|
第4章 ニーファイ人、レーマン人に復讐の戦を始める。ニーファイ人はもはや勝つことができない。神聖な記録をシムの丘から掘り出す。 第三百六十三年に、ニーファイ人はその軍勢を率いてレーマン人と戦うためにデソレションの地を出た。
|
|
ところがニーファイ人の軍勢がデソレションの地へ追い返されてまだその疲れをいやさない内に、レーマン人は新手の軍を以てニーファイ人を襲い烈しい戦をしたので、レーマン人はデソレション市を占領して多くのニーファイ人を殺し、また多くの者をとりこにした。
|
|
この時、ニーファイ人の残りは逃げてテアンクム市へ行きその住民に加わった。テアンクム市は国境に位し、海に近い所にあってデソレション市にも近かった。
|
|
ニーファイ人が打ち破られたのは、その軍がレーマン人を攻めるために出て行ったのによる。もし出て行かなかったならば、レーマン人は決してニーファイ人に勝つことができなかったであろう。
|
|
しかし見よ、悪人は神の裁判から必ずのがれられぬものである。人の心を煽動して血を流させるのは悪人であるから、結局悪人は悪人に罰せられることとなる。
|
|
さてレーマン人はテアンクム市を攻撃する備えをし、
|
|
第三百六十四年にこれを占領しようとして押しよせてきたが、
|
|
ニーファイ人の反撃を受けて追い返された。ニーファイ人は、レーマン人を追い払ったのを見てまた自分の力を誇り、自分の力だけを頼って進みデソレション市を取り返した。
|
|
これらの出来事がみなあって、ニーファイ人の方にもレーマン人の方にも各々何千人と言う死者を出した。
|
|
第三百六十六年が過ぎてしまうと、レーマン人はまたまたニーファイ人と戦うために出てきた。こうなってもニーファイ人はその罪を悔い改めず、相もかわらずいつも悪事を重ねていた。
|
|
さてニーファイ人とレーマン人との区別なく全地の民の間に行われた殺戮の恐ろしい光景は、口にも述べることができず、筆にもつくすことのできないものであった。民は一人のこらずその心をかたくなにして絶えず流血を楽しみとした。
|
|
これほどに大きな罪悪はリーハイの子孫の中にこれまであったことがなく、また主の御言葉によればイスラエルの全家にあったこともない。
|
|
さて、レーマン人はその数がニーファイ人よりも多かったから、デソレション市を落し、
|
|
次にテアンクム市を目がけて進軍し、そこの住民を市から追いはらい、多くの女子供をとりこにし、それからこのとりこをいけにえとしてその邪神の偶像に供えた。
|
|
第三百六十七年に、ニーファイ人はその女子供がレーマン人のためにいけにえとされたことを烈しく怒って出て行ってレーマン人と戦ったから、またまたレーマン人に勝ってこれを自分の国から追い出した。
|
|
このようにして、第三百七十五年まで、レーマン人は再びニーファイ人に攻めよせなかったけれども、
|
|
第三百七十五年の中に、その全軍をあげてニーファイ人に向けて出陣した。この時、軍勢の数は非常に多くてこれを数えなかった。
|
|
これから後は、ニーファイ人はレーマン人に勝つことができず、ちょうど旭に露が消えるように、レーマン人のために亡ぼされてなくなり始めた。
|
|
レーマン人はデソレション市に攻めよせてきてこの地でまことに烈しい戦をなし、ニーファイ人を負かしたので、
|
|
ニーファイ人はまたまたレーマン人の前から逃げてボアズ市へ行った。ボアズ市に着いてからは非常に勇気を得てレーマン人に向ったから、レーマン人は第一の攻撃ではこれに勝つことができなかった。
|
|
しかし、二度目の攻撃でニーファイ人は追い立てられ、無惨に多く殺されて、その女子供たちは再びいけにえとして邪神の偶像に供えられた。
|
|
ニーファイ人はまたまたレーマン人の前から逃げ、町からも村からも住民をみな一しょにつれて行った。
|
|
私、モルモンはレーマン人が今やまさに全国を亡ぼそうとする有様を見てシムの丘へ行き、アマロンが隠して主の御手に託した一切の記録を掘り出した。
|