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第三章 リーハイの息子たち、真鍮版を手に入れるために、エルサレムに戻される。レーバン、真鍮版をわたすことをことわる。レーマンとレミュエル一人の天使にとがめられる。 私ニーファイは、主と話をしてから私の父の天幕に帰ってきた。
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すると、父は私に話して次のように言った「ごらん、私は一つの夢を見た。その夢の中で主は汝と汝の兄弟たちがエルサレムに帰るよう私に命じたもうた。
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これはレーバンがユダヤ人の歴史と、汝の先祖の系図とを持っているからであって、この二つとも真鍮版に刻んである。
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それで、主は汝と汝の兄弟たちはレーバンの家へ行ってその歴史をくれるようにたのみ、それを荒野の中のここまで持ってくるように私に命じたもうた。
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ところがごらん、汝の兄弟たちは私のたのみがむつかしいことだと言って不平を鳴らすが、これは私が汝の兄弟たちにしてくれと言ったのではなくて、まことに主の命令である。
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だからわが子よ、汝はエルサレムへ行け。そうすれば汝は不平を言わなかったから主に恵まれて助けを受けるであろう
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そこで私ニーファイは、私の父に「私は主が命じたもうたことを行って行う。私は、主が命じたもうことには、人がそれを為しとげるために前もってある方法が備えてあり、それでなくては、主は何の命令も人に下したまわないことを承知しているからである」と言った。
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父はこれを聞くと、私が主に祝福されていたことを知って非常によろこんだ。
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そこで私ニーファイと私の兄弟たちは、エルサレムの地へ行こうと天幕を持って荒野の中を旅行した。
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やがてエルサレムの地へ着くと、私と私の兄弟たちは互いに相談をしたのであった。
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私たちはだれがレーバンの家へ入って行くことになるかくじを引いた。ところがそのくじがレーマンに当ったので、レーマンはレーバンの家へ行き坐についているかれと共に話をし、
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あの真鍮版に刻んであって私の父の系図がのせてある歴史をもらいたいとレーバンに言った。
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ところがごらん、レーバンは怒ってレーマンを自分の前からそとへ突き出し、その歴史をくれようとはしなかった。と言うわけでレーバンはレーマンに向って「見よ、汝は盗賊である。われは汝を殺してやる」と言った。
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しかしレーマンはレーバンのところから逃げ出してきて、私たちにレーバンのしたことを話した。そこで私たちは非常にくやしい思いを起し、私の兄たちは荒野に待っている父のところへまさに帰ろうとした。
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しかしごらん、私は兄たちに言った「主が生きていまし私が生きているように確かに、私たちは主の命じたもうたことを果すまでは荒野にいる父のところへ帰らない。
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だから主の命令を忠実に守ろうではないか。だから父がもと住んでいた土地へ行こうではないか。ごらん、それは父が金銀およびあらゆる宝をあとにのこしてきているからで、父はこれをみな主の命令があったからした。
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それは父が民の罪悪によってエルサレムが必ず破壊されることを知っていたからである。
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ごらん。エルサレムの民は予言者たちの言葉を受け入れなかった。だから、もしも私の父がその土地から逃げよと命ぜられながら、まだ万一そこに住んでいようものなら、父もまたきっと亡びるであろう。そう言うわけで、父がその土地から逃れるのはぜひとも早くせねばならないことであった。
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[19-20]だからごらん、私たちが自分の先祖の言葉を子孫たちに伝えて教えることができ、また世の始めから今に至るまで神の「みたま」と能力とによって、すべての聖い予言者たちに伝えられ、しかもこれらの人たちによって語られた言葉を子孫にのこすために、私たちがあの歴史を手に入れるのは神のみこころにかなうことである」と。
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私は兄たちが神の命令を忠実に守るように、こう言う風の言葉で説きつけたのであった。
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そこで私たちは自分らの相続した土地へ行って、自分らの金銀そのほかの貴重品を取り集めた。
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そしてこれらの品々を取り集めてから、もう一度レーバンの家にやってきた。
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私たちはレーバンの家へ入って行って、自分たちの金銀そのほか皆貴重品を与えるから、真鍮版に刻んだあの歴史を私たちにくれるように頼んだ。
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ところがレーバンは私たちの持っている物を見、しかもそれが大したものであるのを見て、これが欲しくてたまらなくなったから私たちをそとへ突き出し、私たちの持っている物を自分のものにしようとし、また私たちを殺そうとしてその召使たちをよこした。
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そこで私たちはレーバンの召使たちの手から逃げ出してきたが、私たちの持っている物はあとに捨ててくるよりほかにしかたがなかったので、これはレーバンのものになってしまった。
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そして私たちは荒野の中へ逃げこんだところ、レーバンの召使たちは私たちに追いつかなかったので、私たちはとある岩の洞穴に身をかくした。
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そこでレーマンは私と私の父に腹を立て、レミュエルもレーマンの言うことを聞いたからいっしょに腹を立てた。そう言うわけで、レーマンとレミュエルはその弟である私たちに多くの荒い言葉をかけ、その上に棒で私たちをうち叩いた。
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二人が私たちを棒でうち叩くおりから、ごらん、一人の主の使いがきて二人の前に立ち「なぜ、汝らは自分の弟を棒でうち叩くのか。汝らは主が弟を選んで汝らの支配者になさったのを知らないのか。これは汝らの罪悪のためである。見よ、汝らはまたエルサレムまで行け。そうすれば、主はレーバンを汝らの手に引き渡したもう」と二人に仰せになった。
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そして、この使は私たちにこう語り終って立ち去った。
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ところが、この使が立ち去ってから、レーマンとレミュエルはまたも不平を鳴らし始め「どうして主がわれわれの手にレーバンを引き渡すことができようか。レーバンは有力な人で五十人を指揮することができる、いや五十人を殺すことさえもできる。それならば、どうしてわれわれを殺せないわけがあろうか」と言った。
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