|
第十章
レーマン王死ぬ。ゼニフとその民圧制者にうち勝つ。
私たちは国を回復して再びその地に安んじて住むことになった。私はレーマン人がまたやってきて私の民に戦をいどまない先に私の民に持たせようとして、あらゆる武器を造らせた。
|
|
また私は、レーマン人がまた不意に襲ってきて私たちを亡ぼさないように、国のまわりに見張りの兵を置き、そして私の民と家畜の群を守って敵の手に落ちないようにした。
|
|
このようにして私たちは二十二年の間、先祖の土地に住んだ。
|
|
私は男には土地を耕させてあらゆる穀物やあらゆる果物を作らせ、
|
|
女には糸を取らせ、骨折り働かせ、あらゆる良いリンネルを織らせ、また私たちのはだかを覆うためにあらゆる織物を織らせた。このようにして、私たちはこの土地で栄え二十二年の間ずっと平和がつづいた。
|
|
さて、レーマン王が亡くなってその息子が王の位をついで国を治めることになったが、かれはその民を煽動して私の民に敵対をさせたから、レーマン人は戦の備えをし出陣して私の民を打つ準備に取りかかった。
|
|
しかし、私の民が不意を打たれて亡びないように、私は敵の準備を探り知ってこれを防ぐために前もってシェムロンの地のまわりに間者をつかわしておいた。
|
|
ついにレーマン人は多数の兵をつれてシャイロムの地の北の方に現われたが、その兵士は各々、弓、矢、剣、太刀、投石、石投器などを持ち頭をそり赤裸で腰に皮の帯をまとっていた。
|
|
私は民の中の女子供を荒野の中にかくれさせ、武器を使うことのできる者は年老いた者も若い者も皆レーマン人と戦う準備のために集め、それぞれの年齢に従って列につかせた。
|
|
このようにして私たちはレーマン人と戦うために出陣し、私も年老いていたけれどもまた戦いに出た。私たちは本当に主の能力によって戦いに出たのである。
|
|
レーマン人は主についても主の能力についても知っていなかったから自分の力だけを頼みにした。しかし、人の力について言えば実際強い民であった。
|
|
レーマン人は野蛮猛悪であって血を見ることを好み、その先祖の伝説を信じていた。その信じている伝説とは、かれらは遠い先祖の犯した罪悪のためにエルサレムの地から追い出されたが、荒野に居たころ兄弟たちから虐待を受けた。また大海を渡る時にも虐待をされた。
|
|
それから後始めて住んだ土地に居た時にもまたひどい扱いを受けたと言うのである。実は、これらは全くニーファイが兄弟たちよりも忠実に主の戒めを守ったからで、主はニーファイの祈りを聞き届けたまい、ニーファイは主の恵みを受けて荒野の旅でかれらを導いた。
|
|
ところが、兄弟たちは主の計いを知らずにニーファイに向って腹を立て、また海を渡ったときにも主に対してその心をかたくなにしてニーファイを怒り、
|
|
約束の地に着いてからも、民を支配する権力を自分たちから取ったと言って、ニーファイのことを怒りニーファイを殺そうとした。
|
|
またニーファイが主の命令に従いその住みかを去って荒野へ行ったとき、真鍮版に刻んだ記録を携えて行ったから、かれらはまたニーファイに腹を立ててニーファイはその記録をかれらから奪ったと言った。
|
|
このようにして、レーマン人はニーファイ人を憎み、ニーファイ人を殺してその持物を奪い取り、ニーファイ人を亡ぼすために全力をつくさなくてはならないと子孫に教えた。それであるから、レーマン人はニーファイの子孫に対して尽きぬ恨みをもっているのである。
|
|
こう言うわけで、レーマン王はそのずるさと偽りの計ごとと本当らしい約束で以て私をだまし、私の民を亡ぼそうとして、私にこの民を当地へつれてこせさた。それで、私たちはこのように長年の間この土地で苦しんでいる。
|
|
私ゼニフはレーマン人についてこれらのことを皆私の民に話した後、主を信頼して力をつくして戦いに行けと民をはげました。それで私たちはレーマン人と相対して戦い、
|
|
ついにレーマン人を再び私の国から追いはらい、勘定をしなかったくらい多くの敵を殺した。
|
|
それから私たちは自分の土地へ帰り、私の民まもたその家畜の群を飼いその畑を耕しはじめた。
|
|
私はもはや年をとったから、王の位を私の息子の一人にゆずった。従って、もう言うことはない。願わくは、主が私の民を祝福したまわんことを、アーメン。
|
