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ニーファイ第二書 リーハイが死んだ記事。ニーファイ、その兄弟たちに叛かれる。主がニーファイに荒野の中へ立ち去れと警告したもう。荒野を行くニーファイの旅など。 第一章 正しい者たちのためには祝福されるが、悪人たちのためにはのろわれる自由の地。リーハイの勧め。 さて私ニーファイが兄弟たちに教えてしまってから、父のリーハイもまた多くの事を兄弟たちに話した。すなわちかれらをエルサレムの地からつれ出すに当り、主がかれらのため偉大な御業を多くなしたもうたことを話し、
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またかれらは大海の上で謀反をしたが、神はかれらを憐みかれらの命を助けて、海の中にのまれないようになしたもうたことを話し、
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それからまたかれらが得た約束の地について、すなわちエルサレムの地から逃れよと言う警告に見えている主の慈悲が深いことを話して聞かせた。
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父のリーハイは言った「ごらん、私は示現を受けたが、それによってエルサレムがすでに亡びてしまっていることを知っている。万一私たちがエルサレムに残っていようものなら、私たちもまた亡びてしまっているだろう。
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しかし私たちはいろいろの艱難に逢ったにもかかわらず、今や約束の地を手に入れている。これはまことにあらゆるほかの土地に勝って優れた土地であって、主なる神が私の子孫の受け嗣ぐべき地として私に誓約したもうた土地である。まことに主はこの土地を、私と私の子孫とまた主の御手に導かれてほかの国々からここにくるあらゆる人々とに永久に下さると誓約をなしたもうた。
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それによって、私リーハイは私の中にある「みたま」の働きによって予言する。すなわち、主の御手によって導かれなければ何人もこの土地には来れない。
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それであるから、この土地は主のつれて来たもう者が所有するために神聖にされている。もしもこの人々が、主の与えたもう命令に従って主に仕えるならば、この土地はかれらにとって自由の国となり、従ってここに住む者は決して自由を奪われることがないであろう。もしも自由を奪われるならば、それはかれらの罪悪によるのであって、罪悪がはびこる時地は悪人のためにのろわれるが、正しい者たちにとってはいつまでも祝福をされるからである。
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ごらん、この土地を今なお他国の民が知らないようにしておくのは賢いことである。それでなければ、多くの国の民が一ぱいにはびこって、私たちの子孫の受け嗣ぐ土地がなくなってしまうからである。
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それであるから私リーハイは、主なる神にエルサレムからつれてこられる人々が、もし主の命令を守るならばこの土地の上で栄え、またあらゆるほかの国の民からも離して守られ、この土地を自分のものとして所有すると言う約束を賜わっている。よって、かれらがもし主の命令を守るならばこの土地の上で祝福を受け、かれらを苦しめる者もなく、また受け嗣ぎの地を取り上げる者もなく、いつまでも安全に住まうのである。
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しかしながらごらん、かれらが主の御手から非常に大きな祝福を受けた後無信仰に陥る日がくる時には、すなわち大地とあらゆる人々が造られたことを知り、世の始めからこのかた主の為したもうた驚嘆すべき大御業を知り、信仰によってよろずの事を為す能力を与えられ、この世の始めからの命令をことごとく保ち、しかも主の限りないめぐみによってこの貴い約束の地へつれてこられたのに、ごらん、もしもかれらがイスラエルの聖者まことのメシヤ、かれらの贖い主であってかれらの神であるお方を捨てる日がくる時には、正しい神の裁きがかれらに下る。
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まことに主はこの地に住む者の中に他国の民をつれて来たもうてこれに力を授けたまい、そしてこの国に住む者の持っている土地を取り上げさせ住民を追い散らさせてこれを懲らしめたもう。
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まことに代が移るに従って住民の中には流血の惨事があり大きな禍が下る。それであるからわが子らよ、お前たちは私の言葉を忘れずにまことにそれをよく守ってほしい。
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願わくはお前たちが目を覚して、まことに地獄の熟睡から目覚めお前たちを縛るおそろしい鎖をふり切るように。その鎖は人間たちを縛って、これを永遠の不幸と禍の淵におとしいれるおそろしい鎖である。
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目を覚せ。そしてお前たちは塵の中から立ち上り、ふるえている父の声を聞け。お前たちは父の体をじきに冷かなさびしい墓に横たえねばならない。そこから旅人は二度と帰ってくることのできぬその墓の中に。私は日ならずして生きとし生ける者の行く道を行くのだ。
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しかしごらん、主は私を地獄から贖いたもうた。私は主の栄光を見ていつまでもその慈愛の御腕に抱かれている。
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私が願うのは、お前たちが主の法令と裁決とを忘れずに守ることであるが、ごらん、これが最初から私の心配していたところである。
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私の心は嘆きのためにたびたび重苦しい。それはお前たちの心がかたくなであるから、主なるお前たちの神が烈しい怒りを下したまい、お前たちが追い出されてとこしえに亡ぼされはせぬかと恐れるからである。
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あるいはまた多くの世々のろいがお前たちにかかって、剣に見まわれ飢饉に見まわれ憎み嫌われて、悪魔の意志と束縛とにより惑わされはせぬかと恐れるからである。
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私の息子たちよ。願わくはお前たちがこのような悲しい目に逢わずに主に選ばれた愛せられる民となるように。しかしながらごらん、主の履みたもう道は永久に正しいのであるから、みこころのままに為したまわんことを。
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主は『汝らわが命令を守らば地に栄ゆべし。されど、汝らわが命令を守らずば、わが前より追い出さるべし』と仰せになった。
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さて私がお前たちのことを思うて喜びに満ち、悲しみ憂いて墓の中に入ることなくお前たちのために喜び楽しんでこの世を去るよう、わが息子たちよ、塵の中から立ち上って男らしい者となれ。そして精神をひとつにし心をひとつにして決心を固めあらゆる事に一致結束せよ。これはお前たちが束縛の身の上にならないためであり、
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またひどいのろいでのろわれないため、また霊も肉体も共に永久に亡びるまで正義の神の怒りを招かないようにするためである。
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わが息子たちよ目を覚せ。そして義のよろいを着よ。お前たちを縛っている鎖をふり切りかくれた暗い境遇から出てちりあくたから立ち上れ。
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もうこれから汝らの兄弟(ニーファイ)に背くな。彼の見た示現はまことに広大な見事なものであって、彼は私たちがエルサレムを出た時から神の命令をよく守り、神の御手に使われて私たちを約束の地へ導いて来た。もしもニーファイが居なかったなら、私たちは必ず荒野の中で飢死をしていたことであろう。それにもかかわらず、お前たちは彼の命をとろうとしてまことに彼はお前たちのためにひどく憂い苦しんだ。
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それであるから、私はこの後またニーファイがお前たちに苦しめられはせぬかと思って非常に恐れおののくのである。それと言うのはごらん、お前たちがニーファイを責めて彼はお前たちを支配する力と権威とを得ようとはせずに、かえって神の栄光とお前たち自身の永遠のさいわいとを求めているのを知っている。
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また、ニーファイが思った通りをはっきり言ったのでお前たちは不平を鳴らして、彼はきびしくした、彼は自分たちに怒ったなどと言うが、ごらん、彼がきびしいのはニーファイに宿った神の言葉の力のきびしさによるのであって、またお前たちの言う怒りとは神にそなわる真理に外ならない。それをニーファイは自らおさえることができなくて、お前たちの悪事についてはばからずにいさめたのである。
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彼はまたお前たちに従わねばならぬとさえ命じたが、これまでに神の権力を彼がもつのは実に必要なことであった。しかしごらん、こうさせたのはニーファイではなくて彼に宿った主の「みたま」である、それがニーファイの口を開いて語らせるので、彼は口をつぐむことができなかったのである。
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さて、私の子レーマン、レミュエル、サームならびにイシマエルの息子である私の子たちよ。ごらん、お前たちがもしもニーファイの言うことに聞き従えば亡びないであろう。そしてもしもこれに聞き従う心があるならば、私はお前たちに私の持っている第一等の祝福を伝えてのこそう。
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しかし、もしもお前たちにこれを聞く心がないならば、私はまことに私の第一等の祝福を取り上げてこれをニーファイに伝える。
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さてゾーラムよ、汝に言うがよく聞け。汝はレーバンの僕であったが、それにもかかわらずエルサレムの地からつれてこられ、今は私の息子のニーファイにとっていつまでも変らぬ真の友であることを私は知っている。
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それであるから、汝が忠実であったために汝の子孫はニーファイの子孫といっしょに祝福を受けて、永らくこの地の上に住んで栄える。そして汝の子孫の中に悪事が行われなければ、汝の子孫がこの地の上で栄えるのをきずつけて乱す者はいつまでもない。
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それでもしも汝が主の命令に従うならば、主はこの地を神聖にしたもうて、汝の子孫を私の息子の子孫といっしょに安全に守りたもうのである」。
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