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天使は答えた。「終末が来る時期は自分で計ってみなさい。予告されたしるしの一部が既に起こったのを見たら、
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その時こそいと高きお方が、自らの創造したこの世を訪れる時であると思いなさい。
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地震とか、民の騒乱とか、諸国の陰謀とか、指導者の動揺とか、君主の混乱とかがこの世の各地に現れる時、
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これらはいと高きお方が昔から、初めの時以来、語っておられた事柄にほかならないと思いなさい。
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この世に起こった事はすべて、始まりは終わりから明らかとなるもので、終わりこそがはっきりしているのだ。
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いと高きお方の時も同様である。始まりは前兆と力あるわざのうちにあらわれ、終わりは行為と奇跡のうちにあらわれる。
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自分の行為や誠実な信仰によって救われた者、神の怒りから逃れた者はみな、
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わたしが予告した危険を生きのび、わたしが永遠の昔からきよめておいた国と地域で、わたしの救いを見るだろう。
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その時には、いまわたしの道を悪用している者は驚き、わたしの道をさげすんで捨てた者は責め苦のうちにとどまるだろう。
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すなわち生きている時に恩恵を受けながらわたしを認めなかった人はすべて、
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そして、まだ自由を持っていたのにわたしの律法をしりぞけた人はすべて、
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さらに、悔い改めの余地があったのにこれを悟らず軽蔑した人はみな、死後に責め苦のうちで真理を認めなくてはならないのだ。
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だからあなたはこれ以上不信仰な者がどのようにして苦しめられるかに興味を持たず、義人がどのようにして救われるのか、きたるべき世はだれのもので、だれのために、いつ来るのかを尋ねなさい」。
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わたしは答えた。
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「これは前にも申しましたが、今も申しますし、今後も申し上げるつもりです。滅びる者は救われる者より多いのです。
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それは水の流れが水滴よりも多いのと同じです」。 天使は答えた。
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「種は畑次第、色は花次第、作品は仕事次第、打穀場は農夫次第なのだ。というのは、この世には次のような時があった。
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わたしはこの世が造られる前に、今生きている人のために準備をしていた。その時はだれもわたしに逆らわなかった。
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なぜなら当時はだれもいなかったからである。しかし人間が造られた時には、世界が準備されて食卓には不足がなく律法もきわめつくせぬほどたくさん決められていたのに、彼らの生き方は堕落してしまった。
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そこでわたしはこの世のことを考えてみたのだが、滅びてしまっていたではないか。またわたしの造った地のことを考えてみたが、そこに生まれた人々の陰謀のために危機に瀕しているではないか。
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これを見てわたしは何人かの者たちをやっとのことで助けたのだ。ぶどうの房から一粒の実を、大きな森から一本の木を救ったようなものだ。
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生まれるべき理由もなしに生まれた大勢の者は滅びてしまえばよい。しかしわたしのぶどう、わたしの木は守らねばならない。大変な苦労をして作り上げたのだから。
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さて、あなたはさらに七日間待ちなさい。その間は断食はせず、
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家の建ったことのない花咲く野原にゆき、野の花だけを食べなさい。肉を食べてはいけないし、ぶどう酒を飲んでもいけない。花だけを食べなさい。
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そして絶え間なくいと高きお方に祈りなさい。そうすればわたしはまた来てあなたと語ろう」。
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それでわたしは命じられた通りアルダトと呼ばれる野に行き、そこで花の中にすわって野の草を食べて腹を満たした。
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七日の後、草の上に横になっていた時、わたしの心は再び前のようにかき乱された。
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するとわたしの口が開き、わたしはいと高きお方のみ前に語り始めて言った。
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「主よ。まことにあなたはわれわれのうちにあって、祖先にご自分をあらわされました。それは祖先がエジプトを出て人跡未踏で不毛の荒れ野を進んでいた時でした。その時あなたは言われました。
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『イスラエルよ、わたしの言うことを聞きなさい。ヤコブの子孫よ、わたしの言葉に耳を傾けなさい。
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見よ。わたしはあなたがたのうちにわたしの律法という種をまく。それはあなたがたのうちで実を結び、あなたがたはそれによって永遠に賛美されるだろう』。
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しかしわれわれの祖先は律法を受けながらそれに従わず、またあなたの戒めを守りませんでした。でも律法の実は滅びませんでした。というのはそれはあなたのものだから、滅びるはずはなかったのです。
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しかし律法を受けた人間の方は滅びてしまいました。彼らのうちにまかれたものを守らなかったからです。
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ご覧ください。世のならわしでは、地面が種を、海が船を、器が食べ物や飲み物を受けいれる時、
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もしまかれたもの、送り込まれたもの、入れられたものが滅びることになったとしても器はそのまま残るものです。しかしわれわれの場合こうはなりませんでした。
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律法を受けたわれわれ、および律法を受けいれたわれわれの心のほうが、罪を犯したので滅びるのです。
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しかし律法は滅びることなく、自らの栄光を保ち続けるのです」。
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このような事を心の中で言って、わたしの眼でうしろを見ると、わたしは右手の方に一人の女を見た。この女は悲しんで大声で泣いているではないか。心は深い悲しみに沈んでいた。その衣は引き裂かれ、頭には灰をかぶっていた。
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わたしはそれまでの思いを振り払い、女の方を向いて言った。
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「なぜ泣いているのか。心で何を悲しんでいるのか」。すると女はわたしに言った。
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「主よ、どうかわたしにかまわないでください。自分のために思いきり泣かせてください。もっと悲しませてください。なぜならわたしの心はひどく傷つき、大変な恥ずかしめを受けているからです」。
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わたしは女に言った。「何があったのです。話してみなさい」。すると女はわたしに言った。
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「あなたのはしためであるわたしはうまずめでした。三十年間夫がありながら子を産みませんでした。
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それでわたしはこの三十年間というもの、片時も休まず、いと高きお方に日夜お願いしました。
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三十年の後、神はあなたのはしためであるわたしの願いをきき届け、わたしの恥ずかしめをご覧になり、わたしの苦しみを察して息子を与えてくださいました。その子のためにわたしもわたしの夫も町のすべての人々もとても喜んで、われわれは力ある方を大いに賞めたたえたのでした。
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わたしはとても苦労をして息子を育てました。
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息子が成長した時、わたしは息子のために妻を迎えに行き、婚礼の日を決めました。
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