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エリフの弁論の続き。
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「たいそう博学の皆さん、ぼくの言うことを聞いていただきたい。
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われわれは、聞きたい音楽を選び、食べたい料理を選ぶように、
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正しいことには従うという建て前を選ぶべきだ。 しかし、まず手始めに、正しいとはどういうことか定義する必要がある。
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ヨブさんがこう言ったからだ。 『わしは潔白なのに、神様はそうでないと言い、
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うそつき呼ばわりする。 罪など犯したこともないのに、恐ろしい罰を受けているんだ。』
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[7-9]ヨブさんのように尊大な人間が、ほかにいるだろうか。 なにしろ、『神様の気に入ろうとするなんて時間の浪費さ』と言うほどだから、悪者たちとよほど親しくしていたに違いない。
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実に物わかりのいい皆さん、ぼくの言うことを聞いてほしい。神様は罪を犯さないことぐらい、子供だって知っている。
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たいせつなのはむしろ、神様が罪人を罰するということだ。
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神様は絶対に悪を行なわず、正義を曲げないということほど確かなことが、あるだろうか。
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ただ神様だけが、地上を支配する権威を持ち、正義をもって全世界を治める。
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神様がご自分の御霊を引き上げたら、
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いのちあるものはみな姿を消し、人は元のちりに帰る。
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ぼくのことばに耳を傾け、これから言うことを理解してほしい。
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もし、神様が正義を憎んだとしたら、支配者としての資格があるだろうか。 あなたは、全能の裁判官をとがめるつもりか。
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王や高貴な人に、『おまえたちは不正を働く悪人だ』と言うこの神様を、とがめるつもりか。
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神様は、どんなに身分の高い者にも色目を使わず、貧しい人より金持ちを、多少でもえこひいきしたりしない。 どんな人間でも、神様が造ったからだ。
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彼らはあっという間に死ぬ。 身分の高い者も低い者も、真夜中に突然、人の手によらないで取り去られる。
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神様はすべての人の行動に目を光らせ、何もかもお見通しなのだ。
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悪人が神様の視線から身を隠すような暗やみはない。
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だから、人を神様の法廷に引き立てるには、何か大きな罪を犯すのを待つまでもない。
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神様は最高権力者を、取り調べることもなく失脚させ、他の人を代わりに立てる。
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彼らのすることを監視し、一夜のうちに彼らをくつがえし、滅ぼす。
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また、公衆の面前で、彼らを悪者として打ちたたく。
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彼らが神様から離れてわき道にそれ、
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貧しい者の叫びが神様の耳に届いたからだ。 神様は虐待される者の叫びを聞く。
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[29-30]神様が沈黙を守っているからといって、だれが神様を非難できよう。 神様は、下劣な者が支配権をにぎらないようにして、国を滅亡から救う。 その一方では、いとも簡単に一つの国を葬る。
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なぜ、人は神様に、『私たちは罪を犯しましたが、もういたしません』と言わないのだろう。
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あるいは、『私たちは、どんな悪いことをしたのかわかりません。 教えていただければ、すぐに改めます』と言わないのだろう。
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神様は、あなたの注文どおりに法を曲げるだろうか。 あなたの移り気に合わせて、宇宙の秩序を変えるだろうか。 答えはわかりきっている。
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[34-35]ヨブさん、昼あんどんだって、あなたがばかげた話し方をするというぼくの説に、賛成するはずだ。
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あんなに神様を悪く言ったんだから、厳罰を受けて当然だ。
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あなたは、ほかの罪に、背き、傲慢、冒涜の罪を加えた。」
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