヤミン王は年をとって自分もやがて世の人が皆行かねばならぬ道を行かねばならぬことを悟ったので、王の位を一人の息子にゆずる必要があると考えた。
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それで王はモーサヤを自分の前に来させ、次のように戒めて言った「わが子よ、私は全国の人民すなわちこの地に住むゼラヘムラの民とモーサヤの民とを集めるために、お前からこれらの者に布告をしてもらいたい。それは明日私が自分の口から汝が私たちの主なる神が与えたもうたこの民の王であり支配者であると、私の民に宣言しようとするからである。
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その上私はこの民に名前をつけて、主なる神がエルサレムの地から導き出したもうたあらゆるほかの民から区別をしよう。私がこうするのはこの民が主の命令を熱心に守っているからである。
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そして、私がこの民に与える名前はかれらが罪悪を犯さなければいつまでも消されない。
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さらに私はお前に言う。もしも主の大きな恵みを受けているこの民が、罪悪を犯してよこしまな不義者となるならば、かれらは主に捨てられてその兄弟のレーマン人と同じように弱い者となるであろう。それであるから、主はこれまで私たちの先祖を養って守りたもうたように、そのたぐいのない驚嘆すべき力でもはやこの民を養ってお守りにはならない。
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主がもしもその御手を伸して私たちの先祖を保護したまわなかったならば、先祖は必ずレーマン人の手に落ちてその怨みのぎせい者になっていたに違いない」と。
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ベニヤミン王はこのようにその息子に言い終ってから、その王国の一切の政事を息子にゆだね、
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さらに、真鍮版に刻んだ記録とニーファイの版とレーバンの剣とそして荒野を旅している間いつも私たちの先祖の道しるべをした球とを息子に預けた。この球は主に対するその従順さに応じて、私たちの先祖を導くために主が備えたもうたものである。
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それであるから、私たちの先祖が神に不忠実となるとその旅が旨くはかどらず、かえって追いかえされて神の不興を自分たちに招いた。それであるから、主は先祖にその務めを思い出させるために飢饉とひどい艱難で苦しめたもうたのである。
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さて、モーサヤは父の命令を奉じてその通り行い、ゼラヘムラ全国の民がベニヤミン王の宣べる言葉を聞くために神殿に集まるよう全国の民に布告をした。
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