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2024年4月25日(木) 通読(本日=箴1,ユディ8,アル8 明日=エレ47-52,バル3,クル-43回)

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節表示・修正口語訳(日本語R)+真理子のおまけ 解題
〔真理子訳〕ダニエル書補遺-スザンナ 第1章
バビロンにヨアキムという人が住んでいた。
彼のめとった妻は、ヘルキヤの娘でスザンナといい、非常に美しく、主を畏れる女であった。
両親も正しい人であり、娘をモーセの律法に従って教育した。
ヨアキムは金持ちであり、家の隣に庭園を持っていた。あらゆる人のうちで最も尊敬されていたので、いつもユダヤ人たちが寄ってくるのであった。

ある年に、人々のうちから二人の長老が裁判人として任命された。この二人は主がかつて、「不法はバビロンの裁判人である長老から出てきた。彼らは民を指導すると思われたのに」と言われたとおりの人物であった。
この二人はいつもヨアキムの家に来ていたので、裁判をしてもらう人たちは皆、彼らのところに来た。
正午になって人々が立ち去ると、スザンナはいつも夫の持つ庭園に入って散歩することにしていた。
例の二人の長老は、スザンナがそこで散歩する様子を毎日見て、彼女に欲情を抱くようになった。
そして、理性を失い、天から目をそむけて仰ぎ見ることをせず、正しい裁判をしようと心がけることもなくなった。
二人とも彼女のために心を乱していたが、互いに自分の悩みを打ち明けないでいた。
彼女と交わりたいという欲情を口にするのを恥じたからである。
そして毎日、彼女を見ようと、その機会を熱心にうかがっていた。

ある日、二人は互いに、「もう食事の時間だから家へ帰ろう」と言って、外に出て互いに別れたのだが、
引き返して来てふたたび顔を合わせた。その理由を問い詰めあううち、二人とも自分の欲望を告白してしまった。そこで二人は、彼女が一人でいるところを見つけようと、一緒になって機会をうかがうことにした。

こうして二人がよい機会をねらっていると、ある日、彼女はいつものように侍女を二人連れて、とても暑い日だったので、庭園の中で水浴びをしようと思った。
そこには、二人の長老が隠れて彼女をのぞき見している以外は、誰一人いなかった。
スザンナは侍女たちに「オリーブ油と香油を持って来なさい。そしてわたしが水浴びできるように、庭の戸を閉めなさい」と言った。
二人の侍女はスザンナの言うとおりにし、庭園の戸を閉じて、命ぜられたものをとりに脇の扉から出て行ったが、長老たちが身を隠していたので、気づかなかった。

侍女たちが出て行くと、二人の長老は立ち上がり、スザンナのところに駆け寄って、
次のように言った。「さあ、庭園の戸は閉まっている。誰も見ていない。わたしたちはあなたがほしいのだ。わたしたちの言うことを聞いて身を任せなさい。
さもないと、あなたを訴えて、若い男と一緒にいたために侍女たちを下がらせた、と証言してやるぞ」
スザンナは深いため息をついて言った。「これでは逃げ場がありません。あなたがたと寝るようなことをしたらわたしは死なねばなりません。もし寝なければあなたたちのわなから逃れることはできません。
でも、主に対して罪を犯すよりは、あなたがたと寝ないでわなはまるほうがましです」
こう言うと、スザンナは大声をあげた。そこで、二人の長老も彼女に対抗して叫んだ。
そして、長老の一人が走って行って、庭園の戸をあけた。
庭園の中の叫び声を聞きつけて、スザンナの身に何が起こったのだろうと、家の者たちが脇の扉から駆け込んで来た。
長老たちが自分たちの作り話をすると、召使たちは大いに恥じ入った。スザンナにこのようなうわさが立てられたことが、かつて一度もなかったからである。

翌日、人々が夫ヨアキムのところに集まっていたとき、二人の長老はスザンナを死刑にしようと不法な陰謀を抱いてやってきて、人々の前で言った。
「ヘルキヤの娘、ヨアキムの妻、スザンナを呼べ」。そこで人々は迎えに行った。
スザンナは、両親、子供たち、一族の人々とともに入ってきた。
スザンナはきわめて貞淑な、美しい婦人であった。
彼女はかしらにおおいをかけていたので、例の無法者たちは彼女の美しさを味わおうと思い、おおいをとるように命じた。
彼女の近親者や、見ていた人たちは皆、嘆き悲しんだ。

二人の長老は人々の真ん中に立ち、スザンナのかしらに手を置いた。
スザンナは泣きながら天を仰いだ。彼女は主を信頼していたからである。

長老たちは言った。「われわれが二人きりで庭園内を散歩していると、この女が二人の女中と一緒に入ってきて、戸を閉め、女中たちを下がらせた。
すると、隠れていた若者が彼女のところに来て、彼女と一緒に寝た。
われわれは庭の隅でこのけしからぬ行為を見たので、彼らのところに駆け寄った。
われわれは二人が交わっているところを見たが、その男を捕まえることができなかった。われわれより力が強く、戸をあけて逃げてしまったからである。
そこでこの女を捕えて、若者が誰であるかを問い詰めたが、
彼女はどうしても告げようとしなかった。われわれは以上のように証言する」。会衆は彼らの言うことを信じた。二人は民の長老で、裁判人だからである。そして彼らはスザンナを死罪に定めた。

ところがスザンナは大声で叫んだ。「永遠の神、隠されたことを知り、万物をそのできあがる前にご存知である神よ。
あなたは彼らがわたしについて偽証したことをご存知です。いまやわたしは、この人々がわたしに対して仕組んだ陰謀のようなことを何一つしたおぼえがないのに、死なねばならないのです」

主はスザンナの声を聞き入れなさった。
そして、彼女が処刑のために引き出されて行くとき、ダニエルという名の若い青年の聖なる霊を呼び覚まされた。

ダニエルは大声で叫んだ。「わたしはこの婦人の血に責任を持たない」。

人々は皆、彼のほうを振り向いて言った。「お前のいま言ったことはどういうことか」。

そこでダニエルは人々の真ん中に立って言った。「イスラエルの人々よ、あなたがたはここまで愚かなのか。
もう一度裁判の席に戻りなさい。こいつらは彼女について偽証したのです」。

そこで人々は皆、急いで元の席に戻った。すると長老たちがダニエルに言った。「こちらに来てわれわれの中にすわりなさい。そしてわれわれに教えてほしい。神がお前に権利を与えてくださったのだから」。

ダニエルは彼らに言った。「あの二人を互いに遠く引き離してください。そうしたらわたしが彼らを審問しましょう」。

長老の一人がもう一人から引き離されると、ダニエルは一方を呼んで言った。「悪事を重ねて日を過ごして来たおいぼれめ。いまこそ、以前の罪がお前に報いに帰って来た。
主が『無実の正しい人を死に定めてはならない』とおっしゃっているのに、お前は不正な判決で無実の人を罪に定め、罪びとを見逃して来た。
もしお前がこの婦人を見たというなら、さあ、今すぐに言ってみよ。何の木の下で二人が交わっていたのを見たというのか」。長老は言った。「芳香樹(スキノス)の下でです」。
するとダニエルは言った。「ほら、お前はうそをついたために自分の首を失うのだ。神の使いはすでに神から判決をいただいて、お前を真っ二つに裂く(スキセイ)であろう」。

ダニエルは彼を退かせ、もう一人を連れて来るように命じた。そして彼に言った。「ユダ族ではないカナンの子孫め。お前は美しさにあざむかれ、心が欲情に迷わされたのだ。
お前たちはこういうふうにイスラエルの娘たちをあしらって来たのだな。娘たちは恐ろしさのあまりお前たちに身を任せて来たのだ。だが、ユダ族の娘の一人は、お前たちの悪だくみに屈しなかった。
さあ、今すぐ言ってみよ。何の木の下で二人が交わっているのを捕えたというのか」。彼は言った。「かしの木(プリノス)の下でです」。
するとダニエルは言った。「ほら、お前もうそをついて自分の首を失ったのだ。神の使いはつるぎを手に持って、お前を真っ二つに引き切ろう(プリサイ)と待っているぞ。お前たち二人を滅ぼすために」。

そこで、会衆たちは皆大声で叫び、神に望みをかける者を救ってくださる神をほめたたえた。
そして、二人の長老に向かって立ち上がった。ダニエルが彼ら自身の口から彼らが偽証者であることを明らかにしたからである。そして、彼らが隣人に対してしようとしたことを、二人に対しておこなった。
すなわち、モーセの律法にしたがって処刑したのである。この日、罪なき者の血は流されずにすんだ。
ヘルキヤとその妻は、娘スザンナのために、夫ヨアキムや親族一同とともに神をほめたたえた。彼女には何一つふらちな行為がなかったからである。

この日以来、ダニエルは人々の間で偉大な人物とみなされるようになった。

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