真理子の聖書日記
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[756]おいら何も言ってないぞ、お前たちが言ってるんだ
投稿者=真理子
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掲示日=2011/07/02(土) 15:37:50
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そうそう。今日の通読箇所では、ルカ22:70の
彼らは言った、「では、あなたは神の子なのか」。イエスは言われた、「あなたがたの言うとおりである」。
が問題になりますね。これは口語訳聖書なんですけど、イエス様のお答えのほうは、まるっきりの誤訳です。
?????(あなたがたは) ??????(言う) ???(〜と) ???(私が) ????(〜である).
つまり、おいらが神の子だなんて、(おいらは何も言ってないぞ)お前たちが言ってるんだぞっていうのが、正しい訳です。
では、日本語訳聖書をいろいろ比較してみましょう。○?は私の基準から見た正訳(○)、誤訳(?)判定。
明治訳(?):爾曹(なんぢら)の言(いへ)る如(ごと)く我(われ)は是(これ)なり
大正訳(?):なんぢらの言ふごとく我はそれなり
ラゲ(?):汝等の云へるが如し、我は其なり
バルバロ旧(?):あなたたちのいうとおり、私はそれだ
バルバロ新(?):そのとおり、私はそれだ
口語訳(?):あなたがたの言うとおりである
共同訳(○):わたしがそうだとは、あなたたち自身が言っています
新共同(○):わたしがそうだとは、あなたたちが言っている。
新改訳(?):あなたがたの言うとおり、わたしはそれです
正教(○):爾等(なんぢら)言ふ、我は是なり
新世界(○):あなた方自身,わたしがそうだと言っています
塚本(○):そうだと言われるなら、御意見にまかせる
フラ(○):わたしがそうだと言っているのは、あなたがたである
岩波(○):私がそうだとは、あなたたちの言うことだ
ケセン(○):其方等(そなだァど)ァ、俺(おれ)ァそうだって、語(かだ)ってっとォ
電網(○):わたしはあるとは,あなた方が言った
リビング(?):そのとおりです
エマオ(?):そのとおりだ。わたしである。
平明(○):そのとおりだと、きみたちが言っている
田川(○):それはあなた達が言っておいでのことだ
現代(尾山)(?):その通り。私は神の子です。それは、あなたがたも言っているではありませんか。
柳生(?):その通りだ。
岩隈(○):わたしがそうだと言うのは君たちだ
こうしてみると?は、往年の委員会訳、往年のカトリック訳、福音派系に集中してます。
それにしても、往年のKJVでさえ、 Ye say that I am. と正しく訳してるというのに、そして明治訳のネタ本とされるブリッジマン漢文訳だって「爾言我是也」(なんぢ言ふ、我は是なり)と正しく訳しているというのに、どうしてみんな、イエス様にじきじきに「おいらは神の子だ」と言わせたいの?
「ふっふっふ、ほうらひっかかったひっかかったひっかかったよーだ。おいらが神の子だって言ってるのは、おめぇたちじゃねーか」っていうシニカルで巧みなイエス様の言語戦術を無にしちゃダメよ。
[755]Re:#746 #750 しつこくエゼキエル
投稿者=真理子
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掲示日=2011/07/02(土) 14:13:47
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どうも。HK. J.さんにお墨付きをいただけば安心です。
実を言うと、私が使ってるあんちょこ、The Interlinear NIV Hebrew-English Old Testamentでは、ここ、思い切り間違えてるんです。?????????????? (彼らのオンナたち)を、lovers-of-her なんて書いてある。これじゃ「彼女のオトコたち」ですよね。
こういう間違いが起きてしまうのは、次の関係代名詞 ?????? の使い方のせいかしら。??????って、性や数や格にかかわりなくお気楽に使える言葉ですけど、この場合、その先行詞が?????????????? なのではなく、?????????????? の中の???? のところだけっていう変なことになってるせいだと思います。
つまり、 ?????? 以降は、「彼ら」の説明なのに、「彼ら」に当たるものが ?????? の前には、語としては存在せず、人称接辞としてしか存在しない。だから彼らの巨根絶倫ぶりのほうから解読していくと、先行詞?????????????? の男性女性を誤読させてしまうんでしょう。
それでもなんとなく意味はとれてしまうので、なおさら間違いに気づきにくい。
ヘブライ語やアラビア語の代名詞って、〜の、〜をっていうのは、単独の語じゃなく、名詞や動詞への接尾語の形になるわけですけど、それにさらに関係代名詞がついてしまうっていう使い方ができるんですね(実はヘブライ語もアラビア語も、こんな複雑な文、あんまり読んだことがありませんの)。ちょっと関係代名詞のところをしっかり復習しなきゃ。でも谷川政美さんの『旧約聖書ヘブライ語独習』、あんまり詳しくないわ。いっそ ??????を聖書本文で検索して、ひとつひとつ用例を見るほうがいいかしら。いまやってみたら4432件もヒットしたわ。大変。
関係代名詞っていっても、世界の言語では必ずしも先行詞+関係代名詞+関係節……っていう流儀じゃなく、インド系の言語では、ずいぶん違った流儀になります。ここからは隣の主人に聞きながら書いておりますが、色即是空のサンスクリットは、yad(関係代名詞) r?pa?(色) s?(それは) ??nyat?(空). 関係代名詞yadは、必ず普通の指示代名詞s?とセットで使うんです。先行詞っていうの使わない。ちょうど、This is the house in which Shakespeare was born.
(これはシェークスピアが生まれた家です)っていうのを中学生(高校生かしら)に説明するとき、Shakespeare was born in a house. This is the house.みたいに分解するじゃありませんか。その分解した形をそのまま文にして、前半のa houseを関係代名詞。後半のthe houseを指示代名詞に置き換えて使う。だからどんなに関係節とメインの部分が複雑な関係になっても、かなりシンプルな形で書けるらしいです。
そんなわけで関係代名詞って、何でもかんでも英語式だと思うと、とんだ誤解を招くことがあるのね。