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2024年3月28日(木) 通読(本日=ヨブ35-36,ユディ4,モサ17 明日=エレ27-31,知18,クル-35回)

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節表示・修正口語訳(日本語R)+真理子のおまけ 解題
〔57年モルモン経〕アルマ書 第30章
第30章
キリストに反対する者、コラホル。ジェルションから追放されてギデオンで捕えられる。ゼラヘムラで審問を受ける。コラホル、しるしを見せよと言って唖となる。コラホルのみじめな死。

さて、アンモンの民がその住居をジェルションの地に定め、レーマン人の軍隊がもはやニーファイ人の国から追い払われてその死者がニーファイ人に葬られ、
またニーファイ人が味方の死者を葬って、その断食と喪と祈りとの季節が終ってからは(ニーファイの民を治める判事治世の十六年目の内)全国が平和になった。レーマン人の死者はその数が非常に多かったから、これを勘定せず、またニーファイ人の死者もその数をしらべなかった。
国民は主の命令に服従し、モーセの律法に従って固く神の儀式を守った。これはモーセの律法がその目的を達してその効能がなくなるまではこれを守れと教えられていたからである。
それであるから、ニーファイの民を治める判事治世の十六年目は年中国民の間に不和がなく、
またその十七年目も年中ひきつづき平和であった。
ところが十七年目の末のころゼラヘムラの地に一人の男があらわれたが、これはキリストの反対者であった。それはこの男が予言者たちがキリストの降臨について宣べた予言に反対して民にかれの説を宣べ始めたからである。
このころは人の信教を禁止する法律はなかった。それは人々を不平等の地位に置く国法があることは全く神の命令に背くからであった。
聖文に「今日汝ら各々己が事えんと欲する者を選べ」とある。
それであるから、もしも人が神に事えたいと思うならば神に事える特権があった。すなわち人がもし神を信ずるならば神に事える特権があった。しかし、もしも神を信じない者があってもこれを罰する法律はなかった。
しかし故意に人を殺せば死刑に処せられ、強盗、盗み、姦淫またはすべてこのような罪悪を行えば罰を受けた。
当時、人はその犯罪の重い軽いによって裁判を受けると言う国法はあったが、人の信教を禁ずる国法はなく、人はただ犯罪の罰を受けるだけであった。それであるから、人はみな平等の地位に居ったのである。
いまこのキリスト反対者はコラホルと言う者であって(国法も罰することができなかったから)、キリストと言うものはあるはずがないと民に教え始めた。この男の言ったことは次の通りである。
「愚で空しい望みの奴隷になっている人たちよ。あなたたちはどうして、このような愚なことのためにくびきを自分の身にかけているのか。誰も前以て将来のことが知れないのに、あなたたちはどうしてキリストを待ち望んでいるのか。
あなたたちが聖い予言者から伝えられた予言であると言っていることは、あなたたちの先祖が伝えた愚な伝説にすぎない。
あなたたちは、どのようにしてその説が確であることを知っているか。あなたたちはまだ見ない物事については何にも知ることができない。それであるから、これからキリストがこの世に来ると言うことを前以て知ることはできないのである。
あなたたちは前以て将来のことを推量して、自分の罪が赦されるのを先見すると言っているが、これは精神が狂っている結果である。このように精神が乱れるのはあなたたちをまどわして、偽を本当と信じさせる先祖の伝説から起ることである」と。
コラホルはこのようなことを多く人民に話し、世の人の罪を贖うなどとはできるはずがないことである、またこの世に於て人の成功するとしないとはそれぞれ人の工夫に由るのであって、各々の器量に応じて栄え、各々の力量に従って勝つと言うことを教え、また人のすることは何をしても罪にはならないと説いた。
この男はこのように教えて、多くの人の心をまどわして恥しげもなく罪を犯させ、多くの男女を誘ってみだらな行いをさせたが、また人間が死ねばそれで終りであると言って民に教えた。
この男はまたかつてレーマン人であったアンモンの民にもこれらの説を教えようとしてジェルションの地へも行った。
しかし、アンモンの民は多くのニーファイ人よりも賢かったから、コラホルを捕えてかれを縛り、その地方の民の大祭司であるアンモンの所へ送った。
ところでアンモンはコラホルをその地方から追放した。それでコラホルは今度はギデオンの地へ行き、そこの住民に自分の教えを宣べた。しかしここでも大して成功を収めなかった。そのわけはと言うと、かれが補まって縛られその地方の大祭司と高等判事との前に引かれて行ったからである。
その時大祭司はコラホルに問うて言った「汝はどう言うわけで歩きまわって主の道を曲げるのか。どう言うわけで将来キリストは来りたまわないとこの民に教えてその喜びを妨げるのか。どう言うわけで聖い予言者たちの予言にことごとく反対して言うのか」と。
この大祭司はその名をギドーナと言ったが、コラホルはギドーナに答えて「そのわけは、私はあなたたちの先祖から来た愚な伝説をこの民に教えず、また昔の祭司たちがこの民を治める権力を奪い取って民をいつまでも無知の境涯に置き、その独立を妨げてあなたたちの命令に従わせるために立てたあの愚な儀式と典礼とによって、民が自分で自分の自由を束縛するように教えないからである。
あなたはこの国民を自由の民であると言うが、私はこの国民は奴隷になっていると明言する。あなたは昔から伝わったあの予言が本当であると言うが、私はあなたがそれが本当であることを確に知ってはいないと断言する。
あなたはこの民がその始祖のとがのために罪があって堕落したものとしているが、私は子がその親の行いのために罪があると言うことはないと言う。
そしてあなたはまた将来キリストがこの世に来ると言うけれども、私はあなたが将来キリストが来ることを確に知ってはいないと断言する。あなたはまたキリストが世の人の罪を贖うために殺されると言って、
この民をまどわし、その先祖から来た愚な伝説と自分の欲望に従わせるばかりでなく、民の骨折りによって自分の腹を肥すために奴隷のように民を抑えている。それで民は思い切って大胆に見上げることもせず、またその権利と特権とをもつ勇気もない。
まことにこの民は祭司たちを怒らせはしないかと思って、自分らの持物を使うことさえもおそれている。ところが、その祭司たちは心のままにくびきを民にかけ、その伝説と空想と出来心と幻と偽の奥義とによって、もしもその言葉に従わないと神と言うまだ知られていない者の怒りに触れると民に信じさせた。神と言うものはいまだかつて人に見られず知られないものであって、過去にもあったことはなく、現在にも将来にもあることはないのである」と。
大祭司と高等判事とはコラホルの心がかたくなであるのを見、またかれが神さえもののしるを認めるや、これに何の答もせず、ただかれを縛らせて下役にわたし、ゼラヘムラの地へ送ったが、これはコラホルをアルマと全国を支配する大判事との前に出すためであった。
ところが、コラホルはアルマと大判事との前に引き出された時にも、またギデオンの地で言ったように言って神をけがした。
かれはアルマに向い能弁を振って祭司らと教師らとをののしり、この人たちが民の骨折りで自分らの腹を肥すために、民を誘ってその先祖の愚な伝説を信じさせることを訴えた。
そこでアルマはかれに答えて言った「われわれがこの民の骨折りで自分たちの腹を肥していないのは汝が知っていることである。私は、私の民に神の道を宣べるためにたびたび全国をまわってあるいたが、判事治世の始めから今になるまで自分の身を支えるためには自ら労働をした。
私が教会でした働きは多いけれども、いまだかつてこれがために一セナインも報酬を受けたことはなかった。また私の兄弟らも裁判職を務める者のほかは皆そうである。裁判職を務めている私たちでさえも国法の定める通り務めの時間に応じて俸給を受けるだけである
われわれがもし教会に於ける務めのため何にも報酬を受けないとするならば、われわれが真理を宣べ伝えて同胞の喜ぶところを見て自分も喜び楽しむほかに、教会で何のために働くのであろうか。
汝はわれわれが何の利益も受けていないのを知りながら、利益を得るためにこの人民に道を伝えていると訴えるのはどう言うわけであるか。見よ、この民の心に満ちているこれほどの喜びは、これがわれわれが民を欺いたために起ったと考えているのか」と。
するとコラホルは「その通り、そのために起ったと考えている」と答えた。
そこでアルマが「それでは汝は神がましますことを信ずるか」と聞くと、
コラホルは信じないと答えた。
それによってアルマはコラホルに言った「汝は神がましますことをまた否定するのか。またキリストも否定するのか。見よ、汝に言うが、私は神のましますことと、キリストが将来この世の来りたもうことを知っている。
汝は何の証拠があって神がましまさず、またキリストは降臨したまわないと言うのか。そう言う汝の言葉のほかには何にも証拠がないではないか。
しかし見よ。私は万物を以て神のましますこととキリストが降臨したもうことが本当であるのを証明するばかりでなく、汝にもまた本当である証拠として万物があるのである。それであるのに、汝はまだこれらの事実を否定するのか。またこれらの本当であることを信ずるのか。
見よ、私は汝がそれを信じていることを知っている。ところが汝は偽を言う霊につかれていて自分に神の「みたま」が宿らないようにこれを遠ざけた。今、悪魔が汝を支配してここかしこへ汝を行かせ、汝を使って悪事を行わせ、そして神の子らを亡ぼそうとしている」と。
するとコラホルはアルマに答えて「神があることを私に確に信じさせるために一つのしるしを示せ。神に能力があることを私に示せ。そうすれば汝の言葉が本当であることを確に信じよう」と言った。
しかしアルマはコラホルに向って「汝はもはや十分のしるしを持っている。汝は自分の神を試みようとするのか。汝の同胞であるこれらの人々の証拠とすべての聖い予言者の証拠とがあるのに、まだ私にしるしを見せてくれと言うのか。見よ、聖文が汝の目の前にあるばかりでなく、万物は神のあることを示している。大地もその表面にある万物も、大地の運動も、各々秩序正しくその軌道を運行する天体も、みなことごとく全能全権の創り主があることを証明している。
これでもまだ、汝は歩きまわってこの民の心をまどわし、神がないと言うのか。汝はこのように多くの証拠に反対しても信じないのか」と言ったが、コラホルがそれでも「もしもしるしを私に見せないならば、決して信じない」と言ったので、
アルマは再びコラホルに言った「見よ。私は汝がかたくなであって、これまで言っても真理の「みたま」にそむき、自分の身も霊も永遠の亡びを招くから悲しく思う。
しかし身よ、汝がその偽とへつらいとを以て多くの人を亡ぼすよりは、むしろ汝一人の亡びる方がよい。それであるから、汝がもしも二度と神がないと言うならば、神は汝を打ちたもうてそれがために汝はおしとなりいつまでもその口を開けることができず、この民を欺くことができなくなる」と。
ところがコラホルがアルマに向って「私は神がないとは言わないが、神があると言うことを信じない。私は汝もまた神があることを知らないと言っているのだ。だから、汝がもし私にしるしを見せてくれなければ私は決して神のあることを信じない」と言ったから、
アルマは「それなら汝は私の言ったように唖になれ。これは私が見せてやるしるしである。私は神の御名によって言う。汝は唖になって二度と口を利くことができない」と言った。
すると、果してコラホルはアルマが言ったように唖になって物を言うことができなかった。
大判事はこれを見て手をさし出し、コラホルに書き示して「汝は今や神の能力を確に信ずるか。汝は誰によってしるしを見せてくれとアルマに願ったか。汝にしるしを見せるためにアルマが汝を苦しめずにほかの人を苦しめるのを願ったか。見よ、アルマはすでに汝にしるしを示した。汝は今まだ疑っているか」と問うた。
するとコラホルもまたその手を差し出して書き示し「私はもはや物を言うことができないので唖になったことを知り、また神の能力のほかにこの禍を私に下すことのできるものはないことを認める。まことに私も前から神がましますことを知っていたのである。
ところが悪魔が私を欺いて天使の形で私に現われ『この民はみなさまよってまだ知れていない神に仕えるようになっているから、汝は行ってこの民を改心させよ』と命じ、また神はないと私に告げたばかりでなく私がこの民に教えねばならぬことも教えた。私は悪魔の言葉が肉欲の心を喜ばすのを見てこれを民に教えた。私は大きな成功を収めるまでこの言葉を宣べ伝えたから、自分も全くこれは本当だと信ずるようになった。こう言うわけで私は真理に逆らい、とうとうこのようなひどいのろいをわが身に招いたのである」と言った。
そしてこのように書き示してから、のろいが自分の身からとり去られるように祈ってもらいたいとアルマに願った。
しかしアルマはこれに答えて言った「もしもこののろいが汝からとり去られると、汝はまたこの国民の心をまどわすであろうから、これは主のみこころにお任せする」と。
このようにしてコラホルが受けたのろいはとり去られなかったから、かれはついに追い出されて家から家へ食物を乞うてまわる身となった。
そしてコラホルの身に起ったこの事はすぐと全国に言いふらされた。すなわち大判事は全国の民にふれを廻し、コラホルの説を信ずる者はコラホルの受けたと同じ裁きを受けるといけないから皆すぐに悔い改めなければならないと戒めた。
これによってコラホルの信者たちはみなコラホルが罪人であることを認め、心を改めて再び主に立ち帰った。これでコラホルの行ったような悪事はみなそのあとを絶ち、コラホルは糊口のために家毎に食を乞うてあるいた。
さて、ニーファイ人から離れてゾーラムと言う人の配下に属し、自分からゾーラム人と言っている民がある。コラホルはこの民の所へ行ったとき、ある日その中をあるきまわっている際、押し倒されてとうとう踏み殺された。
このように私たちは主の道を曲げる者がどのような最後をとげるかを明らかに知り、また終りの日に当って悪魔は自分に仕えた者を助けずに速にこれを地獄に陥し入れることも知ることができるのである。

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